- 家賃の目安は手取りの30%、生活に余裕が欲しいならもう少し下げて25%程度に
- 都心に近いほど、またアパートよりマンションのほうが家賃は高い
- 2階以上、駅近、急行停車駅などの条件を緩めれば、家賃は抑えられる
一人暮らしをする場合、家賃設定はどれくらいを目安にすればよいのでしょうか。家賃は安すぎるとセキュリティや利便性などに不安が残り、逆に高すぎると生活を圧迫してしまうので考えものです。この記事では、一人暮らしをする際の目安となる家賃相場や、「東京と東京近郊」「アパートとマンション」で家賃に違いがあるのかどうかを解説します。
家賃を抑えるポイントについてもチェックしておき、自分の収入やライフスタイルに合った部屋探しを実現しましょう。
いくらあれば生活できる?一人暮らしの家賃の目安
一人暮らしの部屋探しをするにあたっては、まず収入に見合った家賃を決める必要があります。収入に見合わない物件に住むと、家賃が生活費を圧迫して生活が苦しくなってしまうからです。基本的に家賃は収入の30%が大まかな目安と言われていますが、この「収入」は給与から保険料や税金などを引いた額(=手取り)であるため、給与全体の75%から85%ほどになることが多いでしょう。
もちろん、住む場所や借りる物件によって家賃は異なるので一概には言えませんが、手取りの30%程度に家賃を抑えれば、生活費を圧迫することはないでしょう。住む場所にこだわりがなく、食費や娯楽費、交際費など別の費用に収入を充てたい場合は、家賃の目安を手取りの30%からもう少し下げて25%程度にしましょう。そうすることで、生活により余裕が生まれるはずです。
以下では、手取りの額ごとに「家賃の目安」がどれくらいなのかを見ていきます。
手取り15万円の場合
手取りが15万円だと、家賃の目安は4万5,000円程度です。しかし、残りの10万5,000円でやり繰りするには、生活を少し切り詰めなければなりません。
総務省統計局が行った家計調査によると、2020年10月から12月における単身世帯の「食料」は3万9,300円、「光熱・水道」は1万705円、「交通・通信」は1万9,252円、「教養娯楽サービス」は8,999円となっています。
食費や水道光熱費など、生活するうえでかかる費用だけでも合計で7万8,256円もかかります。10万5,000円では生活にゆとりがほとんどないので、やや余裕のある生活を送りたいのであれば、家賃を手取りの約27%にあたる4万円程度に抑えるべきでしょう。駅から距離がある物件や少し狭い物件を選べば、家賃を5,000円下げることは可能です。ただし、家賃が4万円の賃貸物件を都心で見つけるのは大変なので、郊外や東京近郊が有力な選択肢となるでしょう。
手取り20万円の場合
この場合の家賃の目安は、6万円ほどになります。家賃が6万円の物件は都内でも東京近郊でも比較的多く、物件探しには困らないでしょう。計算上は家賃以外の生活費に14万円ほど使えるので、生活にゆとりが生まれます。貯金に回せる額も増えるでしょう。
手取りの25%とすると、家賃は5万円ほど。住む場所にこだわりがなければ、少し範囲を広げて家賃5万円の物件を探しましょう。家賃にかけるお金が少ないほど、ほかの生活費に収入を充てられます。手取りの27.5%に相当する5万5,000円でも、十分な節約効果は期待できるでしょう。
手取り25万円の場合
手取り25万円の場合の家賃の目安は7万5,000円。立地条件や住環境のよい物件を選ぶことができ、生活費に充てられる金額も17万5,000円とかなり余裕があります。ただし、余裕があるからといって浪費をしていては貯金ができず、何か起きたときに困るでしょう。家賃以外の生活費はなるべく独身世帯の平均に合わせ、余った額は貯金に回すことをおすすめします。手取りが増えるからといって、必ずしも「家賃を上げなければならない」というわけではありません。
家賃を手取りの25%にした場合は、6万2,500円となります。手取りの25%に家賃の目安を下げても物件選びにさほど困ることはなく、生活費が18万7,500円あればかなり生活に余裕が生まれるでしょう。
各主要都市ではどれくらい家賃に差がある?
家賃は住む地域により大きく異なるので、地域ごとの相場を知っておくことが大切です。以下では、大都市を抱える都道府県で家賃の相場がどれくらい違うのかご紹介します。単身世帯が住むことの多い、ワンルームの家賃で比較してみましょう。
東京都の例
・港区:11万300円
・葛飾区:5万1,400円
・武蔵野市:5万8,600円
・青梅市:3万600円
東京都内でもっとも家賃の相場が高かったのは港区です。23区内で一番家賃が安いとされている葛飾区と比較して、2倍以上の差がありました。23区外では武蔵野市が高く5万8,600円で、逆にもっとも安かったのは青梅市の3万600円。武蔵野市は渋谷にアクセスしやすい京王井の頭線の「吉祥寺駅」があり、JR中央線「吉祥寺駅」を利用すれば新宿にも1本で行けて便利です。青梅市の家賃が安いのは、都心までかなり距離があるからでしょう。
神奈川県の例
・川崎市幸区:6万3,600円
・横浜市都筑区:6万2,400円
・厚木市:3万6,300円
・秦野市:3万4,500円
神奈川県では、都心に近い川崎市や横浜市の家賃相場が高い結果となりました。川崎市幸区にはJR東海道線の「川崎駅」があり、東京都内へのアクセスも便利なことから人気が高いと思われます。一方、神奈川県内で家賃相場が安いのは、厚木市や秦野市。両都市の家賃相場が安いのは、都心から距離があることが主な理由と言えます。
埼玉県の例
・さいたま市大宮区:7万2,800円
・和光市:5万8,300円
・鶴ヶ島市:2万6,500円
・本庄市:1万9,700円
埼玉県で家賃相場が高いのは、さいたま市大宮区です。JR湘南新宿ラインの「さいたま新都心駅」やJR高崎線の「大宮駅」があり、東京までアクセスしやすい環境にあります。反対に鶴ヶ島市や本庄市は都心からやや離れおり、本庄市にいたっては群馬県のほうが近いほど。さいたま市大宮区と本庄市の家賃相場には、3.5倍以上の差があります。
千葉県の例
・千葉市美浜区:6万800円
・浦安市:5万4,600円
・木更津市:3万4,000円
・市原市:3万円
千葉県でもっとも家賃相場が高いのは千葉市美浜区でした。東京までアクセスしやすく、千葉県の中心地であるJR「千葉駅」(千葉市中央区)にも近い場所です。もっとも家賃相場が安かった市原市と千葉市美浜区では、家賃相場に2倍ほどの差がありました。東京までは比較的距離があり、電車の本数も少ないことが家賃相場の安い原因と考えられます。
愛知県の例
・名古屋市中村区:5万1,500円
・豊橋市:3万2,300円
愛知県で家賃相場が高かったのは、「名古屋駅」がある名古屋市中村区です。名古屋駅に近い名古屋市東区も4万4,900円と家賃相場は高めで、中心地ほど家賃相場が高くなっていると言えるでしょう。静岡県に近い豊橋市の家賃相場は、3万2,300円でした。
大阪府の例
・大阪市浪速区:6万600円
・寝屋川市:2万7,000円
大阪市浪速区は南海本線「なんば駅」がある大阪の中心地で、家賃相場は6万600円です。ここだけを見ると、東京近郊の家賃相場とあまり変わりません。しかし、大阪の場合は中心地から離れると家賃相場が一気に下がり、寝屋川市では2万7,000円でした。
福岡県の例
・福岡市博多区:4万5,000円
・久留米市:3万400円
福岡県で比較的家賃相場が高いのは、福岡県博多区で4万5,000円。対して安かったのは久留米市の3万400円でした。東京や東京近郊と比較して、地域ごとの家賃相場に大きな差はあまり見られません。
北海道の例
・札幌市中央区:3万3900円
・函館市:2万3,000円
北海道も福岡県と同じく、家賃相場が地域ごとに大きく違うといった特徴はありませんでした。家賃相場が高めなのは、北海道の中心地であるJR函館本線「札幌駅」周辺の一部です。
アパートとマンションでどれくらい家賃が違う?
賃貸物件を探す際、「アパート」と「マンション」という2種類の表記を見る機会が多くありますが、実は明確に区別されているわけではありません。不動産会社によって、構造や建築材料によって区分していることが多いと言えるでしょう。
明確な区分はないものの、マンションのほうがアパートよりも設備や仕様がしっかりしていることが多く、家賃は高めの設定となっています。家賃の相場はアパートとマンションでどれくらい違うのか、物件情報をもとに比較してみましょう。
※以下の家賃の事例は、「pitat.com」に掲載されている物件をピックアップしたものです(2021年3月時点)。
京王線「桜上水駅」周辺の例
【マンションの家賃】
・例1:8万2,000円
・例2:8万1,000円
【アパートの家賃】
・例1:7万円
・例2:5万円
マンションの家賃は8万円ほど、アパートの家賃は5万~7万円ほどが目立ちました。京王線「桜上水駅」周辺の場合はアパートのほうが部屋は少し狭く、駅から遠い立地であることが、家賃相場が安かった理由の一つと考えられます。
JR総武線・中央線「中野駅」周辺の場合
【マンションの家賃】
・例1:10万2,000円
・例2:8万6,000円
【アパートの家賃】
・例1:7万3,000円
・例2:5万円
多くのマンションの家賃は8万円前後でしたが、10万円を超えるマンションもありました。新築・駅近のアパートでは家賃7万3,000円の物件があったものの、アパートの家賃相場はおおむね5万円ほど。マンションのほうが3万円ほど高く、立地や建物のスペックによっては家賃に2倍以上の差があることがわかります。
JR南武線・東急東横線「武蔵小杉駅」周辺の場合
【マンションの家賃】
・例1:13万7,000円
・例2:9万円
【アパートの家賃】
・例1:8万5,000円
・例2:8万2,000円
マンションの家賃は10万円を超えるケースがほとんどで、アパートの家賃相場は8万円ほどでした。「武蔵小杉駅」の周辺では、アパートの家賃相場も比較的高めです。新築・駅近だとマンションの家賃に近づきますが、基本的にはマンションのほうが1万円から2万円ほど高いと言えるでしょう。
家賃相場、「女性用物件」の場合は?
近年は、独身女性用のマンションも増えています。通常の物件よりセキュリティ面で優れており、オートロックやモニター付きインターホンなどの設備が基本になっている場合が多いです。その他、室内に非常ボタンや留守番タイマー照明が設置されている物件もあります。人気が多い場所や夜間でも街灯が明るい場所に、比較的多く建てられているようです。
設備が充実しているほど、家賃は相場より高くなっていきます。ただし、傾向としては通常のマンションより階数が低く、部屋は小さめです。女性用物件の家賃相場は通常のアパートよりは高く、マンションよりは安いことが多いと考えておきましょう。
たとえば、京王線「桜上水駅」周辺にある女性専用マンションの家賃は、6万8,000円や7万円でした。同地域のマンションは8万円ほど、アパートは5万円から7万円ほどが家賃相場だったので、マンションとアパートの間くらいの金額と言えます。
「中野駅」周辺にある女性専用マンションの家賃は、10万5,000円や6万5,000円でした。マンションの設備によっても、家賃相場は大きく異なります。同エリアのマンションは8万円から10万円、アパートは5万円から7万円が家賃相場でした。
一人暮らしの家賃を抑えるポイントは?
一人暮らしの家賃を抑えるためには、部屋探しの際に条件を緩める必要があります。では、どのあたりの条件を緩めればよいのでしょうか。自分が妥協できる点とできない点を見つけて、後悔のない物件探しをしましょう。
2階以上
防犯上の観点から、とくに女性の場合は2階以上のニーズが高いと言えます。しかし、治安がよい地域でセキュリティがしっかりした物件ならば、1階を選んでも問題はないでしょう。家賃は階数が上がるほど高くなる傾向があるので、条件次第では1階の物件も選択肢に入れてみてください。
駅近
最寄駅から近いほど家賃は高くなるので、駅からの距離を気にしなければ家賃は安くなります。20代なら、徒歩10分から15分の距離でも問題なく歩けるでしょう。駅から15分以上の物件なら、自転車で移動するのも手です。駅近の物件は確かに便利ですが、駅から遠めの物件には「移動が運動になる」というメリットがあります。
急行停車駅
急行停車駅や複数の路線が乗り入れている主要駅は、利便性が高いため家賃も高くなります。一駅ずらすだけでも家賃を抑えることは可能なので、物件を探す際は一つの駅に絞らないようにしましょう。とくに単線路線の場合はほかの駅よりも利用者が少なく、周辺の物件は家賃が安めです。「都心までの距離が近い『急行が停車しない駅』」より、「都心までの距離はやや遠い急行停車駅」のほうが家賃は高くなる可能性があります。
築年数
築年数は浅いほど家賃が高く、古いほど家賃が安くなります。築年数が古いと設備がしっかりしていないイメージもありますが、最近は入居者を確保するためにリフォームやリノベーションを施している物件も珍しくありません。築年数だけで決めず、部屋の状況を確認して判断しましょう。
広さ
部屋が広いと家賃は高くなるので、物件を決めるときにどれくらいの広さの部屋を選ぶかは重要です。部屋が広いと家具や荷物をたくさん置けますが、独身の場合はそれほどものが多くなりません。一人暮らしならば、ワンルームや1Kで十分生活できます。部屋の広さよりも、住みやすさを重視して物件を選びましょう。
大学の近く
大きな大学の周辺は、学生向けの物件が豊富で家賃は安い傾向にあります。飲食店が多いなど、住みやすい環境が整っているので、学生でなくても大学近くに住むのは「あり」でしょう。大学近くで人通りが多くにぎやかなのは、防犯上大きなメリットです。
設備
設備が充実している物件は魅力的ですが、その分家賃は高くなります。意外と設備を使わないこともあるので、物件探しの際は本当に必要な設備なのかよく考えましょう。とくに宅配ボックスや自動ドアは、なくてもあまり困りません。反対に、治安があまりよくない地域に住む場合はオートロックなどの設備が必須なので、セキュリティの妥協はしないほうがよいでしょう。
一人暮らしの家賃は手取りの30%以下を目安にしよう
一人暮らしの家賃は、収入(額面全体)ではなく手取りの30%以内に抑えるようにしましょう。そうすることで、生活にも余裕が生まれます。「趣味を大事にしたい」「サークル活動を頑張りたい」など、家賃を抑えてでも生活費にお金をかけたい場合は、さらに家賃を下げる選択肢も考えてみてください。
利便性が高く、都心に近い地域ほど家賃は高い傾向にありますが、条件を緩めながら部屋探しをしてみましょう。駅からの距離や築年数、広さ、設備などの条件から、自分のなかで妥協できるポイントを見つけることが大切です。
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