- 二世帯住宅は子どもの面倒を両親に見てもらえるなどのメリットがある
- 二世帯住宅は3種類の間取りがありそれぞれ費用相場が違う
- 二世帯住宅の費用を抑えるには補助金などを活用しよう
二世帯住宅は小さい子どもの面倒を両親に見てもらえるなど、メリットがたくさんあります。しかし、実際に二世帯住宅を購入するとなると、どれくらいの費用がかかるのか心配という方も多いでしょう。二世帯住宅は間取りによっても価格が変動するので、あらかじめ希望の間取りをしっかりと考えておく必要があります。
今回は二世帯住宅のメリットをはじめ、二世帯住宅はどれくらいの価格で購入できるのか、費用を抑えるポイントなどもご紹介します。
二世帯住宅にしかない魅力はたくさんある
両親と一緒に暮らす二世帯住宅は、子どもの面倒を代わりに見てもらえるなど、さまざまなメリットがあります。
ただし、一緒に暮らすなかで不便に感じる部分も少なからずあるため、どのような住宅づくりを行うのか理解しておくことが大切です。ここでは、二世帯住宅のメリットやデメリットについて詳しくご紹介します。
忙しい子世帯の代わりに両親が子どもの面倒を見てくれる
共働きの子世帯夫婦の場合、子どもの面倒を十分に見てあげることが難しいときもあるでしょう。とくに小さい子どもの場合は、保育園などの送迎をするため仕事を早く切り上げないといけません。また、子どもが風邪を引いたときには、途中で退社しないといけないケースもあるでしょう。
二世帯住宅で両親と住んでいる場合は、そんな忙しい子世帯夫婦の代わりに子どもの面倒を見てもらえます。保育園のお迎えや、子どもが体調不良で家で休んでいるときの看病もお願いすることができるでしょう。
とくに子どもが二人以上いる場合は、共働き夫婦だけでは子育てやすべての家事を行うのは難しいもの。共同で子育てを行えば、お互いが忙しいときに手助けしながら豊かな生活を送ることができます。
二世帯が別々に暮らすよりも生活費の節約になる
二世帯が一緒に暮らすことで、別々に暮らして生活するよりも生活費を削減するきっかけになります。とくに共同のキッチンや風呂などの設備を利用すれば、毎月のガス代や水道代を節約できるでしょう。
ほかにも通信費などの固定費も一つにまとめられるので、お互いが支払うよりもお得に済ませられます。ただ二世帯住宅の間取りによっては、生活費を分けて計上するのが難しいケースもあるでしょう。初めから「生活費は折半する」と決まっているのであれば問題ありませんが、使用量に差があるといった理由からトラブルになることもあります。そのため、二世帯でどれくらい費用を負担するのか、明確に決めておくようにしましょう。
お互いのプライバシーを守るのが難しい
二世帯住宅の間取りによっては、設備を共同で使用することからそれぞれのプライバシーを守るのが難しくなることも。血縁関係にある場合には気兼ねなく話せることでも、血縁関係がない家族からするとストレスの一端になる可能性があるでしょう。
生活スタイルが違うため生活音が気になる
仕事で遅くなることもある子世帯の場合、夜遅くに風呂に入ったりトイレに行ったりすることもあるでしょう。そのような生活音は一緒に住んでいる親世帯の耳にも届きやすくなります。音漏れの大きさや頻度によっては、世帯間でトラブルに発展する可能性もあるので十分な注意が必要です。生活スタイルが異なる二世帯はとくに、生活音が響かない間取りや対策が重要になってくるでしょう。
二世帯住宅の価格は間取りで変わってくる?費用相場を解説!
メリットも多い二世帯住宅ですが、気になるのは「どれくらいの価格で購入できるのか」という点でしょう。二世帯住宅の価格は間取りによって大きく変わるため、生活スタイルに合わせるだけでなく予算も合わせて検討する必要があります。 二世帯住宅の間取りは主に3タイプあり、費用相場も異なります。基本となる3タイプの間取りについて、費用相場とあわせて解説します。
すべての設備を共同で利用する「完全同居型」は2,000万円程度
二世帯ですべての設備を共同で使う「完全同居型」は、通常の新築物件と購入費用は大きく変わらないでしょう。お互いのプライバシーを確保しにくいですが、3タイプのなかでも購入費用は安いのが特徴です。
具体的な価格は、平均坪単価を50万円としたときに40坪で新築購入すれば、「坪単価50万円×40坪=2,000万円程度」になります。 導入する設備などによっても価格は変動しますが、事前に坪単価がいくら程度なのかを把握しておきましょう。
二世帯が別々の設備を利用する「完全分離型」は3,000万円から3,600万円
玄関や設備など、あらゆる物が二世帯分用意されているタイプが「完全分離型」です。お互いの生活空間をしっかりと分けられることから、世帯間のプライバシーを守りやすいのが特徴です。ただ設備が増える分、費用がほかのタイプよりも高額になるケースが多いので注意しましょう。
具体的には、新築を建てるときの平均坪単価が50万円とすると、完全分離型は1.5倍から1.8倍 の費用がかかります。そのため、完全分離型を40坪で新築購入したときの費用は、「坪単価50万円×40坪×1.5~1.8=3,000万円~3,600万円程度」になるでしょう。導入する設備の内容によっては、さらに高額な建築費用となるケースもあります。
一部の設備は共同で使用する「部分共有型」は2,200万円程度
玄関は一緒でも風呂などの設備を世帯別に分ける「部分共有型」は、完全分離型よりもプライバシーは確保できないものの、ある程度は生活スペースを分けることが可能です。ただし、共有する設備が多いほど、二世帯住宅の購入価格は低く抑えられます。
部分共有型を新築購入するときの平均坪単価が50万円とすると、部分共有型は1.1倍程度の費用がかかるでしょう。そのため、部分共有型を40坪で新築購入したときの費用は、「坪単価50万円×40坪×1.1=2200万円程度」になります。
二世帯住宅を購入するときにかかる土地や建築費以外の費用
土地や建築費以外にも、二世帯住宅を購入するときには費用がかかります。主な費用としては登記費用や不動産取得税、固定資産税などです。
「登記費用」は二世帯住宅を購入する際にかかってくる費用で、所有者が誰なのかを記録するときに必要になります。「不動産取得税」は、不動産価格に3%(2021年の3月31日までの税率) をかけて算出された金額を土地や物件の所有者に課せられる税金のことです。「固定資産税」は1月1日時点で、二世帯住宅を所有している方に請求される税金のことを指します。
金額は固定資産税評価額によって決められるため、自治体ごとに異なります。二世帯住宅を購入する際にはこれらの費用も発生するため、事前に予算を検討しておく必要があります。
単独登記にかかる費用は3万円から7万円
親世帯・子世帯のどちらか一方の名義で登記を行うことを「単独登記」と呼びます。不動産登記を専門家である司法書士に依頼する場合、依頼する司法書士によって費用は異なりますが、単独登記は3万円から7万円程度の費用がかかります。親世帯と折半する場合、子世帯の名義で単独登記すると贈与税がかかるので注意しましょう。
共有登記にかかる費用は10万円程度
親世帯と子世帯が共同の名義で登記することを「共有登記」と呼びます。共有登記を行うときにかかる費用は10万円程度で、費用負担は折半でも問題ありません。各世帯が住宅ローン控除を受けられるので、税金対策として有効に活用できるでしょう。
区分登記にかかる費用は20万円程度
完全分離型の登記の際に行うことが多い「区分登記」は、二世帯それぞれを個々の住宅として認識するために行われます。登記を行うには20万円程度の費用が発生しますが、不動産取得税などの税金関係の控除申請時に軽減措置を受けられます。
お問い合わせページに移動します
二世帯住宅を検討しているなら知っておきたいポイント
二世帯住宅を新築購入するなら、事前に知っておきたいポイントがいくつかあります。それは、費用負担は登記や相続を意識して決めていく必要があるということ。また、間取りについては、両親の介護なども視野に入れたうえで決めていくことが重要になります。後のトラブルに発展しないように、双方で慎重に話し合いを重ねましょう。
登記や相続の方法は事前に話し合って決めておく
二世帯住宅を購入するうえで、登記の方法などは事前に把握しておく必要があります。登記は費用負担によってどちらの名義にするのか変わってくるため、世帯間でどれくらいの費用を出すのかあらかじめ決めておくことが大切です。
親世帯と折半して二世帯住宅を購入したにもかかわらず、子世帯のみの名義で登記を行うと後から贈与税の支払いが課せられます。また、二世帯住宅などの相続に関しても、親世帯と同居していない兄弟姉妹とあらかじめ話し合っておくことが重要です。
高齢の両親のためにもバリアフリーなどを検討しておく
二世帯住宅をつくるにあたって、今は問題なくても後々必要になるバリアフリーについても考慮したほうがよいでしょう。車椅子のまま入ることができるホームエレベーターを導入したり、トイレを広めに設けたりと、さまざまな工夫が求められます。
また、二世帯住宅が子世帯だけになったときに、二世帯住宅をどのように取り扱うのかを事前に決めておきましょう。
二世帯住宅を購入するとき費用を抑えるポイントを把握しておこう
二世帯が共同して暮らすことからさまざまなメリットが得られる二世帯住宅ですが、購入価格は比較的高いのが難点です。ここからは、そんなときに役立つ費用を抑えるポイントについてご紹介します。
二世帯で一緒に使用する設備を増やす
完全分離型のように二世帯で別々に設備を導入すると、その分費用がかかります。できるだけ費用を抑えたいのであれば、二世帯で共同使用する設備の数を増やすのがおすすめです。とくに風呂やトイレなどの水まわりは、数が増えるほど設備の導入費用が高くなる傾向に。ほかにも収納スペースなどを共有できる設計にするのも費用を抑えるポイントです。収納スペースを共同で使用する場合は、お互いのスペースをしっかり分けておくと安心でしょう。
譲れない部分以外はこだわりを少なくする
自身の趣味の部屋など間取りにこだわるのもいいですが、それ以外はこだわる部分を少なくすることが費用削減につながります。たとえば、外観にアレンジを加えた設計にすると建築費用が余計にかかりますが、できるだけシンプルな設計に仕上げることで費用を抑えられます。理想的な間取りやデザイン性を取り入れすぎると、その分価格も高額になっていくので注意しましょう。
経済政策として実施されている補助金を有効に使う
二世帯住宅を購入する際に、条件をクリアすれば補助金を有効に使えることもあります。国土交通省が経済政策として行っている補助金の一部を購入費用に充てることができれば、お得に二世帯住宅を建てられるでしょう。
二世帯住宅で有効的に使える補助金の内容としては「すまい給付金」や「地域型住宅グリーン化事業」などがあります。すまい給付金は、収入によっては最大50万円を給付してもらえることも。また、地域型住宅グリーン化事業の条件に合う住宅であれば、100万円~185万円(/戸)を支援してもらえるでしょう。
二世帯住宅の相続税が8割引きになる制度とは?
条件を満たすことで二世帯住宅の相続税が「8割引き」になることも。それは「小規模宅地等の特例」と呼ばれる制度で、相続人が納税資金を調達する負担を軽減してくれるのが特徴です。具体的に小規模宅地等の特例とはどのような制度なのか、条件などを解説していきます。
小規模宅地等の特例を受けるには同居している必要がある
二世帯住宅を相続する際に「小規模宅地等の特例」を受けるなら、「亡くなった方と同居していた親族」である必要があります。亡くなった方と相続人の関係性によって相続人の要件が異なるため、事前に対象者であるか確認しておくことが大切です。この相続人の要件をすべて満たした方であれば、相続税8割引きの対象になります。
区分登記の場合は小規模宅地等の特例が適用されない
二世帯住宅を購入した際には、後から不動産取得税や固定資産税などが課せられます。その際に、完全分離型であれば「区分登記」することができ、税金負担を軽くする措置が受けられるでしょう。
ただし、区分登記にしてしまうと小規模宅地等の特例を受けることができなくなります。小規模宅地等の特例は二世帯住宅に暮らしている親族が、屋内で行き来できるような状態ではないと適用されないためです。税金を下げる目的で区分登記を受ける場合には、小規模宅地等の特例に適用しなくなることを理解しておきましょう。
二世帯住宅の価格は間取りや設備によって変わる
両親と一緒に暮らす二世帯住宅は、子どもが小さいうちは代わりに面倒を見てもらえるなどのメリットがあります。しかしプライバシーを守りにくいなどのデメリットもあるので、事前に対策を講じておく必要があるでしょう。
間取りのタイプによって費用相場が異なりますが、そのなかでも完全分離型の費用が最も高くなるため、しっかりと話し合って理想の二世帯住宅を叶えましょう。補助金などを利用して費用を抑える方法もあるので、ぜひ有効活用してくださいね。
あわせて読みたい
よくある質問
-
お部屋探しに役立つ情報はありますか?
-
物件探し(不動産購入・売却)について役立つ情報はありますか?
この記事をシェアする
お部屋を探す
特集から記事を探す
記事カテゴリ
おすすめ記事
物件をご所有されている方、
お住まいをお探しの方
売りたい
土地活用・相続の相談がしたい
売るか貸すかお悩みの方はこちら