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マンション売却に適した7つのタイミング!注意すべき下落予兆はある?

更新日:2023.07.24

マンション売却に適した7つのタイミング!注意すべき下落予兆はある?

近年、マンション価格の高騰が続いていることから、マンションは売りどきの状況が続いています。マンションの価格は株価のように変動していくため、高く売るにはタイミングを見計らうことが重要です。この記事では、これからマンションを売ろうとしている方に参考にしていただきたい「マンション売却のタイミング」について解説します。

  • 相場が上昇しているときや築20年以内であれば売りどき
  • 売りどきを見極めるポイントは低金利政策にあり
  • 不動産取引に何らかの規制がかけられたら下落の予兆信号

もくじ

  1. マンションはタイミングを見て売却した方が良い理由

  2. マンション売却に適した7つのタイミング

    1. 相場が上昇しているとき

    2. 築20年以内

    3. 引っ越しシーズン

    4. 修繕積立金が値上がりする前

    5. 大規模修繕を終えた後

    6. ライフイベントが変化したとき

    7. 手残りが十分に増えたとき

    8. みんなが不動産を売却するタイミングは?

  3. 売りどきを見極めるポイント

    1. 低金利政策が継続しているとき

    2. 新築マンション価格が高いとき

    3. 地価が上昇しているとき

  4. タイミングに注意!マンション価格が下落する予兆とは?

    1. 低金利政策が見直されるとき

    2. 不動産取引に何らかの規制が行われるとき

    3. 株価が大きく下落したとき

  5. 相続したマンションの売却タイミング

    1. 相続税納税までの時期

    2. 取得費加算の特例が利用できるまでの時期

  6. まとめ



 

マンションはタイミングを見て売却した方が良い理由

不動産の中には、土地や戸建て、アパート、マンション、店舗、オフィスビルなどのようにさまざまな種類が存在します。これらの不動産の中で、とくにマンションはタイミングを見て売却した方が良い不動産といえるのは、「現実的に建て替えが難しい」、「徐々に修繕積立金が高くなる」といった理由があるからです。

戸建てやアパートであれば、建物が古くなったら建て替えるという選択肢があります。マンションも理論的には建て替えはできますが、現実的には難しいです。

マンションの建て替えには、区分所有者および議決権(各区分所有者の共有部分の持分割合のこと)の各5分の4以上の賛成決議が必要となります。マンションの建て替えは修繕積立金だけで賄えるものではなく、実際には区分所有者の資金負担が必要となることも多いです。

古くなったマンションにはさまざまな経済的な事情を抱えている人が住んでおり、建て替え資金を捻出できない方もいます。そのため、実際には5分の4以上の賛成決議を得るのが容易ではないことから、建て替えはほぼできないケースが多いのです。マンションは将来の出口が見えにくく、老朽化していく一方の資産となりやすいため、タイミングを見て売却した方が良いといえます。

また、マンションは一般的に、築年数が古くなると毎月徴収される修繕積立金も高くなっていきます。マンションは、老朽化することでランニングコストが増えてしまう点がデメリットです。もちろん、戸建てでも古くなれば修繕費が増えてきますが、修繕のタイミングを所有者が自分の意思で決めることができるため、毎月の支出が増えるわけではありません。

マンションは、毎月強制的に修繕積立金を徴収されることから、老朽化したときのランニングコストの負担感は戸建てよりも重くなりやすいのです。そのため、コスト負担が重くなる前に、売却した方が良いといえます。

マンション売却に適した7つのタイミング

マンションは持ち続けるよりも、どこかのタイミングで売却した方が良い不動産です。
では一体、どのようなタイミングが売却に適しているのでしょうか。
この章では、マンション売却に適した7つのタイミングを紹介します。

相場が上昇しているとき

マンション価格の相場は、国内景気などの変動を受けながら、時代とともに変化していきます。マンションを高く売るのであれば、相場が上昇しているときに売却することが適切です。
以下に、首都圏における過去20年間のマンション価格の推移を示します。

首都圏の中古マンション価格の推移

出典:
公益財団法人東日本不動産流通機構 「首都圏不動産流通市場の動向(2012年)
公益財団法人東日本不動産流通機構 「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)

中古マンションは、長期的に見ると価格が上昇し続けています。グラフの変化を細かく見ていくと、2009年や2011年あたりにマンション価格が下落した時期がありました。2009年はリーマンショックの影響を受けた時期、2011年は東日本大震災の影響を受けた時期に該当します。国内の景気が悪化するような要因が生じると、マンション価格は下落することがあります。

需要が減っている時期とマンション価格が下落する時期は重なりやすいため、マンション価格の下落時は価格が安くなるだけでなく、売却までに時間もかかり売りにくいです。 そのため、マンション価格が下落しているタイミングは、売却を避けるべきといえます。

逆に、マンション価格が上昇しているタイミングは、売却の好機です。
首都圏の中古マンション価格は2013年以降継続的に上昇しており、昨年よりも今年売った方が高くなるという状況が10年以上続いています。そのため、待てば待つほど高く売れると、様子を見ている方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、マンションは土地価格と建物価格の合計で構成されており、建物価格は築年数が経過すると下落してしまいます。
以下に、築年数別のマンションの平均価格を示します。

首都圏の中古マンション価格の推移

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構 「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)

マンション価格は、築年数の経過に伴って下落することが一般的です。つまり、値上がりを期待して売却を待っても、築年数の経過によって建物価格が下がることから、必ずしも待てば高く売れるとも限りません。

売却のタイミングは迷うところですが、価格の上昇時はスムーズに売却しやすく、築年数の浅い物件もスムーズに売却しやすいという傾向があることは知っておきたいところです。そのため、価格が上昇しているタイミングであれば、待たずに売ってしまった方が良いといえます。



 

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築20年以内

マンションは、築何年以内に売るべきかという点に関し、明確な答えはありません。人によってさまざまな回答が出てくる部分です。

築年数に関してはさまざまな意見がありますが、平均より高く売るには築20年以内に売るという考え方もあります。理由としては、中古マンション市場で取引されている平均築年数よりも浅いからです。

公益財団法人東日本不動産流通機構によると、2022年の首都圏で取引された中古マンションの平均築年数は「23.33年」です。2013年から2022年までの中古マンションの平均築年数を10年で均すと「約21年」となります。つまり、築20年以内の物件は市場の中で築年数が浅い部類の物件であり、相場よりも高く売却しやすいのです。そのため、築年数に関しては「築20年以内」に売ることが一つの目安といえます。

ただし、築20年以内というのも絶対的な正解ではありません。人によっては「築10年以内で売るべき」と主張をする人もいます。確かに、昨今は築10年以内に売ると新築時よりも高く売却できている不動産も多く存在します。投資家のように値上がり益を期待して売却する人にとっては、築10年以内に売るというのも一つの考え方です。

一方で住宅ローン残債によっては、築20年を超えたタイミングで売却した方が手残りは増えるケースもあります。住宅ローンの返済を進めていくと手残りが増える場合には、築年数を過剰に意識する必要はありません。築年数に関しては人によってベストタイミングが異なるため、柔軟に捉えることが望ましいといえます。

なお、2021年12月31日までは、原則として築25年超のマンションは、買い主が住宅ローン控除を利用できないというルールがあったことから、築25年超のマンションは売却しにくい傾向にありました。

しかし、2022年1月1日以降、築25年ルールは緩和され、「原則として1982年(昭和57年)1月1日より前に建築されたものは、住宅ローン控除を適用できない」というルールに変わりました。そのため、以前よりは築25年超のマンション(ただし、1982年1月1日以後に建築された建物)でも売却しやすくなったといえます。

引っ越しシーズン

引越しシーズンも、マンション売却のタイミングの一つです。
引越しシーズンは、物件の取引件数が伸びるため、売却しやすくなります。
以下の表は、2022年に売買が成約した、首都圏における中古マンションの取引件数を示します。

首都圏の月別マンション取引件数

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構 「月例速報 2022(令和4)年12月度

毎年、4月の入社や異動に備えて2~3月に住宅を購入する人が増えることから、マンションの取引件数も伸びます。取引件数は1年を通じて2~3月に伸びる傾向があることから、引越しシーズンを狙って売却するのもおすすめです。

取引件数が伸びている時期は購入希望者が多く、早く売れる傾向にあるため、値引きされる可能性も低いです。希望価格でスムーズに売却しやすいという点で、引越しシーズンは良いタイミングといえます。

マンション売却では、売り出してから買い主が決まるまで3ヶ月程度の時間がかかることが一般的です。また、売買契約から引き渡しまでの期間は1ヶ月程度空きます。そのため、3月に引き渡しを終えることを想定すると、4ヶ月前の12月頃から売り出し始めることが理想です。不動産会社に査定を依頼するなどの準備期間を考慮すると、11月くらいから売却に向けた準備を始めることが適切といえます。

修繕積立金が値上がりする前

マンション売却をするなら、修繕積立金が値上がりする前に売ることも一つのタイミングといえます。

修繕積立金と管理費は、マンションのチラシやインターネット広告に記載されることが一般的です。購入希望者が気にする情報の一つであることから、金額が低い方が好印象を持たれやすいといえます。

修繕積立金は、5年ごとに計画的に上がっていくマンションも多いです。あらかじめ修繕積立金が上がることが分かっている場合には、増額される前に売った方が良いといえます。

大規模修繕を終えた後

大規模修繕を終えた後は、売却する一つのタイミングといえます。

大規模修繕は、共用部のリフォームのようなものです。大規模修繕の内容はインターネット広告やチラシなどにも書くことができ、購入希望者に対するアピールポイントになります。外観が綺麗になっていたり、エレベータや玄関扉が刷新されたりしていれば、購入希望者が実際に物件を見に行ったときの印象も良いです。

マンションは共用部の大規模修繕がアピールポイントになるため、必ずしもキッチンなどの専有部(自分の部屋のこと)でリフォームをしていなくても物件の長所が存在します。共用部の大規模修繕を上手に活用しながら、物件の魅力を伝えるのも賢い売り方です。
売却する前は、最近行われた大規模修繕の内容を整理しておくことをおすすめします。

ライフイベントが変化したとき

マンション売却のタイミングは、市況や大規模修繕の実施、引越しシーズンといった外的な要因だけでなく、売り主自身に発生する内的な要因も重要です。

たとえば、家族が増えて手狭になったり、転勤で引越す必要が出たり、老後に住み替えたりする場合はライフイベントの変化に伴う売却です。ライフイベントの変化は、市況や大規模修繕の実施などの外的な変化のタイミングとは関係なく訪れます。もちろん、ライフイベントの変化と外的要因による売りどきが重なれば理想ですが、必ずしも両者は一致しないことも多いです。

ライフイベントの変化による売却は、売り主の内的要因により行う売却といえます。必要性の高い売却であれば、必要なときに売るのが自然ですし、売ったタイミングで後悔することも少ないはずです。

とくに、2013年以降はマンション価格が上昇しており、いつでも売りどきの状態が続いています。今売る必要がある人であれば、ライフイベントの変化と外的要因による売りどきが重なっている状態といえますので、売却タイミングとしては理想的です。

手残りが十分に増えたとき

マンションは住宅ローン残債を抱えている人も多いため、売却後の手残りを考慮することもタイミングを考える上で重要です。

一般的にマンションは築年数が浅いうちに売った方が良いともいわれますが、手残りを考慮すると必ずしも得しないこともあります。手残りとは、売却代金から住宅ローン残債と諸費用・税金を控除したものです。

築年数と手残りの関係をイメージ化すると、下図のようになります。

築年数と手残りの関係

売却価格は一般的に築年数が浅い方が高いものの、手残りを考慮すると必ずしも築年数が浅いうちに売却することが得とは限らないといえます。理由としては、住宅ローンの返済は一般的に「元利均等返済であること」と、マンション価格には「土地価格がある」からです。元利均等返済とは、元金と利息を合わせた返済額が毎月一定額となる返済方法を指します。

元利均等返済は、返済当初は元金が多いことから毎月の返済額のうち、利息の占める割合が大きくなります。返済当初は利息ばっかりを払っているようなイメージであり、なかなか元金が減っていかないことが特徴です。

そのため、マンションの所有期間が短いと元金の返済が進んでおらず、手残りも少なくなってしまいます。住宅ローンは返済を継続していくと、後半は毎月の返済額のうち元金の占める割合が大きくなり、急激に住宅ローン残債が減っていく点が特徴です。

一方で、マンション価格も築年数が経過すると下落していきますが、ゼロ円にはなりません。マンション価格がゼロ円にならない理由は、マンション価格には土地価格もあるからです。築年数が経過するとマンション価格が下落するのは、建物価格が下落していることが原因となっています。

マンション価格は建物価格が下落しきれば、土地価格が残ることからやがて下げ止まっていきます。そのため、築年数が古くなると、住宅ローン残債は急激に減るのに対し、マンション価格は下げ止まるという状況が訪れます。住宅ローンの減り方とマンション価格の下がり方は同じではないため、手残りは築年数が古くなった方が多くなることもあるのです。

ただし、手残りの増え方は、住宅ローンの借り方によっても異なります。とくに、頭金が少なくフルローンに近い状態で購入している人は、返済を十分に進めた段階で売却した方が手残りで得するケースがあります。築年数が浅いうちに売るだけが唯一の正解ではありませんので、タイミングは手残りも考慮した上で検討することが望ましいです。

みんなが不動産を売却するタイミングは?

クラモアが独自に調査した「不動産売却経験者へのアンケート」結果によると、不動産の売却理由は以下の通りでした。 不動産を売るタイミングにお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

参考:【不動産売却経験者にアンケート調査!】売却時に重要視したことは?

不動産の売却理由は?(複数回答)
不動産の売却理由は?(複数回答)

不動産の売却理由について、1位から3位までをご紹介します。

【1位】不要物件の処分
地方への転勤や親の相続など、不要物件を所有している方が多いことが分かります。
不要物件は、そのまま放置していても固定資産税等の支払いや管理コストがかかるため、早めに売却する・不動産活用するなどの対策を講じることが大切です。

【2位】今が売り時だと考えた
闇雲に売却するタイミングを決めるのではなく、価格動向や需要バランスなどの“不動産市況”を注視している方が多数いることが分かります。

【3位】こどもの成長にあわせて広い住まいが必要だった
【3位】相続

家族構成の変化や生活スタイルの変化は、住み替えを検討する一つの目安となります。特に、子どもの出産や進学は住み替えのタイミングとして代表的です。

不動産の売却は、適切なタイミングを見極めることが大切です。
大切な不動産の売却で失敗しないためにも、不動産市場や売却のノウハウを持ち、その地域に精通した担当者がいる「信頼できる不動産会社」と、二人三脚で売却活動を進めましょう。



 

売りどきを見極めるポイント

マンション価格が上昇しているときは、売りどきです。マンション価格の上昇は、いつまで続くのでしょうか。この章では、売りどきを見極めるポイントについて解説します。

低金利政策が継続しているとき

近年、日本の不動産価格が上昇している理由は、日銀の低金利政策が大きく影響しているといわれています。日銀が異次元金融緩和政策と呼ばれる超低金利政策を開始した2013年頃から、マンション価格も上昇しています。

日銀は日本の物価をコントロールする立場にある中央銀行であり、国内の物価を安定的に上昇させていくために低金利政策を継続しています。日銀が金利を低くすると、それに伴って住宅ローンの金利も低くなります。 住宅ローンの金利が低くなれば、利息を含めた返済総額が少なくなることから、多くのお金を借りやすくなります。住宅ローンが組みやすくなると高額の住宅を購入しやすくなるため、それに伴って不動産の価格も上昇していくのです。

日銀が今後の金融政策をどのように進めていくかは、日銀の金融政策決定会合と呼ばれる話し合いで大筋が明らかになっていきます。直近では2023年4月に金融政策決定会合が行われましたが、ここでは「大規模な金融緩和(低金利政策)を続けるべき」という意見が打ち出されました。

したがって、今のところ低金利政策は継続される見込みは強いです。低金利政策が継続されれば、マンション価格の上昇も続きますので、今後も売りどきが続く見込みは高いといえます。

新築マンション価格が高いとき

中古マンションの価格は、新築マンションの価格にも大きな影響を受けます。新築マンションの価格が高くなると、価格が高過ぎることで新築マンションの購入を諦め、中古マンションを購入する人が増えます。新築マンション市場から中古マンション市場へと多くの需要者が流れ込むことから、中古マンションの価格も高くなるのです。

首都圏の新築マンション価格は、2021年にバブル時代の価格を超えました。さらに2022年も値上がりしたため、2年連続でバブル時代の価格を上回っています。新築マンション価格は、かつて経験したことのない高価格の水準まで達しており、徐々に購入が難しくなってきています。昨今では、新築よりも割安感がある中古マンションを買い求める人が増えてきたため、中古マンションの値段も上がってきたのです。

一方で、新築マンションの値段が高くなり過ぎれば、そのうち、新築マンションを購入する人が減り、新築マンションの価格も下がるのではないかという推測も沸きます。しかしながら、新築マンションの購入需要は衰えておらず、むしろ条件の良い超高級物件ほどすぐに売れる状況が続いています。

新築マンションの購入需要が衰えない理由は、値上がり益を期待して購入している投資家の購入者が増えているためです。ここ数年、条件の良い新築マンションは、購入後、値上がりする物件が増えています。買った後に値上がりするのであれば、新築マンションは、ある意味で一番値段が安い状態です。

一方で、中古マンションは購入時が底値とは限らないことから、安く売って高く売り抜けることを目的としている投資家にとっては購入しにくい物件となります。 新築マンションは、値上がり益を期待している投資家には適した物件であり、投資家は何戸も購入していくことから新築マンション需要はなかなか衰えないのです。
よって、インフレが続いている状態においては、新築マンションの需要は衰えず、新築マンションの価格高騰は継続するものと予想されます。

地価が上昇しているとき

低金利政策に伴い、インフレが起きると土地価格(地価)も上昇していきます。土地価格の上昇が続いているときも、マンションは売りどきといえます。理由としては、土地価格が高いと新築マンションの販売価格も高くなるからです。

マンションデベロッパーは、土地を仕入れて、建物を建て、利益を乗せて新築マンションを販売していきます。土地価格と建築費はマンションデベロッパーにとって原価となるため、原価が高ければ販売価格も高く設定せざるを得ません。昨今は、土地価格も建築費も高騰していることから、新築マンション価格も高くなってしまっているのです。

マンションは、マンションデベロッパーが土地を仕入れてから建物を建築し、販売するまで最短でも2年くらいはかかります。現時点で土地価格が高ければ、少なくとも2年後に販売される新築マンション価格も高くなっていることが推測されます。新築マンション価格が高ければ、中古マンション価格も高くなるという流れでした。よって、土地価格は数年後の新築マンションと中古マンションの値上がりを予想するうえで、重要な要素となります。

では、地価の上昇というのはどのように知れば良いのでしょうか。
地価の動向に関しては、地価公示または都道府県地価調査によって一般の人でも変動を知ることができます。 地価公示とは、国が毎年行っている土地価格の調査のことであり、3月頃に公表されます。 都道府県地価調査とは、都道府県が毎年行っている土地価格の調査のことであり、9月頃に公表される情報です。

ちなみに2023年の地価公示は、2023年3月22日に公表されました。2023年の地価公示は、全国平均で、住宅地や商業地、工業地の地価が上昇しています。 住宅地や商業地は2年連続、工業地は7年連続での上昇となっており、地価上昇は続いている状況です。

地価公示や都道府県地価調査の結果はニュースでも取り上げられることも多いため、一般の人でも地価の動向を知りやすくなっています。地価が上がっているという報道があれば、中古マンションの売りどきは続いていると解釈しても良いといえます。



 

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日本はかつてバブル崩壊を経験していることから、今のマンション価格は無限には上昇し続けないことを理解している人も多いと思います。では、マンション価格が下落するタイミングはどのようなときが考えられるのでしょうか。
ここでは、マンション価格が下落する予兆を紹介します。

低金利政策が見直されるとき

今後、マンション価格が下落する可能性があるときは、日銀の低金利政策が見直されるタイミングです。近年のマンション価格の上昇は日銀の異次元金融緩和政策がきっかけとなっていますので、低金利政策が終わればマンション価格は下落に転じていく見込みは高いといえます。

では、日銀がいつ低金利政策を終了するのかという点に関しては、誰も予測はできません。金融政策決定会合で低金利政策を止めるという方向になれば、金利は上がっていくことになります。

ただし、政策金利は国が発行している国債の利率とも連動するため、日銀が金利を上げてしまうと政府の歳出の中で国債の利払い部分が増えてしまうという問題があります。金利が上がると社会保障などの必要な歳出部分が削減される恐れがあり、金利は簡単には上げられないのではないかという見方も多いです。

不動産取引に何らかの規制が行われるとき

不動産価格の高騰が続けはバブル時代のように社会問題にも発展しかねないため、不動産取引に何らかの規制が入るといったことは考えられます。

たとえば、バブル時代には土地取引を抑制するために、地価税という税金が導入されていた時期がありました。地価税は今では停止していますが、制度としては残っており、このまま不動産価格が高騰し続ければ復活する可能性はあります。バブルを経験した日本では、ほかにも国土利用計画法などの不動産取引を抑制する制度が残っています。これらの規制が再発動すれば、不動産需要は減退し、価格は下落局面に転じていくと予想されるのです。

金利に関しては国債の利払いが増えるため上げにくいという側面がありますが、規制の復活に関しては十分にあり得ます。規制の発動は恐らく国から事前のアナウンスがあるはずですので、国が行う規制には注目したいところです。

株価が大きく下落したとき

株価が大きく下落したとき

出典:
国土交通省 「地価公示
日経平均プロフィル 「ヒストリカルデータ

株価は不動産の先行指標といわれており、不動産の価格は株価に遅れる形で変動していくことが一般的です。株価が上がれば1年後くらいに不動産価格も上がり、株価が下がれば1年後くらいに不動産価格も下がります。幸いにも1年くらいのタイムラグがあることから、株価を注視しておくと不動産価格の下落の予兆を知ることができます。

2023年6月時点では、株価は総じて上昇が続いている状況です。そのため、今のところ不動産価格は来年も上がっているものと思われます。株価は微増微減を繰り返しますので、少し下がった程度で判断する必要はありません。大きく下落する状況に至れば、不動産価格が下落するシグナルであるといえます。

相続したマンションの売却タイミング

相続したマンションのうち、とくに不要な物件は早めに売却することをおすすめします。理由としては、マンションは保有しているだけで管理費や修繕積立金、固定資産税、損害保険料などの維持費が発生するからです。

管理費や修繕積立金がある分、マンションは戸建てよりも維持費の負担が重いといえます。相続したマンションは早く売ることに越したことはありませんが、知っておきたい売却の期限があります。
ここでは、相続したマンションの売却で知っておきたい期限を紹介します。

相続税納税までの時期

相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内が申告と納税の期限となります。相続税は、現金納付が原則です。相続税が発生し、かつ、納税のための現金がない人は、期限まで不動産を売却して現金を準備することがよく行われます。

マンションの売却は、準備から引き渡しまで半年程度の時間を見込んでおくと安全です。10ヶ月目に現金が必要だとすると、相続から4ヶ月目には売却の準備に取りかかることが適切となります。

取得費加算の特例が利用できるまでの時期

10ヶ月目までに売却する必要がなかった人でも、相続税が発生した人は別の知っておきたい売却の期限があります。それは、取得費加算の特例が利用できる期限です。

取得費加算の特例とは、相続したマンションを売却する際に利用できる節税の特例を指します。取得費加算の特例が利用できるのは、「相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの売却」です。取得費加算の特例が利用できなくなると、売却時の税金が増えて損をしてしまうこともあります。

取得費加算の特例が利用できる人は、あくまでも相続税が課税されている人です。相続税は発生しない人も多いため、相続税が発生していない人は取得費加算の特例の期限は気にする必要はありません。

取得費加算の特例の詳しい要件に関しては、国税庁のホームページをご参考にしていただけると幸いです。
No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

まとめ

以上、マンション売却のタイミングについて解説してきました。
マンションは、「現実的に建て替えが難しい」、「修繕積立金が高くなる」といった理由からタイミングを見て売却することが望ましいです。

おさらいすると、売却に適したタイミングには、以下の7つがありました。

売りどきを見極めるポイントとしては、とくに「低金利政策が継続しているとき」がポイントです。一方で、「低金利政策が見直されるとき」や「不動産取引に何らかの規制が行われるとき」、「株価が大きく下落したとき」はマンション価格が下落する危険信号となります。

2023年7月時点では低金利政策が継続しているため、売りどきの状況です。高く売れる好機を逃さないためにも、タイミングの参考にしていただければと思います。
マンション売却を検討されている方は、下記よりお気軽にご相談ください。
 



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竹内 英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
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