- マンション査定前の掃除は、基本的に査定額に影響しない
- 内覧前に掃除することで、売買が成約しやすくなる可能性がある
- 自分で掃除できない場合は、ハウスクリーニングを検討するのもおすすめ
マンション査定前の掃除は査定額に影響を与える?
マンション査定前の掃除は、基本的に査定額に影響することはありません。
もちろん、極端に散らかっている・汚れているという場合は、マイナス査定になる可能性は多少あります。 しかし、通常の生活の範囲であれは、掃除の有無が評価に関わることはほとんどないのです。
そもそも、不動産査定とはマンションの立地や構造・部屋の位置・市場などで評価され、これらは「マンションの資産価値」に該当します。 掃除に関しては、これらに関わらない部分で評価されるので、査定前の掃除が査定額に影響することはないのです。
ただし、査定を受けるうえでのマナーとして掃除は大切です。 不動産会社の担当者もきれいに掃除された部屋とそうでない部屋では、売主に対しての印象に違いが出るでしょう。
不動産会社の担当者は、これから長い期間売却を共にするパートナーです。 査定に来るのに部屋をきれいにしてもらえていないとなると、売主に対する評価や信頼性に影響する恐れがあります。 担当者と良い関係性を築くためにも、最低限の掃除はしておきましょう。
マンションの訪問査定ではどこを見る?
掃除の有無は、査定に響かないことは分かりました。 では、不動産会社の担当者はどのようなポイントをチェックするのでしょうか。
査定時のチェックポイントを把握することで、査定額アップにつながることもあります。
ここでは、査定のポイントについて解説します。
机上査定と訪問査定の違い
査定とは、不動産会社が不動産を評価し「売れるであろう金額」を算出することです。
査定基準は不動産会社によって異なりますが、おおよそ3か月以内に売れる金額を提示するのが一般的でしょう。 不動産会社が行う査定には、次の2種類があります。
- 机上査定
- 訪問査定
机上査定
机上査定とは、築年数や所在地などデータをもとに算出する査定です。 簡易査定とも呼ばれ、インターネットで簡単に受けられる不動産会社も多くあります。
机上査定の場合、査定依頼してから即日や2・3日と短期間で結果を得られるという魅力があります。 ただし、データのみで査定するためマンションの内部の状態や周辺環境といった、個別の事情は反映されません。 そのため、実際の売却額と大きく異なる可能性も高い点には注意が必要です。
訪問査定
一方訪問査定とは、不動産会社の担当者が直接マンションを見ながら査定する方法です。 築年数などのデータに加えて、実際のマンション内部の状態や周辺環境なども考慮して査定するため、精度が高い結果が得られるという特徴があります。
しかし、訪問査定は査定結果を得るまでに時間がかかるものです。
担当者との日程調整や査定計算などの時間がかかり、査定依頼から結果を得るのに1週間から1ヵ月程時間がかかる場合があります。
とりあえず金額を知りたいだけなら机上査定、本格的に売却に進む場合は訪問査定が適しています。 机上査定で不動産会社を2~3社に絞って、訪問査定を受ける流れであれば効率よく不動産会社選びができるのでおすすめです。
以下では、机上査定・訪問査定それぞれでチェックされるポイントをみていきましょう。
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机上査定で見られるポイント
机上査定で見られる主なポイントは、下記の通りです。
住所/築年数/面積/間取り
机上査定では上記のデータをもとに、過去の近隣物件の成約価格や市場動向と該当マンションのデータを比較して査定額を算出するのが一般的です。 マンションの場合は、近隣マンションや自分の所有するマンションの別の部屋の成約価格などを元に算出されます。
また、築年数や立地の良さも重要になってきます。
一般的に、築年数が古いほど売却額は下がる傾向があるものです。 周辺に駅や商業施設・公的施設がある・地価が高いなどの立地の良さも、査定額に関わってきます。
机上査定は、上記のようにマンションのデータのみをもとに査定を算出します。
査定依頼時には、おおよそのデータ(専有面積など)のみでも大丈夫ですが、より正確な査定が知りたいなら登記簿などをチェックして正確な数値を入力するとよいでしょう。
訪問査定で見られるポイント
訪問査定では、築年数などのデータに加えて、実際の状態をチェックして査定していきます。
主にみられるポイントとしては、下記が挙げられます。
- マンションの状況
- 管理状況
- 周辺環境
訪問査定で見られるポイント
訪問査定では、データだけではわからないマンションの状況を直接見てチェックされます。
主なチェック項目は、次の通りです。
- マンションの劣化や損傷状態
- 設備の有無
- 実際の間取り
- 日当たりや風通し
- 眺望など
壁や床の損傷や設備不良などがあると、査定額が低くなる恐れがあります。 反対に、築年数が古くても状態が良ければ査定額がそれほど落ちない可能性もあるでしょう。
また、床暖房や浴室乾燥機など人気の設備があれば査定額アップが期待できます。
間取りも3LDKといったデータではなく、実際の配置や広さ・家事動線などがチェックされ、一般的には奇抜な間取りよりも、万人受けするシンプルな間取りの方が査定額は上がりやすいです。 日当たりの良さ・風通し、マンションであれば眺望の良さも査定額アップにつながりやすくなります。
管理状況
「マンションは管理を買え」と言われるほど、マンションは管理状態が重要です。
査定時にも、管理の状態はチェックポイントとなります。 エントランスやゴミ捨て場といった共有部分の状態・外装などのメンテナンス状態が良ければ管理が適切にされていると査定額アップにつながりやすくなるでしょう。
また、修繕積立金や管理費の額もチェックされます。 それぞれの費用が高いマンションは、買い手が付きにくいことから、低い評価になることがあります。
周辺環境
周辺環境も、マンション査定の重要なポイントです。
周辺環境では、次のようなことがチェックされます。
- 利便性や治安
- 周辺の競合
近くに駅や商業施設・学校・病院などの施設があると、利便性が高いと評価され査定アップにつながりやすくなります。
ファミリー世帯向けマンションであれば、公園・学校・スーパーなど子育て環境が整っているかという点もポイントになるでしょう。 同じエリアに似たようなマンションが売りに出ているかどうかも査定に関わってきます。
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内覧前の掃除は重要
査定前の掃除はあまり重要ではないとお伝えしました。
しかし、実際にマンション売却が開始された際は、掃除が重要になってくるタイミングがあります。 それが、内覧前です。
内覧とは、購入希望者が実際にマンションを訪れて物件をチェックすることで、購入判断の重要なポイントになるものです。 内覧する人は「物件を本当に購入してもいいのか」を実際の物件をチェックしながら、生活イメージを膨らませて判断していきます。
内覧する方の多くは、査定のような資産価値のチェックではなく、そのマンションで生活するにはどうかという点でチェックするものであり、見た目は重要なポイントになってきます。
いざ、内覧で部屋の中に一歩踏み入れてみると、掃除されておらず汚い状態では買い手はどう思うでしょうか。 少なくとも良い印象を抱かせることは難しく、購入にもつながらない可能性が高くなります。 反対に、きれいに掃除され整理整頓された部屋であれば良い印象を与えることができ、購入につながる可能性も高くなるのです。
内覧者に少しでもいい印象を与えられるかは、購入の成果を大きく分けます。
内覧前には徹底的に掃除して、部屋の印象アップを狙うようにしましょう。
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内覧前にマンションを掃除する際のポイント
ここでは、具体的に内覧前の掃除のポイントについて解説します。
内覧時に印象をよくするには「部屋を広く・明るく・清潔に見せる」ことが大切です。 そのための掃除のポイントを押さえておくようにしましょう。
掃除のポイントとしては、下記のようなことが挙げられます。
水回りをきれいにする
バスやキッチン・トイレ・洗面台といった水回りは、内覧時に重点的にチェックされるポイントです。 とくに、ファミリー世帯や女性の方が内覧する際には、念入りにチェックされる傾向にあります。 水回りがピカピカというだけでも印象アップしやすくなります。 シンクの水垢や油汚れ、浴室のカビ・ぬめりといった汚れはしっかりと掃除しておくようにしましょう。
ものを減らしておく
ものにあふれた部屋では、生活感が出てしまいます。
雑貨や日用品にこだわってオシャレでシンプルであれば、生活感が出ても清潔感があるため、良いイメージを与えることができます。 しかし、ただものにあふれただけの部屋の生活感では、清潔感やおしゃれと言った印象を与えにくく、いいイメージにはつながりにくいです。
また、ものが多いことで部屋が狭く感じてしまう原因にもなります。 売却後には引っ越しすることになるので、内覧前からものを減らして整理整頓を進めておくとよいでしょう。
不要なものを処分しきれない場合は、トランクルームなどの利用を検討するのもおすすめです。
匂い対策をしておく
内覧時の対策で見落とされがちなのが、匂い対策です。
「タバコは吸わない・ペットもいないからそんなに臭いはしない」と思っている方でも、自分の家の臭いは自分では分かりにくいものです。 自分では気にならなくても第三者が部屋に入ると匂うというケースは、珍しくありません。 排水溝のように分かりやすく臭う部分以外にも、ソファやカーペット・カーテンなどにも意外に生活の臭いが染みついているものです。
内覧時にはエアコンを稼働させるため、エアコンの臭い対策もしておきましょう。
消臭スプレーや洗濯・拭き掃除・フィルター掃除をしっかり行ったうえで、当日も事前に換気するなどが大切です。
喫煙者やペットがいる家庭は、より念入りに対策しておくようにしましょう。 また、仏壇のある家庭もお線香のにおいには注意が必要です。
匂いについては、自分では分かりにくい部分でもあります。 不動産会社の担当者など第三者の意見を聞きながら対策していくのもおすすめです。
玄関をきれいにする
第一印象を左右するポイントとなるのが、最初に足を踏み入れる玄関です。
玄関で悪い印象を与えてしまうと、内部をどんなにきれいにしていてもトータルでの印象をよくするのが難しくなります。
清潔で広く明るい玄関でお出迎えできるのが理想です。 不要な靴や荷物は処分する・照明を掃除し鏡はきれいに磨く・土埃はしっかり除去しておくなど重点的に掃除をしておきましょう。 土埃を除去してもタイルの汚れが目立つ場合は、タイルの磨き掃除などもしておくことをおすすめします。 また、玄関は靴の臭いが気になる場所でもあるので、臭い対策も忘れずにしておきましょう。
内覧当日は来客用のスリッパを多めに用意しておくことも大切です。
基本的には内覧者や不動産会社がスリッパを用意しますが、こちらでも用意しておくことに越したことはありません。
ベランダやバルコニーも忘れずに掃除する
油断しやすいのが、ベランダやバルコニーです。
マンションの高層階と言った場合、内覧者が眺望チェックするため、ベランダに出る可能性は高くなります。 砂汚れを除去して不用品は処分するなど、きれいに掃除しておくようにしましょう。
また、内覧時にすぐにベランダに出られるように履物を用意しておくのもおすすめです。
クローゼットなどの収納を見やすくする
クローゼットや押し入れ・ファミリークローゼットと言った収納は内覧者も気になるポイントです。 クローゼットは見られないだろうと判断し、部屋の荷物をとりあえずクローゼットへ押し込んでおくのはやめましょう。
収納力の高いマンションは、購入判断でもプラスに働くものです。 スッキリとしたクローゼットで収納力の高さをアピールできれば、いい印象を与えやすくなります。
破損部分を修復しておく
壁のキズや床のへこみといった破損部分は、できる範囲で修復しておくことをおすすめします。 とくに、見た目を大きく損なう・生活に支障が出るほどのキズや破損・故障は、改修しておくことが大切です。 排水管のつまりや空調の故障と言った部分も、事前に修理しておくことをおすすめします。
また、ソファなどの家具をどかすと壁の日焼け跡が気になるというケースも少なくありません。 修理が間に合わない傷や清掃でも対応しきれない日焼け跡などは、隠したいところですが、隠さずに正確に伝えておくことをおすすめします。
傷などを隠したまま売却すると、後々トラブルに発展する恐れがあります。
プロでないと手に負えないような不具合については、事前に不動産会社に伝えて対応方法をアドバイスしてもらうとよいでしょう。
玄関ポストや駐車場の草も確認しておく
マンションを内覧する場合、部屋だけでなく共有部分もチェックされます。 エントランスから部屋までの通路もチェックして、できるだけきれいに掃除しておきましょう。
ただし、共有部分に置かれている他の人の荷物を勝手に触ってはいけません。
共有部分に他の人の所有物があり、自分の掃除だけではきれいにならないという場合は、管理人などに相談するようにしましょう。
しかし、管理人に相談してもすぐに対応してもらえないことがほとんどです。
内覧日前日や当日に相談しても間に合わない恐れがあるので、できるだけ早い段階で相談しておくことが大切です。
ハウスクリーニングやリフォームも検討すべき?
内覧前のハウスクリーニングはおすすめしますが、リフォームは注意が必要です。
ハウスクリーニングは、掃除の時間が取れない・自分の掃除では手に負えないという場合に有効です。 内覧前に掃除しようと思っても、部屋全体の掃除にはかなりの時間がかかります。 頑固なカビや水垢など汚れの程度によっては、時間をかけてもなかなかきれいにならない場合もあるでしょう。 そのような場合は、専門会社に依頼してきれいに掃除してもらうハウスクリーニングの検討をおすすめします。
リフォームについては、自分で判断せずに不動産会社に相談することをおすすめします。
壁紙やフローリングを張り替えることで見た目がきれいになるケースもありますが、選ぶデザインや色によっても印象が大きく変わります。 自分好みにリフォームしても、買い手のニーズに合っていなければ購入にはつながりません。
その場合、リフォームにかけた費用が無駄になる恐れもあります。
リフォームを検討している場合は、不動産会社に現状を見てもらい相談した上で、実施個所を決めることをおすすめします。
不動産買取なら掃除は不要?
マンションの売却方法が「買取」であれば、基本的に掃除は不要です。
そもそも不動産買取とは
不動産を売却する方法には、「仲介」と「買取」の2種類があります。
仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に入って売却を進めてくれる方法です。 一般的な不動産売却と言えば、仲介が該当します。
買取とは、不動産会社が不動産を直接買い取る方法です。
仲介と買取では、次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
仲介 | 高値で売却できる | 仲介手数料がかかる/売却に時間がかかる |
買取 | 仲介手数料がかからない/短期間で売却できる | 市場価格より安値になる |
メリット | デメリット | |
---|---|---|
仲介 | 高値で売却できる | 仲介手数料がかかる 売却に時間がかかる |
買取 | 仲介手数料がかからない 短期間で売却できる |
市場価格より 安値になる |
仲介は、市場で売却するので条件によっては高値での売却が期待できます。 ただし、仲介で売却した場合は不動産会社への仲介手数料が必要です。 さらに、仲介での売却では一般的に3か月~半年ほど時間がかかり、不動産によっては1年以上売却できないケースも珍しくありません。
買取の場合、不動産会社との条件に合意できればそのまま売却に進めるため、1ヵ月ほどの短期間での売却が可能です。
しかし、買取では不動産会社は買取った後にリフォームして再販することを目的としているため、買取価格が市場価格よりも安値になります。 目安としては市場価格の7~8割ほどと言われているので、相場よりも安くなる点には注意が必要です。
安くてもすぐに売却したい・市場では売却が難しい物件などは、買取が適しているでしょう。
買取は内覧がないため、掃除はあまり重要ではない
買取の場合、不動産会社の査定に納得できればそのまま売却に進みます。
仲介のように内覧は必要ないので、内覧前のように徹底的にきれいにする必要はありません。 とはいえ、不動産査定と同様に、ある程度掃除しておくのはマナーであるため、できる範囲で掃除しておくとよいでしょう。
また先述したように、不動産会社は買取った後にリフォームして再販します。 事前にリフォームしたとしても買取価格がアップすることはないので、リフォームの検討は必要ありません。
不動産買取の注意点
買取の注意点としては、下記のようなことが挙げられます。
- 市場価格よりも安くなる
- 必ず買い取ってもらえるわけではない
買取価格は、市場価格の7~8割ほどと言われています。 仲介で売却できる物件を買取で売却すると、売却額が大きく下がってしまうため、慎重に決めることが大切です。
ただし、買取の場合は仲介手数料やハウスクリーニング・リフォームと言った費用を抑えられる分、トータルでは仲介とそれほど変わらないケースもあります。 買取を検討している場合でも、最初から買取一本に絞るのではなく、仲介と比較して検討するとよいでしょう。
また買取は、再販することを見越しているため、再販の需要がない物件では買い取ってもらえない可能性もあります。 不動産会社によっては、買取に対応していない場合もあるため、買い取ってもらえるかを事前にきちんと確認することが大切です。
まとめ
ここまで、マンション査定前の掃除の必要性や内覧前の掃除のポイントについてお伝えしました。 査定前の掃除は査定額に影響することはないので、マナーとしての掃除程度で問題ありません。 徹底的な掃除が必要になるのは、内覧前です。 買い手の印象を少しでも良くできるように掃除のポイントを押さえて、しっかり掃除することでスムーズな売却につなげやすくなります。
売却で失敗しないためにも、まずは信頼できる不動産会社を選び、売却を進めることが大切です。これからマンションの売却を検討されている方は、下記よりお気軽にご相談ください。
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宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら
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