- 住宅ローン控除額は、通常10年間(ケースによっては13年間)で最大400万円
- 住宅ローン控除を受けるには、確定申告が必須
- 減税制度の拡充措置により、通常より多くの還付金が得られる可能性も
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住宅ローン控除を利用すれば、10年間(ケースによっては13年間)にわたって最大400万円の控除を受けることができます。しかし、住宅ローン控除を受けるには適用要件を満たす必要があり、確定申告の手続きもあるので少々複雑です。こちらの記事では、これから住宅ローン控除を申請しようとお考えの方のために、その仕組みや手続きの流れ、還付金の計算方法などについて詳しくご説明します。
住宅ローン控除の仕組みを解説
住宅ローン控除を利用するには、まず仕組みを理解する必要があります。住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームの取得やリフォーム・増改築などをする際に、一定額が所得税などから控除される制度のこと。正式名称は「住宅借入金等特別控除」で、「住宅ローン減税」と言う場合も同じ制度を指します。
住宅ローン控除は「税額控除」
住宅ローン控除が適用されると、原則10年間にわたって支払った所得税などの一部が毎年返還されます。控除には、税金の計算に反映される所得金額の一部が差し引かれる「所得控除」と、税額の一部が直接差し引かれる「税額控除」がありますが、住宅ローン控除は「税額控除」に該当します。
住宅ローン控除の適用要件
住宅ローン控除は「住宅ローンを組めば誰でも受けられる」というものではなく、適用要件を満たさなければなりません。適用要件はケースによって内容が異なるので、確認が必要です。それぞれの適用要件は次のとおりです。
住宅を新築、または新築住宅を購入した場合の適用要件
・減税を申請する人が、住宅の引き渡し日から6ヶ月以内にその住まいに居住すること
・住宅ローン控除を受ける年の所得金額合計が、3,000万円以下であること
・対象となる住まいの床面積が50㎡以上で、床面積の2分の1以上が自身の居住用であること
・対象となる住まいに対して、10年以上のローンを組んでいること
・居住用にした年とその前後2年を合わせた5年間に、譲渡による長期譲渡所得の課税特例の適用を受けていないこと
中古住宅を購入した場合の適用要件
中古住宅を購入した場合は、上記の適用要件に加え、以下のいずれかを満たす必要があります。
・住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得している住まいであること
・耐震基準適合証明書がある住まいであること
・既存住宅売買瑕疵保険に加入していること
・築年数が木造住宅は20年以下、耐火建築物は25年以下であること
リフォームや増改築の適用要件
リフォームや増改築で住宅ローン控除を申請する場合は、新築住宅の適用要件に加えて以下のいずれかを満たし、さらに工事費が100万円を超えていることが条件です。
・増改築、建築基準法で定められている大規模な修繕またはリフォーム工事であること
・マンションの専有部分のフロア、階段、壁の大部分に行うリフォーム工事であること
・一戸建て(一軒家)およびマンションの専有部分のうち、居間、台所、バスルーム、トイレ、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床、または壁のすべての部分に行う修繕・リフォーム工事であること
・現行の基準に適合する耐震改修工事であること
・一定のバリアフリー改修工事
・一定の省エネ改修工事
住宅ローン控除制度の注意点
住宅ローン控除に関する内容は変更される可能性があります。今回記載している内容は、2021年5月時点の情報です。また、住宅ローン控除の適用要件は複雑なため、不明点がある場合は国税庁や税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
控除によって、お金はどのくらい戻ってくる?
人生のライフイベントは、マイホームの購入だけにとどまりません。出産、育児、子どもの進学、家族の介護など、その都度まとまったお金が必要になります。住宅ローン控除によってどのくらいの金額が戻ってくるかを知っておけば、資金繰りもしやすくなり、還付金をより有効に活用できるでしょう。
以下では、住宅ローン控除によって還付される金額の計算方法を解説します。
住宅ローン控除を計算する際のポイント
住宅ローン控除で戻ってくる金額は計算式にあてはめればよいだけでなく、いくつかのポイントがあります。まずはそのポイントを確認しましょう。
年末時点のローン残高を基準に算出される
住宅ローン控除の控除額は、毎年の年末時点におけるローン残高の1%です。つまり、ローンを返済すればローン残高は減少するので、年々戻ってくる金額も減少していきます。
上限額が設定されている
ローン残高の上限(控除限度額)は4,000万円に設定されています。1年間で控除されるのはその1%なので、最高額は40万円となります。
所得税から控除しきれなかった場合
住宅ローン残高によっては、控除額が所得税額より高くなるケースもあります。その場合、控除しきれなかった金額は住民税から差し引かれます。ただし、住民税から控除される金額にも上限があり、所得税の課税所得金額の7%。最高額は13万6,500円です。
住宅ローン控除の計算方法
住宅ローン控除の計算式は、以下のようになります。
住宅ローン控除額=年末時点のローン残高×1%
住宅ローン控除のポイントを考慮しながら、実際に次のケースで住宅ローン控除額を計算していきましょう。
例:住宅ローン控除を受ける人の条件
年末時点のローン残高:3,000万円
所得税額:7万円
住宅ローン控除可能額を算出する
上記の計算式に金額をあてはめて金額を算出すると、以下のようになります。
住宅ローン控除可能額=3,000万円(ローン残高)×1%=30万円
仮にローン残高が4,500万円の場合、計算式では控除可能額は45万円となりますが、控除限度額が40万円なので超過した5万円分は控除されません。
所得税のみで差し引けるか確認する
所得税額が7万円なので、残りの23万円は住民税から控除されることになります。
30万円(控除可能額)-7万円(所得税額)=23万円
所得税からの控除と住民税から控除を合算する
住民税からの控除額は最大13万6,500円なので、超過した9万3,500円分は控除されません。よって、このケースにおける住宅ローン控除額の合計は20万6,500円となります。
7万円(所得税からの控除)+13万6,500円(住民税から控除)=20万6,500円
2年目以降も同様に計算することが可能です。
住宅ローン控除の手続きの流れ
住宅ローン控除は、申告した方を対象に支払った税金の一部が還付される制度です。「住宅ローンを組んだら自動的に減税される」というものではなく、初年度は確定申告が必要になります。続いては、確定申告の流れや必要となる書類について解説します。
そもそも確定申告とは
確定申告は、1年間の所得を申告して納税額を確定し、税金を納めたり払いすぎた税金を還付してもらったりする手続きのことです。確定申告の期限は翌年の2月16日から3月15日の間となっていますが、いずれかの日付が土・日・祝日の場合は翌開庁日が期限となります。
確定申告のやり方は4つ
確定申告では、「所轄税務署の窓口に提出する」「所轄税務署に郵送する」「e-Taxで申告する」「スマートフォンで申告する」のいずれかの方法が選べます。
書類を作成して確定申告をするときの流れ
今回は、「所轄税務署の窓口に提出」または「所轄税務署に郵送」で確定申告をする場合の流れをご紹介します。
確定申告に必要な書類を準備する
書類に不備があると、何度も税務署に行ったり書類を郵送したりしなくてはならなくなります。必要書類は、余裕をもって準備をしておきましょう。確定申告に必要な書類は次のとおりです。
・マイナンバーが記載されている書類
マイナンバーカード、または通知カード(2020年5月25日以降は個人番号通知書)を準備します。ない場合は、マイナンバーが記載してある住民票の写しか、住民票記載事項証明書を市区町村の役所で入手してください。
・確定申告書
会社に勤めていて所得が「給与所得」「雑所得(公的年金など、そのほか)」「配当所得」「一時所得」のみの場合は「確定申告書A」、それ以外は「確定申告書B」を準備します。確定申告用紙は、税務署、市区町村の役所、確定申告相談会場で入手するか、Webサイトよりダウンロード、またはWebサイトからの直接入力も可能です。
・住宅借入金等特別控除額の計算証明書
国税庁のWebサイトよりダウンロードしてください。
・源泉徴収票
給与所得者のみ必要です。
・土地・家屋の登記事項証明書
最寄りの法務局出張所にて申請し、入手できます。
・不動産売買契約書や工事請負契約書
住宅を購入した方は不動産売買契約書を、新築工事やリフォーム工事をした方は工事請負契約書の写しを用意しましょう。
・住宅取得資金にかかわる借入金の年末残高証明書
金融機関から送られてくる証明書のことです。
書類の作成を行う
記入が必要なのは、「確定申告書」「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」です。国税庁のWebサイトを参考にして作成するか、わからない場合は税務署の窓口や相談コーナーで問い合わせましょう。
必要書類を添付して税務署に提出する
郵送の場合は通信日付印が提出日となります。
還付金の入金を確認する
手続き完了から約1ヶ月後、確定申告時に指定した口座に入金があります。
覚えておきたい、減税制度の拡充措置
2021年3月に令和3年度税制改正(案)が可決・成立し、消費税の引き上げや新型コロナウイルス感染症の影響を理由に、減税制度の拡充措置が講じられるようになりました。さらに適用要件も緩和され、申請もしやすくなっているため、住宅ローン控除を申請すれば以前よりも多くの還付金が得られます。
だたし、減税制度の拡充措置には控除限度額や期限が設けられているので、住宅ローン控除を申請する予定の方はその点についても理解しておくことが大切です。ここでは、住宅ローン控除の拡充措置について詳しくご説明します。
消費税引き上げにより控除期間が3年延長
消費税とは、サービスや商品に課税される間接税のこと。不動産を購入した場合にも、課税されるケースがあります。まずは、不動産に課税される消費税について理解しましょう。
不動産に課税される消費税
一部の不動産のみに課税されます。具体的には「土地は課税対象外(非課税)」「建物は課税対象」ですが、個人から購入した場合も非課税となります。簡単にまとめると次のとおりです。
・土地を購入した場合:非課税
・法人や個人事業主からマンションや一戸建てを購入した場合:建物の部分は課税
・個人からマンションや一戸建てを購入した場合:非課税
消費税率は2019年10月1日に8%から10%へ引き上げられ、マンションや一戸建て(一軒家)を購入する際に支払う消費税負担額も増えました。たとえば5,000万円のマンションを購入した場合に支払う消費税額の違いは、次のとおりです。
・消費税率8%の場合:5,000万円×8%=400万円
・消費税率10%の場合:5,000万円×10%=500万円
消費税率が2%上がったことにより、消費税額は100万円増えています。
住宅ローン控除期間が延長
減税制度の拡充措置はこの「2%」の負担額を還元するためのもので、控除期間が10年から13年に延長されました。延長された11年目から13年目までの控除限度額が設定されており、控除限度額は次のうちの小さいほうが採用されます。
・住居借入金など年末残高(4,000万円が限度)×1%
・建物購入価格(4,000万円が限度)×2%÷3
新型コロナウイルス感染症拡大による入居期限が延長
仕事や学校の都合で引越しをする場合はやむを得ないですが、新型コロナウイルス拡大の防止策として引越しを延期されている方も少なくありません。そのような方々への配慮、そして新型コロナウイルスの影響で下り坂となった経済の立て直しを目的とし、住宅ローン控除が適用となる入居期限も2022年12月末までに延長されました。
入居期限が延長されても契約期限は設けられており、その契約期限は条件によって異なるのでご注意ください。注文住宅の契約期限は2021年9月末、分譲住宅・既存住宅の取得、増改築などの場合は2021年11月末となっています。
床面積要件も緩和
拡充措置の対象の物件で所得金額の合計が1,000万円以下であれば、床面積に関する適用要件は50㎡から40㎡以上に緩和されます。ただし、床面積が40㎡台の方は、2021年1月から2022年4月末までに入居した場合に限られます。
住宅ローン控除を活用して賢くマイホームを購入しよう
マイホームを購入する際にはさまざまな手続きや書類の準備が必要ですが、「住宅ローン控除」を受ける場合はさらに手続きが増えます。
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