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【2024年版】住宅取得等資金贈与の非課税特例が延長!新制度を解説

更新日:2024.02.21

【2024年版】住宅取得等資金贈与の非課税特例が延長!新制度を解説

2023年12月31日までの制度であった「住宅取得等資金贈与の非課税特例」が3年間延長され、2024年以降も使えるようになりました。2024年3月16日以降に竣工する物件にも利用できますので、2024年3月15日までの入居要件に合致しなかった人も、今から使えば間に合います。では、2024年の住宅取得等資金贈与の非課税特例は、どのように変わったのでしょうか。この記事では「2024年の住宅取得等資金贈与の非課税特例」について解説します。

  • 住宅取得等資金贈与の非課税特例は、2027年12月31日まで延長された
  • 質の高い住宅のうち、省エネ住宅の要件が厳しくなった
  • 2024年3月16日以降に竣工する物件もまだ間に合う

もくじ

  1. 住宅取得等資金贈与の非課税特例とは

  2. 住宅の要件

    1. 新築住宅の要件

    2. 中古住宅の要件

  3. 入居要件と適用を受けるための手続き

  4. まだ間に合う!2024年3月16日以降に竣工する物件の要件

  5. まとめ



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住宅取得等資金贈与の非課税特例とは

住宅取得等資金贈与の非課税特例とは、マイホームの取得を目的として受けた贈与に関して、一定額まで贈与税が非課税となる制度です。 2023年12月31日までの制度でしたが、適用期間が3年間延長され、2027年12月31日まで利用できるようになりました。

2027年12月31日までにマイホームの取得資金として贈与を受けた場合、以下の金額まで贈与税は非課税となります。

贈与年 質の高い住宅(※) その他の住宅
2024/1/1~
2027/12/31
1,000万円 500万円

※省エネルギー性・耐震性又はバリアフリー性の基準を満たす住宅

住宅取得等資金贈与の非課税特例では、贈与者(財産を与える人)と受贈者(財産をもらう人)に要件があります。 それぞれの要件は、下表の通りです。

対象者 要件
贈与者 受贈者の直系尊属が対象です。直系尊属とは自分より前の世代の直通する系統の親族であり、
父母のほか、祖父母や曾祖父母からの贈与も対象となります。
受贈者 贈与を受ける年の1月1日現在で18歳以上の贈与者の直系卑属が対象です。
直系卑属とは、自分より後の世代の直通する系統の親族であり、子や孫が対象となります。
ただし、受贈者は贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下の者に限られます。
対象者 要件
贈与者 受贈者の直系尊属が対象です。
直系尊属とは自分より前の世代の直通する系統の親族であり、父母のほか、祖父母や曾祖父母からの贈与も対象となります。
受贈者 贈与を受ける年の1月1日現在で18歳以上の贈与者の直系卑属が対象です。
直系卑属とは、自分より後の世代の直通する系統の親族であり、子や孫が対象となります。
ただし、受贈者は贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下の者に限られます。

非課税の対象となる贈与の資金とは、以下のようなものが該当します。

  • 【非課税対象となるもの】

  • 住宅用家屋の新築または建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得(土地も含む)
  • 中古住宅用家屋の取得(土地も含む)
  • 住宅用家屋の増改築など(土地も含む)
  • 住宅の新築に先行してその敷地の用に供された土地などの取得

適用対象となる住宅は、家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用(マイホーム)に供されるものであることが必要です。
また、対象となる住宅の面積要件は以下の通りです。

【面積要件】
50㎡(※)~240㎡以下

※:原則は50㎡ですが例外として、所得税の合計所得金額が1,000万円以下の人は40平米以上と対象となる。

マンションの場合には、専有部分の面積が上記の面積要件を満たしている必要があります。
詳細要件に関しては、以下の国税庁のホームページをご参照ください。(2024年の制度に関する情報は2024年4月1日以降に反映されます。)

国税庁 「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

住宅の要件

この章では、新築と中古のそれぞれの住宅の要件について解説します。

新築住宅の要件

住宅取得等資金贈与の非課税特例は、質の高い住宅では1,000万円、その他の住宅では500万円の非課税枠があります。

2024年以降の新築住宅では、質の高い住宅の要件が2023年末までと一部異なっている点に注意が必要です。 質の高い住宅とは、以下のいずれかの基準に適合するものとなります。

  • 【2024年以降の質の高い住宅】

  • 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上であること。
  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること。
  • 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること。

最大のポイントは、要件の中で一番上に記載している省エネ住宅の要件が厳しくなった点です。 2023年12月末までと2024年1月以降の要件を比較すると、下表のようになります。

2023年12月末まで 2024年1月以降
断熱等性能等級4以上
または
一次エネルギー消費量等級4以上
断熱等性能等級5以上
かつ
一次エネルギー消費量等級6以上

省エネ住宅の要件が厳しくなった理由としては、2025年4月(予定)から原則として全ての住宅が省エネ基準へ適合することが義務化された点が挙げられます。

省エネ基準適合住宅とは、断熱性能等級が4以上、かつ、一次エネルギー消費量等級が4以上の性能を有する住宅のことです。 2023年12月末までであれば、省エネ基準適合住宅は質の高い住宅に該当していた住宅になります。

国土交通省※によると、新築住宅に関しては、省エネ基準適合住宅2020年において全住宅の83.7%が省エネ基準適合住宅に該当しています。

※:国土交通省 「住宅ローン減税省エネ要件化等についての説明会資料

中でも延べ面積が300平米未満の住宅に関しては、90.7%の新築住宅が省エネ基準適合住宅です。 すでにほとんどの新築住宅が、2023年末の基準では質の高い住宅に該当しているため、2024年以降は省エネ住宅のハードルを少し引き上げたということになります。

中古住宅の要件

中古住宅の面積要件や質の高い住宅の要件は、新築住宅と同じです。
ただし、耐震性に関して要件があり、以下のいずれかの建物に該当する必要があります。

  • 【中古住宅の基本的な要件】

  • 1982年(昭和57年)1月1日以後に建築されたもの
  • 新耐震基準に適合することが証明されたもの、または、既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入しているもの(取得の前の2年以内に加入したものに限る)

入居要件と適用を受けるための手続き

入居要件と適用を受けるための手続き

住宅取得等資金贈与の非課税特例には、入居要件があります。
特例を受けるためには、贈与を受けた年の翌年の3月15日までにその住宅に入居することが必要です。

また、3月15日以後遅滞なくそのマイホームに居住することが見込まれるときは、例外的に3月15日を超えても特例を利用できます。 ただしこの例外要件は、注文住宅を建てるときのみであり、マンションや建売住宅には適用できません。 例外が認められる注文住宅も、3月15日までに棟上げしている(屋根と骨組みを有した建造物として認められる状態になっている)ことが必要です。

住宅取得等資金贈与の非課税特例を受けるためには、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に確定申告をすることが必要となります。

まだ間に合う!2024年3月16日以降に竣工する物件の要件

新築マンションや建売住宅の中には、3月末に竣工する物件も多くあります。
たとえば、3月20日に竣工する新築マンションでは、3月15日までの入居要件を満たすことができなかったため、2023年12月末時点までの住宅取得等資金贈与の非課税特例は利用できませんでした。

ただし、2024年以降も住宅取得等資金贈与の非課税特例が延長されましたので、2024年1月1日以降に贈与を行えば2024年3月16日以降に竣工する物件にも特例を利用することができます。 なお、以下のいずれかの要件を満たしている新築住宅であれば、省エネ住宅の要件が2023年末の要件と同じ「断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上」となります。

  • 【例外として、2024年以降に質の高い住宅として認められる要件】

  • 2023年12 月 31 日までに建築確認を受けているもの
  • 2024年6月 30 日までに建築されたもの

省エネ住宅の要件が2023年末の要件と同じになっているのは、竣工が2024年3月16日以降であったために、住宅取得等資金贈与の非課税特例を利用できなかった人に対する救済措置であるからです。

まだ間に合いますので、住宅取得等資金贈与の非課税特例の利用を諦めていた人は、早急に利用を検討して頂ければと思います。

まとめ

以上、2024年の住宅取得等資金贈与の非課税特例について解説してきました。
住宅取得等資金贈与の非課税特例は、2027年12月31日まで延長されています。 2024年以降の省エネ住宅の要件は、「断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上」に変わった点が特徴です。 2023年末までの住宅取得等資金贈与の非課税特例を諦めていた人でも、2024年以降なら利用できます。

マイホームの取得にあたり、住宅取得等資金贈与の非課税特例を活用することも是非検討してみてください。



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不動産鑑定士

竹内 英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら

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