二世帯住宅は、平成25年度税制改正によって小規模宅地等の特例の適用要件が緩和されました。 以前は、完全分離型の二世帯住宅では小規模宅地等の特例を適用できませんでした。が、2014年1月1日以降は、区分所有登記をしていないことなど一定の要件を満たせば、完全分離型であっても特例の適用が可能となっています。 この改正によって、部分共有型だけでなく完全分離型も選択しやすくなり、二世帯住宅のプランの幅は広がって自分たちのライフスタイルに合った住まいを実現しやすくなっています。 この記事では、「二世帯住宅と小規模宅地等の特例」について解説します。
- 一定の要件を満たせば完全分離型の二世帯住宅でも、小規模宅地等の特例は適用できる
- 小規模宅地等の特例を適用させるには、区分所有登記はしないことが注意点
- 子世帯の状況によっては、賃貸併用住宅という選択肢もある
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二世帯住宅にはどんな種類がある?
二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が一つの建物で暮らすことを目的に建てられた住宅のことです。 最初に二世帯住宅の主な種類について解説します。


部分共有型
部分共有型とは、建物の一部分を親世帯と子世帯で共有する二世帯住宅のことです。
たとえば、玄関だけ共有する、玄関とリビングを共有するといったパターンがあります。
部分共有型の特徴は、家の内部で親世帯と子世帯がお互いに行き来できる点です。
なお、平成25年度税制改正前までは、二世帯住宅で小規模宅地等の特例を適用するためには、部分共有型を選択する必要がありました。
完全分離型
完全分離型とは、建物内の居住スペースを親世帯と子世帯で完全に分けたタイプの二世帯住宅のことです。
完全分離型では、玄関や水回りも全て別々となり、連棟型の住宅となります。
完全分離型の特徴は、親世帯と子世帯の間でプライバシーを確保できる点です。
従来、完全分離型の二世帯住宅は小規模宅地等の特例を適用できませんでしたが、2014年1月1日以降は一定の要件を満たすことで適用できるようになりました。
小規模宅地等の特例とは
小規模宅地等の特例とは、相続や遺贈によって取得した土地のうち、一定の要件を満たす土地の相続税評価額が大幅に減額される制度のことです。
特に、土地単価の高い立地の物件に適用すると相続税を大きく節税できる効果が期待できます。
特例を適用するには、その土地が被相続人(亡くなった人)の自宅や事業用、または賃貸事業用などに利用されていたことが要件となります。
被相続人の自宅の土地の場合、330平米までの部分について相続税評価額を最大80%まで減額することができます。
また、被相続人の自宅の土地に特例を適用するためには、被相続人と同居していた親族が相続するなど、一定の要件を満たす必要があります。
小規模宅地等の特例は、相続税評価額を大きく引き下げられる非常に有利な制度です。
一方で、適用要件は複雑かつ厳格なため、実際に適用できるかどうかは税理士などの専門家に確認することをおすすめします。
二世帯住宅で小規模宅地等の特例を適用できる仕組み
小規模宅地等の特例は、被相続人の自宅や事業、賃貸事業などに利用されていた土地が対象とした制度です。 そのうち、被相続人の自宅の土地は「特定居住用宅地等」と呼ばれます。
特定居住用宅地等で小規模宅地等の特例を適用するためには、以下のいずれかの人が物件を相続することが必要です。
- 被相続人の配偶者
- 被相続人の居住用家屋に同居していた者
- 一定の要件を満たし、家を所有していない者(いわゆる家なき子)
上記のうち、二世帯住宅に居住している子どもは、「被相続人の居住用家屋に同居していた者」に該当します。 部分共有型はもちろんのこと、完全分離型のように住宅内部で行き来できない二世帯住宅であっても、同居とみなされる点が特徴です。
そのため、ほかの要件を満たしていれば、二世帯住宅の土地についても小規模宅地等の特例を利用でき、330平米までの部分について相続税評価額を最大80%減額することができます。
小規模宅地等の特例の落とし穴|区分所有登記に注意
二世帯住宅で小規模宅地等の特例を適用する場合、特に完全分離型を選択する際は、区分所有建物として登記しないことが最大の注意点です。
区分所有登記とは、一つの建物の中にある構造上・利用上独立した複数の部分を、それぞれ別個の不動産として登記することをいいます。
代表的な例として、分譲マンションの各住戸の登記方法が区分所有登記です。
二世帯住宅のうち、部分共有型は、そもそも区分所有登記ができません。
その理由は、玄関やキッチン、浴室などを共有していることが多く、構造上・利用上独立した住戸ではないからです。
一方で、完全分離型は、建物が構造上・利用上独立した部分で成り立っていることから、区分所有登記を行うことが可能です。
しかし、小規模宅地等の特例を適用するためには、完全分離型であっても区分所有登記をしないことが条件となります。
なお、構造上・利用上の独立性を満たす建物であっても、区分所有登記するか否かは所有者の判断によります。
たとえば、アパートは各戸が構造上・利用上の独立性を満たしますが、一般的には各戸を区分所有登記せず、一棟の建物として登記されています。
完全分離型の二世帯住宅も同様に、アパートのような一棟の建物として登記をすることで、小規模宅地等の特例の適用を受けやすくなります。
二世帯住宅の種類別に見る評価減
二世帯住宅で小規模宅地等の特例を適用できるか否かの原則的な見解は、下表の通りです。
| 種類 | 区分所有登記 | 特例適用の可否 |
|---|---|---|
| 部分共有型 | していない | 〇 |
| 完全分離型 | していない | 〇 |
| している | × |
上表の通り、完全分離型の二世帯住宅で小規模宅地等の特例を適用できるかどうかは、区分所有登記をしているか否かが大きなポイントとなります。
そのため、区分所有登記さえしなければ、部分共有型と完全分離型のどちらも選択肢とすることができ、自分たちのライフスタイルに合った理想的の二世帯住宅を建てることができます。
二世帯住宅と賃貸併用住宅の違い
賃貸併用住宅とは、自宅と賃貸住宅を一つの建物に併設した住宅のことです。
子世帯がすでに別の場所でマイホームを所有している場合には、二世帯住宅ではなく、賃貸併用住宅を建てることも考えらえます。
賃貸併用住宅は自宅部分と賃貸部分の2つがあるため、自宅部分では「特定居住用宅地等」、賃貸部分では「貸付事業用宅地等」として、小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。
貸付事業用宅地等とは、被相続人がアパート経営などの不動産賃貸事業を行っていた土地のことです。
特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等の主な違いは、下表の通りです。
| 項目 | 特定居住用 宅地等 |
貸付事業用 宅地等 |
|---|---|---|
| 用途 | 自宅 | アパートなど |
| 適用できる 限度面積 |
330平米 | 200平米 |
| 相続税評価額の減額割合 | 80% | 50% |
貸付事業用宅地等は相続税評価額の減額割合が50%であるため、特定居住用宅地等の方が相続税の節税効果は高くなります。
たとえば、賃貸併用住宅の土地のうち、6割が自宅部分、4割が賃貸部分に相当する場合、自宅部分は最大80%、賃貸部分は最大50%の減額ができる可能性があります。

ただし、自宅部分について小規模宅地等の特例を適用する場合、子世帯が被相続人と同居していないのであれば、配偶者もしくは「家なき子」の要件を満たす親族が相続することなど、ほかの要件を満たすことが必要です。
家なき子の特例は、相続人が相続開始前3年以内にマイホームを所有していないことなど、複数の要件を満たさなければなりません。 そのため、賃貸併用住宅における自宅部分で小規模宅地等の特例を利用できるかどうかは、事前に十分な確認を行うことが重要です。
まとめ
以上、二世帯住宅と小規模宅地等の特例について解説してきました。
二世帯住宅で小規模宅地等の特例を適用するにあたっては、区分所有登記をしないことが最大の注意点です。 平成25年度税制改正により、部分共有型だけでなく完全分離型も選べるようになったことから二世帯住宅のプランの選択肢が広がりました。
ただし、小規模宅地等の特例は適用要件が複雑であり、個別の事情によって適用可否が異なります。 また、登記の方法によって結果が変わるケースもあるため、税務については税理士、登記については司法書士などの専門家に確認することをおすすめします。
二世帯住宅の建て替えプランや間取りについて知りたい方は、下記よりお気軽にご相談ください。
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不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
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具体的な判断や行動にあたっては、必要に応じて専門家へご相談ください。
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