- 借入限度額を計算するときは金利も踏まえて計算しよう
- 借入金額を増やすために「収入合算」や「ペアローン」などの方法がある
- 住宅購入時には印紙税や登記費用など「諸費用」も発生する
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住宅ローンを組んで戸建てやマンションを購入しようと思ったとき、どのくらいの借り入れが可能かによって購入する家の選択肢も変わります。さらに住宅ローンを組むなら、長い期間を掛けて返済していくこともしっかり考慮しておきたいところです。実際に住宅ローンを組む場合、どのくらいの金額を借りられるものなのでしょうか。また、無理のない返済額の目安はどう判断すればいいのでしょうか。この記事では年収600万円の場合を例として、住宅ローンを組む際の借入限度額や返済額を決めるポイントなどをご紹介します。
年収600万円で借りられる借入限度額は?
年収600万円の場合、住宅ローンで最大いくら借りられるのでしょうか。それを試算するうえで重要となってくるのが返済負担率や審査金利などです。まずはそれぞれの内容を振り返りながら、年収600万円で借りられる限度額を見ていきましょう。
返済負担率とは
返済負担率とは、年収に対して住宅ローンが占める年間返済額の割合のことです。年収によって返済負担率の限度は変わってきますが、長期固定金利住宅ローン「フラット35」の場合年収400万円以上であれば返済負担率は35%が上限となっています。(※2021年10月時点)
年収600万円で返済負担率が35%の場合
年収が600万円の場合、返済負担率が35%になると次のような毎月の返済金額になります。
600万円(年収)×35%(返済負担率)=210万円(年間の返済額)
210万円(年間返済額)÷12ヶ月=17万5,000円(毎月の返済金額)
年収600万円で返済負担率が25%の場合
返済負担率を下げることで、毎月の返済金額は少なくなります。年収600万円で返済負担率を25%にした場合は、次のような返済金額になります。
600万円(年収)×25%(返済負担率)=150万円(年間の返済額)
150万円(年間返済額)÷12ヶ月=12万5,000円(毎月の返済金額)
以上のように、返済負担率が10%違うことで年間の返済額に大きな差が生まれます。毎月の返済額が5万円違うだけでも、ほかにかかる生活費や教育費、貯蓄金額にも大きく影響するでしょう。月の支出や将来的に発生する支出なども踏まえて、無理のない返済負担率を検討することが重要です。
借入限度額とは
借入限度額とは、ローンで借りられる最大の金額のことです。借入可能額とも呼ばれ、年間返済可能額をもとに算出します。ただし「審査金利」を計算に含めなければなりません。審査金利とは審査の際に100万円あたりの月額金利を試算するために用いられる数字で、金融機関ごとにあらかじめ決められているものです。実際に適用される借入金利とは異なるため注意しましょう。
審査金利は公表されていませんが、実際の金利よりも高めに設定されており、3~4%ほどといわれています。それでは審査金利を仮に3%とした場合、借入限度額がどの程度になるか見ていきましょう。
借入限度額の計算方法
借入限度額を計算する場合、一般的に次の式で求めます。
年間返済可能額÷12ヶ月÷審査金利における100万円あたりの月の返済額×100万円
年間返済可能額は、額面の年収に返済負担率を掛けて求めます。年収600万円で返済負担率が35%の場合は、「600万円×35%=210万円」となります。
年収600万円で返済負担率が35%の場合の借入限度額
年収600万円で返済負担率が35%の場合、住宅ローンでいくら借り入れできるのか計算してみましょう。ここでは返済期間35年、審査金利を3%とした場合の計算になります。
210万円(年間返済可能額)÷12ヶ月÷3,849(審査金利における100万円あたりの月の返済額)×100万円=約4,547万円
約4,547万円が借入限度額となります。
住宅ローンを計算するときの注意点
住宅ローンを組む場合、月々の返済に加えて生活費などが発生する点も留意しておきましょう。家庭を持っている場合は家族の生活費や大学の学費などを含む教育費、保険料などを加味すると、住宅ローン返済が生活をかなり圧迫してしまう可能性があります。そのため、無理なく返済できる金額で住宅ローンを組むことがとても重要です。
固定金利と変動金利とは
住宅ローンの返済金額は、固定金利と変動金利によっても変わってきます。これらは審査金利とは異なり、実際に返済のときにかかってくる金利です。それぞれどういった違いがあるのか、解説していきます。
固定金利
固定金利では、住宅ローンを完済するまで金利が変わりません。金利が一定のため最終的な総返済額を明確にしやすく、返済計画を立てやすくなるでしょう。金利相場の変動に影響されないため、金利相場が安いタイミングで契約できれば、総返済額を抑えられる可能性があります。
変動金利
変動金利では、金利相場の変動によって金利が変動します。金利相場が下がればその分総返済額も小さくなるというメリットがありますが、反対に金利相場の上昇により増えてしまう懸念もあります。また、固定金利よりももともとの金利水準が低いというのも特徴です。
返済額を決めるうえで押さえておくべきポイント
毎月の住宅ローンの返済額を決めるには、ただ月の返済金額だけを考えるのではなく、生活費や子どもの学費なども含めて検討しなければなりません。ここでは、返済金額を検討するうえで押さえておくべきポイントをご紹介します。
POINT1:何年で返済するかを検討する
たとえば、定年退職するまでに住宅ローンの返済を終えたい場合、60歳を定年とすればそこまでに完済しなければなりません。分譲マンションを買うときが35歳だとしたら、60歳までには25年しかありませんので、25年ローンを組むことになります。そうなると、25年で生活を圧迫しない程度の返済金額を考える必要があります。
POINT2:将来にかかるお金を考えたうえで返済金額を決める
一人暮らしであれば、自分の生活費だけを考えて借入金額を決めることができます。しかし家庭を持っていると、子どもの学費や将来子どもが結婚する際に援助したい婚姻費用なども考えておかなければなりません。
POINT3:共働きか否かで返済金額を決める
住宅ローンの名義が一人だった場合、名義人の収入で住宅ローンを組むケースが多いです。このとき、配偶者も仕事をしていれば、ギリギリの借入金額でも生活自体には少し余裕が生まれます。住宅ローンの借入金額を検討する際には、今配偶者が仕事をしていなくても、今後仕事をする予定があるかどうかも視野に入れましょう。
POINT4:ボーナス払いを利用するか否か検討する
毎月の返済のほかにボーナス払いを併用することで、毎月の返済金額を抑えることができます。ボーナス払いを利用すると、月々の収入に対する住宅ローンの圧迫も小さくなりますので、生活に負担をかけにくいのがメリットです。ただし、会社の業績や転職によってボーナスがなくなった場合でも、ボーナス払いは必ず発生しますので、急なライフプランの変更にも対応できるようにしておく必要があります。
こうした返済金額を決める際には、住宅金融支援機構や金融機関が提供している「住宅ローンシミュレーション」を利用すると便利です。年収から借入金額を算出する、あるいは月々の返済金額から借入上限を算出するときに活用してみてください。
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借入金額を増やすには?
返済金額や期間を決めたら、いよいよ住宅ローンの申し込みです。しかし、必ずしも希望の借入金額で審査が通るというわけでもありません。希望金額でなければ住宅を購入できない……。そんなときはどのように対処すればよいか、以下のことを参考にしてみてください。
親族と収入合算をして審査し直す
世帯主の名義で住宅ローンを申し込んだ場合は、配偶者や親族など、それぞれの収入を合計して再度住宅ローンを申し込む方法があります。
住宅ローンの審査で希望額に満たないケースでは、収入に対して借入金額が大きいことが原因であることが考えられます。この場合、収入合算すれば希望金額で住宅ローンの審査が通る可能性が高まります。審査が通った場合にローンの名義者を増やすのではなく、1本の住宅ローンとして希望金額の借り入れができる点が収入合算のメリットです。
ペアローンを利用する
ペアローンは、共働き家庭など同居している親族に一定の収入がある場合、その親族の名義でもうひとつの住宅ローンを組む方法です。最初の住宅ローンで不足していた分の金額を、親族の名義で住宅ローンを組んで借り入れします。
収入合算とペアローンの違いは、収入合算はひとつの住宅ローンに対して二人の収入を申告するのに対し、ペアローンは二人がそれぞれに住宅ローンを組んでふたつの住宅ローンを返済していくという点です。
ペアローンのメリットは、それぞれ名義人を立てて住宅ローンを組むことで、両方の住宅ローンで節税対策ができることです。ただし、当然ながら毎月2本の住宅ローンを返済していくことになるので、返済計画をより綿密に立てる必要があります。
ボーナス払いを併用する
もしボーナスが支給されている場合は、「ボーナス払い」を利用することもできます。ボーナス払いを利用すればボーナス支給月に返済額を増やすなど、返済するうえでも便利な方法といえるでしょう。さらに融資額の増加も見込めるため、ボーナス払いの設定も検討してみてください。ただし、業績の悪化や転職などによってボーナスの支給がなくなる可能性もあるので注意が必要です。
住宅ローン以外の借り入れをなくす
返済負担率は、住宅ローン以外のローンも含まれますので、カードローンやクレジットカードのリボ払いなどがあると、それらの支払いが返済負担率に影響します。そのため希望金額の住宅ローンに通らない可能性があるのです。
とくにクレジットカードのリボ払いは住宅ローン時に影響するといわれていますので、住宅ローンを申し込む前に、完済してしまいましょう。このとき、完済したことを証明する書類があれば、住宅ローンの申し込み時までしっかり保管しておいてください。
住宅購入時にかかる諸費用とは?
住宅を購入する際には、住宅自体の購入費以外に手続きなどに必要な「諸費用」と呼ばれる費用が発生します。住宅購入時の諸費用には以下のものが挙げられます。
- 売買契約書等の印紙税(印紙代)
- 仲介手数料
- 登記費用
- 住宅ローン借り入れのための費用 (事務取扱手数料、保証料、団体信用生命保険の保険料など)
- 火災保険料、地震保険料
- 固定資産税等精算金
- 不動産取得税
これら諸費用は物件価格の4~10%ほどになるともいわれていて、たとえば4,000万円の物件であれば400万円の諸費用がかかることも考えられます。それでは諸費用に該当する印紙税や登記費用などがどういったものなのか、ここで詳しく見ていきましょう。
印紙税(印紙代)
住宅を購入する際には、建物の売買契約書や住宅ローン契約書などを作成する必要があります。これら契約書は「課税文書」であるため、契約書の金額に応じて印紙税を支払うことになります。
不動産仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼して売買契約した場合には、不動産仲介手数料が発生します。仲介手数料の上限は法律で決まっており、物件の売買価格が400万円以上の場合は次の計算式で上限を求めることができます。
(物件の売買価格×3%+6万円)×消費税
たとえば物件の売買価格が4,000万円であれば、次のような計算になります。
4,000万円(物件の売買価格)×3%+6万円=126万円
126万円×10%(消費税)=12万6,000円
126万円+12万6,000円=138万6,000円
※消費税は2021年10月時点の税率
登記費用
登記費用は、住宅購入において必要な登記の手続きを行うために必要な費用です。「登録免許税等税金」と、手続きを行う司法書士への報酬、その他証明書の発行手数料などが登記費用となります。
住宅ローン保証料
住宅ローンの債務者が金融機関へ住宅ローンを返済できなくなってしまった場合、保証会社と契約を結んでいれば代わりに返済してもらうことになります。住宅ローン保証料はその保証契約を結ぶために必要な費用です。
保証会社に返済してもらったとしても、債務者に返済義務がなくなるわけではありません。今度は保証会社に住宅ローンの債務を返済することになります。
火災保険料・地震保険料
火災や地震に備えて、火災保険や地震保険に加入することになりますが、そのときに発生するのが火災保険料や地震保険料になります。保険料は建物の種類や補償内容などによって変わります。
固定資産税等精算金
固定資産税等清算金は、不動産の売買のときに発生する費用です。住宅に課せられる固定資産税と都市計画税を、購入時期から計算して必要な分を買主と売主がそれぞれ負担する費用です。住宅にどれほどの固定資産税と都市計画税が生じるか、1年の間に売主と買主がどれくらいの期間を所有していたか、いつを起算日として計算するかなどによって負担する金額は変わります。
不動産取得税
住宅や土地など、不動産を購入した際には「不動産取得税」がかかります。これは住宅ローンの契約時に支払うものではなく、購入後1年ほど経ってから納付書が送られてくるケースもあります。税率は、取得した不動産の価格(課税標準額)の4%(標準税率本則)ですが、特例措置として2024年3月31日までは3%に軽減されています。
住宅ローンを組むときはライフプランを踏まえて無理のない返済を
年収600万円の場合、住宅ローンで借りられる借入限度額は4,500万円ほどになるため、住宅購入にあたって広い選択肢があるといえるでしょう。
ただし注意したいのは、それが無理なく返済できる金額かどうかという点です。生活していくうえでは、住宅ローンの返済以外にもさまざまな支出が発生します。長い期間かけて返済していく場合には、将来のライフプランも踏まえて返済負担率や返済期間、物件価格を検討しましょう。
希望する予算の物件をお探しの方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。
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