- 家を建てるタイミングは、結婚・出産や世帯主の昇進といった人生の転機が多い
- 横ばいだった戸建て住宅の価格が2020年から上昇傾向との調査結果が出ている
- 親などから住宅取得を目的とした贈与を受けた場合、非課税にできる住宅優遇制度がある
【データで見る】家を建てるタイミングの平均
いざ家を建てようと思っても、どのタイミングが最適なのかわからず悩むことは少なくありません。そこで、まずは平均データをもとに家を建てるタイミングを紹介します。各項目の詳細を確認し、家を建てるタイミングを決める際の参考にしてみてください。
家を建てる時点での平均年齢
出典:国土交通省 「令和3年度住宅市場動向調査報告書」
国土交通省の調査によると、初めて家を取得した世帯主の平均年齢は注文住宅で40.0歳、分譲戸建住宅で37.2歳です。なお、購入年齢の割合においては30歳代が最も多く、注文住宅は 46.5%、分譲戸建住宅は50.0%という結果となりました。
40代・30代になると20代のときよりも年収が増えて貯蓄に余裕ができ、住宅ローンの審査に通りやすくなることから、このタイミングに家を建てるケースが多いと考えられます。また、30代に入ると結婚して子どもを持つ人が増えるため、子どものためにマイホームの購入に踏み切る場合も多いでしょう。
家を建てる時点での平均収入
国土交通省の調査において、家を初めて取得した世帯の全国平均世帯年収は、注文住宅の場合で733万円、分譲戸建て住宅の場合で703万円でした。なお、住宅ローンの平均年間返済額は注文住宅で139.4万円、分譲戸建て住宅で126.0万円です。
出典:国土交通省 「令和3年度住宅市場動向調査報告書」
一般的に、年間ローンの返済負担率(年収に対する年間ローンの返済割合)の安全圏は25%までといわれています。 平均年収に対する住宅ローンの平均年間返済額の返済負担率は、注文住宅の場合で18.1%、分譲戸建て住宅の場合で19.8%でした。 世帯年収700万円ほどであれば返済負担率の安全圏をクリアし、余裕を持ってローンを返済しやすいことから、家を建てる判断をする人が多いのだと考えられます。
出典:国土交通省 「令和3年度住宅市場動向調査報告書」
家を建てる時点での平均居住人数
出典:国土交通省 「令和3年度住宅市場動向調査報告書」
国土交通省の調査では、家を建てる時点の平均居住人数は注文住宅の場合で3.3人、分譲戸建て住宅の場合で3.6人でした。 割合で見てみると、注文住宅は居住人数3人が29.5%、分譲戸建て住宅は居住人数4人が37.5%と最も多い割合を占めています。 このことから、子どもが1〜2人いる時点で家を建てる人が多いといえるでしょう。
家を建てるタイミングはいつ?
家を建てるタイミングは、人によってさまざまです。
そこで、ここからはどのようなタイミングで家を建てているのか、主な例を紹介します。
結婚・出産をしたとき
結婚がきっかけの場合は「パートナーと新たに暮らしていくための場所を作りたい」、出産がきっかけの場合は「子育てしやすい場所で定住したい」という考えから家を建てることが多いです。結婚と出産いずれの場合も、月々の家賃の支払いを続けるよりも早めに資産として家を持ち、家賃と同等のローンを返済した方が経済的なメリットがあるという考え方もあります。
ただし、結婚のタイミングで家を建てる場合は、将来的に子どもが増えて部屋が足りなくなる可能性があるため注意が必要です。また、出産のタイミングで家を建てる場合は、育休中のパートナーが働けない間に収入が下がるリスクがありますので、余裕を持った資金計画が欠かせないでしょう。
子どもが入園・入学するとき
子どもが入園・入学する時点で家を構えて定住先を決めておけば、転園や転校による子どもへの負担を減らせます。特に、高校生になってからの遠方への引っ越しは編入試験などの手間がかかるため、子どもが学校に通いやすい場所にあらかじめ家を建てておくことで、面倒を防げるでしょう。
ただし、新居の場所が決まらないと入園・入学先も定まらず、入園・入学の申し込み期限に間に合わなくなるリスクがあります。その場合は、申し込み期限に間に合うよう余裕を持って新居の引っ越し先を決めることが大切です。
子どもが独立するとき
子どもの独立後は「子どもが使っていた部屋が不要になった」「夫婦で住むのには部屋が広すぎる」といった理由で家を建てる判断することがあります。 夫婦で暮らしやすい間取りやバリアフリー設計など、老後の生活を視野に入れた家づくりをできるのがメリットです。
しかし、老後資金や受給年金とのバランスを考えないと資金繰りに苦労する可能性が高まります。余裕を持った資金計画を立て、慎重に判断する必要があるでしょう。
昇進・昇格したとき
昇給・昇格によって収入が上がると住宅ローンの審査に通りやすくなるため、家を建てるのにちょうどよいタイミングだといわれています。収入が上がればローンの返済にも余裕ができ、安心感を持って家を購入できるでしょう。
ただし、会社の業績悪化などによって将来的に年収が減るリスクを考慮に入れないまま高額ローンを組むと、返済が苦しくなる場合があります。今後の収入の見通しも考えて適切なローンを組むことが重要です。
今の家が住みにくいと感じたとき
賃貸物件の騒音トラブルやご近所トラブル、転職によって職場が遠くなったなど、現在の家に住みにくさを感じたときも家を建てるタイミングになります。 不満や不快感を抱きながら同じ家に住み続けるより、新しい家を建てて心機一転できるのがメリットです。
しかし、賃貸から戸建てに移る場合は固定資産税や老朽化による修繕費など、ローン以外にもさまざまな費用が発生します。 資金繰りを意識したうえで、余裕を持って暮らすための計画を立てる必要があります。
返済計画の見込みが立ったとき
返済計画とは、ローン完済までの計画のことです。家を建てるときは、家の購入金額だけでなく将来のライフプランや支出も考慮に入れて返済計画を立てる必要があります。 住宅ローンの期間は30〜35年に設定するのが一般的であるため、期間内に余裕を持って完済できる資金繰りの見込みが立った際も家を建てるタイミングになるでしょう。
きちんと返済計画を作っていれば、身の丈に合わないローンを組んで経済苦に陥るのを防げます。 ただし、年収は将来的に上がる可能性があれば下がる可能性もあるため、現在の年収の上限ギリギリで返済計画を作るのはリスクが高いです。 将来的なリスクも加味しておかなければ、計画通りに進まないこともありますので注意してください。
マイホーム購入経験者の世帯平均年収と購入理由は?
クラモアが独自に調査したマイホーム購入経験者へのアンケート結果では、「1,000万円以上」(26.2%)、「500万~700万円未満」(25.9%)、「700万~1,000円未満」(24.5%)、「500万円未満」(23.3%)でした。
参考:【不動産売却経験者にアンケート調査!】売却時に重要視したことは?
全体的な世帯年収割合を見ると、それ程大きな差はなく、それぞれ2割前後を占めています。
次いで、世帯年収別のマイホーム購入理由は、下記の通りです。
最も多い理由が「家族や子供のライフステージの変化」で、それぞれの世帯ともに全体の約3割を占めています。 続いて「良い物件との出会い」「結婚」という結果になりました。
4番目に多い「住宅ローン(低金利・控除利用したい為)」の割合を見ると、世帯年収の金額が高い程、占める割合が増加している事がわかります。
【2023年】最新の注文住宅市場の動向
国土交通省の調査によると、2009年以降ほぼ横ばいだった戸建て住宅の価格が2020年から上昇傾向にあることがわかりました。 不動産価格が上昇している理由としては、低金利政策が不動産需要を高めているのに加え、建設資材価格の高騰も挙げられます。 一般財団法人建設物価調査会の調査において、建築部門の物価指数は前年同月比で9.2%上昇していました。
建設資材価格が上がっている要因は、ロシア・ウクライナ情勢による資源価格の上昇、新型コロナウイルスによる建築資材の輸送の停滞や価格上昇、日本とアメリカの金利差による円安などがあります。 今後の資材価格上昇によっては、新築物件の価格もさらに上がる可能性があるでしょう。
また、2022年12月に日銀が金融政策を変更し、長期金利の目標上限を引き上げたことから、金利は長期固定金利を中心に上昇傾向を辿っています。 金利の上昇は返済金額の負担増にも繋がるため、金利の動向も確認しながら適切な判断を下すことが重要です。
出典:国土交通省 「不動産価格指数 令和4年10月・第3四半期分」
出典:一般財団法人建設物価調査会 「建設物価 建設資材物価指数® 【 2023年1⽉分 】」
家を建てるタイミングで利用できる住宅優遇制度
住宅優遇制度とは、一定の条件を満たせば減税などの優遇を受けられる制度のことです。
制度を上手に利用することでお得に家を建てられる場合もあるため、どのようなものがあるのか確認しましょう。 主な住宅優遇制度(2023年2月時点)としては、下記が挙げられます。
①長期優良住宅など、物件のタイプによって減税に繋がる控除を受けられる住宅ローン控除制度
②長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅を新築で取得した場合に一定額を所得税から控除できる認定住宅等新築等特別税額控除制度(※住宅ローン控除との併用は不可)
③父母や祖父母などから住宅取得を目的とした贈与を受けた場合の贈与税が限度額に応じて非課税になる(適用期限:2023年12月31日)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度
④新築住宅の固定資産税を3年間まで1/2に減税する(適用期限:2024年3月31日)固定資産税の減税
家を建てるタイミングに関するよくある質問
家を建てる際には、さまざまな面で疑問に感じることもあるのではないでしょうか。
そこで、ここからはよくある質問に回答していきます。
Q.新型コロナの影響は家を建てるのに影響する?
前述の通り、新型コロナによる建築資材の輸送の停滞や価格上昇の影響が長引けば、新築物件の価格が上がる可能性があるでしょう。また、新型コロナによって家にいる時間が増えたことから、光熱費を節約できる省エネ住宅に注目が集まっています。
Q.家を建てるなら何月がよい?
一般的に、木材に悪影響を与える梅雨の時期は避けた方がよいとされているため、4〜5月もしくは10〜11月の着工が理想的です。 ただし建築会社は季節ごとの対応策をきちんと考えていますので、過度に神経質になる必要はないでしょう。
Q.貯金はいくらくらいで家を建てた?
国土交通省の調査によると、土地の価格を除く注文住宅の住宅建築資金は全国平均3,459万円で、このうち預貯金や退職金、有価証券売却金で支払った自己資金の割合は17.3%(=約600万円)です。残りは、親からの贈与や遺産相続、ローンなどでまかなわれています。
なお、家を建てる際は住宅建築資金だけでなく、当面の生活費や教育資金などのために200〜300万円ほど追加で用意しておくとよいといわれています。よって、貯金額は800〜900万円が目安となるでしょう。
出典:国土交通省 「令和3年度住宅市場動向調査報告書」
Q.両親から資金援助を受けたら贈与税がかかる?
両親から資金援助を受けた場合、基礎控除を差し引いた分の贈与税がかかるのが原則です。 ただし、前述の通り2023年12月31日までは限度額(省エネ住宅は1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円まで)に応じて非課税になります。
Q.定年退職後はどうやって住宅ローンを返済するの?
健康状態が許せば、定年退職後も仕事を続け、収入や貯蓄を増やしながら住宅ローンを返済するのも1つの方法です。 また、持ち家を担保として資金を借りるリバースモーゲージや親子でローンを返済する親子リレーローンなども選択肢にあります。
まとめ
家を建てるタイミングは、年齢や収入、住宅市場の動向などを総合的に考えて決める必要があります。 大きな買い物だからこそ、将来を見据えて納得のいく返済計画を立てることが大切です。 余裕を持って理想の家を建てられるよう、タイミングを見極めていきましょう。
これから一戸建て購入を検討している方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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