- 歴史ある縁側が注目されたことで、洋風住宅にも取り入れやすいデザインになっている
- 縁側には複数の種類があるので、既存住宅のインテリアや用途に合わせて選ぼう
- リフォームによって縁側を導入するのであれば、スペースや防犯面に着目しよう
日本住宅の象徴とも言える「縁側(えんがわ)」。近年、この縁側が注目されており、縁側のある暮らしを求める方が増えています。景色を楽しんだり、家族団らんの場として活用したりと、豊かな生活を縁側で手に入れてみませんか?
この記事では、縁側にまつわる基本的な知識や縁側のメリット・デメリットに加え、縁側を既存住宅に取り入れる方法について解説していきます。縁側のある暮らしを検討している方はもちろん、理想の縁側を取り入れるためにご活用ください。
縁側の歴史と役割
平安時代から日本に存在していたと考えられる縁側は、歴史ある空間です。平安時代の絵巻や寝殿造りには縁側の原型らしきものが発見されており、古くから日本に根付いている文化です。桂離宮の「月見台」も縁側の1つであり、月を愛でるために作られ、開放的な空間に仕上がっています。日本人ならではの自然を愛でる気持ちが形になったものが縁側であると言っても過言ではないでしょう。
そんな縁側には、どのような役割があるのでしょうか。縁側の役割について解説していきます。
室温を調整して省エネ
家のなかと外をつなぐ縁側は、室内の温度をコントロールする役割を持っています。外に直接面さず、縁側によってワンクッションスペースが置かれるので、室内の温度を保ちやすくなります。そのため、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるのが魅力と言えるでしょう。効率よく室温を調整できるので、過剰に冷房や暖房を使用することがなくなり、省エネ効果や節電効果も期待できます。
家族団らんの場に
外に面している部分ではありますが、家のなかにも通じている縁側は、家族団らんの機会を増やすきっかけにもなります。居間と庭をつなぐ役割も持っているので、自然と家族が集まるような空間になるのです。また、縁側に座って、庭で子どもたちが遊んでいるのを眺められるのは、癒しの時間になるでしょう。外にいてもなかにいても、家族みんなが和める時間を作れるのも、縁側ならではと言えます。
縁側の特徴と種類
和室と屋外の間に設けられた板張りの通路のことを「縁側」と呼びますが、実はさまざまな種類があります。種類ごとの特徴を把握して、好みの縁側を自宅に設置するのもおすすめです。また、ここでは縁側に似ている「ウッドデッキ」との違いについても解説します。自宅の雰囲気に合わせたタイプを選んでみてください。
濡れ縁(ぬれえん)
軒下にそのまま縁側を設置するため建物の外に設置され、雨戸や壁がありません。「縁側」と聞いて一般的に想像されるタイプが、「濡れ縁」にあたります。雨や風にさらされた状態になることから名づけられました。
雨が降ると濡れてしまうので、一般的に腐食に強い素材を使って作られたり、縁側の板の間に隙間を設けて水はけをよくしたりする工夫がされています。また、濡れ縁は後から設置できる据え置きタイプがあるので、リフォームなどで取り付ける場合にも非常に便利です。
くれ縁
雨戸や壁など、家の内側に設置された縁側「くれ縁」は、雨天でも戸を閉めることで使用できます。濡れ縁と違って天候を問わずに使用できるので、利便性が高いのが特徴です。雨や風にさらされることがないため、使用する素材にこだわる必要はありません。
ただし、リフォームなどで取り付ける場合には雨戸を設置するための下屋(母屋に付属した屋根)などが必要になるので、手間や費用がかかります。
広縁(ひろえん)
室内の縁側であるくれ縁の幅が広くなったものを、「広縁」と呼びます。一般的な縁側よりも幅が広いので、部屋のように使ったり家具を置いたりして自由な空間として使うことができます。屋外と室内に距離ができ、夏の暑さや冬の寒さを遮ることができるのも魅力の一つです。
落ち縁(おちえん)
濡れ縁のなかでも、室内の床よりも1段ほど低く設置された縁側を「落ち縁」と呼びます。縁側と室内の床に段差ができることで、雨水や汚れの侵入を防いでくれるので、掃除が簡単に済むのが魅力です。
また、通常の縁側とは違った印象になるので、インパクトを求めている方にもおすすめです。屋根があるので子どもも快適に過ごせ、家族が集まりやすい空間が作れます。
切れ目縁(きれめえん)
一般的な床板の張り方として敷居や扉に対して平行なものが多いですが、濡れ縁には敷居や扉に対して床板を垂直に張ることもあります。板の切れ目が外側から見えるように張ったものを、「切れ目縁」と呼びます。特徴のある縁側に仕上げたい方や、しっかり水を切れるような縁側にしたい方におすすめの張り方でしょう。
縁側とウッドデッキの違いについて
ウッドデッキは濡れ縁のような見た目なので、一見すると違いがわからないという方もいるのではないでしょうか。この2つの違いは軒の有無と言われています。軒に覆われているのが縁側、覆われていないのがウッドデッキで、大きく張り出しているのが特徴です。
そのほかの違いは、縁側が和風、ウッドデッキが洋風といった点が挙げられます。また、ウッドデッキは建物とは独立して設置されることがあります。それぞれの特徴を押さえて、自宅のデザインや用途に合うタイプを選んでみてください。
縁側のある家のメリット・デメリット
さまざまな種類があり、一息つくことができる魅力的な縁側は、近年注目を集めており、自宅に導入する方も増えてきています。ここからは縁側のメリットとデメリットについて解説していきます。縁側を導入してから不満を感じることがないよう、デメリットも踏まえたうえで検討してみてください。
メリット:光熱費の節約が期待できる
先述した通り、縁側には省エネ効果が期待できます。屋外と室内の間に空間ができることで外気の影響を受けにくくなり、夏は暑さを、冬は寒さを感じにくくなります。室温を一定に保ってくれるので、過剰にエアコンや暖房を稼働させる必要もなく、光熱費の節約が期待できるのです。
また、縁側の上にある軒が室内に直射日光が入るのを防ぎ、室内温度の上昇を防止します。節約だけでなく、快適な暮らしを守れることも縁側のメリットと言えるでしょう。
メリット:自分好みの空間が作れる
縁側を作ることで、ガーデニングを楽しんだり、ウッドデッキのような使い方をしたり、子どもの遊び場を設置したりするなど、自分らしいスペースを作ることができます。コンパクトな縁側であっても室内にはない癒しの空間を設けられるので、日常生活に彩りを与えてくれるでしょう。縁側からの景色も意識して設置することをおすすめします。
デメリット:建築面積に制限がかかる可能性がある
縁側を設置するには、スペースが必要になります。設置する縁側のタイプや幅にもよりますが、建築基準法で定められている建ぺい率や容積率によっては、居住スペースが狭くなってしまう可能性も否めません。縁側を作る前に、「面積的に余裕が持てるのか」「建築基準法に違反していないか」などを確認しておきましょう。
デメリット:庭のお手入れが必要になる
縁側から庭が見られるように設計した場合、定期的に庭のお手入れが必要になります。せっかく縁側を設置しても、雑草だらけだったり草が枯れてしまっていたりすると見栄えが悪く、とてもくつろぎの空間とは言えません。庭のお手入れには手間や時間がかかりますが、縁側での時間を満喫したいのであれば、メンテナンスが不可欠であることを念頭に置きましょう。
縁側の取り入れ方
「縁側」と聞くと和風な住宅をイメージするかもしれませんが、最近では洋風の住宅にも馴染むようなデザインが増えています。和室のない住宅でも取り入れやすいよう、和モダンな雰囲気やアジアンスタイルなど、さまざまなタイプがあるのです。ここからは、それらの縁側を取り入れるための方法や注意点について解説していきます。
リフォームによって縁側を取り入れる
今の住宅をリフォームして縁側を取り入れるのであれば、十分なスペースの確保が必要になります。敷地や住宅のタイプによっては、縁側や軒を取り入れることが厳しいケースも。また、場合によっては増築とみなされるケースもあるため、床面積にも着目しましょう。増築扱いになると、固定資産税などの出費につながります。
屋根を伸ばす必要のない「濡れ縁」では20万円~、窓や壁に囲われた「くれ縁」を作る場合には100万円~が相場となっているため、家計との相談が必要になります。
縁側を増築する場合の注意点について
縁側をリフォームするうえで、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。失敗のないようにしっかりと把握して、素敵な縁側を導入してください。
防犯面に注意!
家の外と内をつなぐ半野外空間である縁側は、防犯対策を講じる必要があります。住宅内への侵入経路にさせないためにも、防犯ガラスや防犯カメラを活用するなど、扉や窓への防犯対策を入念に行いましょう。
また、室内が丸見えにならないよう、プライバシー空間の確保も重要です。縁側を設置する位置などを工夫して、住宅を守る対策をとりましょう。縁側のリフォームをするときには、専門家と相談して、家族や自分の安全を守ることが大切です。
スペースに着目して
縁側を新たに作るということは、その分のスペースが必要になるということです。一般的な縁側の工事は、屋根を延長して縁側を増設します。そのため、現在使用している住宅に縁側を増設できるスペースがなくてはなりません。建築基準法による建ぺい率や容積率の関係から、居住スペースを減らして増設するケースもあるので、生活空間の確保ができるかどうか事前に確認しておきましょう。
屋根を延長せずに濡れ縁を作るのであれば、比較的スペースの確保が簡単ですが、雨ざらしになるので素材の工夫が必要になります。
固定資産税が高くなる可能性もある
先述の通り、縁側のスペースを増築することで住宅の床面積が増えたと判断されることもあります。その場合、固定資産税などの税金がかかることもあります。判断基準は地域によって異なるので、リフォームを検討する際にはあらかじめ役所などに確認しておくことをおすすめします。
縁側は自分で作れる?
「どうしてもリフォームの費用を節約したい」「今すぐにでも縁側が欲しい」と考えている場合には、置くタイプの縁側もおすすめです。くれ縁は雨戸や扉などの設置が必要になりますが、濡れ縁であれば後付けできます。
一から木材を集めて作ってみたり、ホームセンターで置くタイプの縁側を購入したりするのもいいでしょう。簡易的なものであればDIYで手軽に取り入れることも可能です。
開放的な空間から団らんが生まれる縁側
昔ながらの自宅でよく見る縁側が最近になって注目を集めているのは、開放的な空間だけでなく機能的な一面が評価されたからでしょう。一口に縁側といってもさまざまなタイプやデザインがあるので、自宅や家族のインテリアやニーズに合ったものを選んでみてください。
濡れ縁であればホームセンターなどでも置くタイプが販売しているので、手軽に縁側のある暮らしを楽しんでみてはいかがでしょうか。また、リフォームや縁側のある住宅をお探しの方はぜひ下記よりお問い合わせください。豊かで自由な空間を手に入れて、今よりも快適な暮らしを楽しみましょう。
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