- すまい給付金は、消費税増税にともなう住宅購入の負担を減らすための制度
- 最大50万円の給付を受けられ、住宅ローン控除(住宅ローン減税)との併用も可能
- 受給するには「収入額」「住宅引き渡し時期」「床面積」などの要件を満たす必要がある
お問い合わせページに移動します
「すまい給付金」とは、消費税率の引き上げによって増えた住宅購入にかかる金銭的負担を、軽減する目的で設けられた補助金制度です。消費税の増税に関しては生活費の問題に目が行きがちですが、住宅の購入にも消費税がかかることがあります。高額な住宅の購入においては数%の増税でも金銭的負担が大きくなるため、補助金制度の活用は家計の大きな助けになるでしょう。
こちらの記事では、すまい給付金の仕組みや条件、申請期限などについてご説明します。
「すまい給付金」の仕組みと条件とは?
まずは、すまい給付金制度の全体像についてご紹介します。
すまい給付金とは
すまい給付金は、消費税率の引き上げによって増加した住宅取得者の金銭的負担を軽減するための給付措置です。収入が一定以下の人が対象となり、最大50万円まで給付金が支給されます。導入されたのは2013年。2019年10月の消費税増税に際して給付額や対象者が拡充され、2021年1月に期限や床面積などの要件が緩和されました。
すまい給付金の大きな特徴は、住宅ローン控除(住宅ローン減税)と併用できる点です。住宅ローン控除とは、ローン残高もしくは住宅取得対価の1%にあたる金額が、10年間(ケースによっては13年間)にわたって所得税や住民税から控除される仕組みのこと。1年間で控除されるのは最大40万円で、10年間で最大400万円の控除が可能です。すまい給付金と住宅ローン控除の併用によって、金銭的負担をより抑えられるでしょう。
ただし、この制度は「住宅購入者なら誰でも受けられる」というわけではありません。収入によって受けられる給付金の額が変わってくるということからもわかるとおり、対象要件が存在します。
すまい給付金の対象者の要件
対象者の要件はいくつかあり、給付金を受け取るにはその要件をすべて満さなければなりません。すまい給付金の支給要件を、以下にまとめています。
主な要件
・取得した住宅の所有者かつ居住者であること
・収入が一定額以下であること
・住宅ローンを利用しない場合は、年齢が50歳以上であること
住宅取得時の適用消費税率によって、収入額の目安が異なる点には注意が必要です。住宅を購入したときの消費税が8%の場合は収入額目安510万円以下(※)が対象となり、10%の場合は収入額目安775万円以下(※)が対象となります。なお、住宅ローンを使わない方で住宅を取得したときの適用消費税率が10%である場合、収入額の目安は650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.3万円以下)となります。
※「夫婦(妻は収入なし)と中学生以下の子供が2人」の世帯が住宅を取得する場合の、夫の収入額の目安
給付対象となる住宅の要件
給付金を受け取るには、対象者の要件を満たし、さらに取得した住宅が給付対象の要件を満たす必要があります。住宅の要件は、取得した住宅が「新築」か「中古」かで異なります。それぞれの住宅の対象要件について見ていきましょう。
新築の場合
・床面積が50㎡以上であること(2020年10月1日から2021年9月30日の間に注文住宅を新築、あるいは分譲住宅を取得した場合は40㎡以上)
・施工中に第三者の現場検査を受けており、次の1から3のいずれかに該当すること
1:住宅瑕疵担保責任保険(建設業許可を有さないものが加入する住宅瑕疵担保責任任意保険を含む)へ加入した住宅
2:建設住宅性能表示を利用する住宅
3:住宅瑕疵担保責任保険法人の現場検査によって保険と同等の検査を実施した住宅
上記の要件は、住宅が一定の品質を保持していることを証明するためのものです。新築で住宅ローンを使わない場合は、上記の要件のほかに「フラット35S」の基準を満たさなければなりません。2020年12月時点におけるフラット35Sの基準は、以下のとおりです。
・耐震性に優れた住宅(耐震等級2以上の住宅または免震建築物)
・省エネルギー性に優れた住宅(一次エネルギー消費量等級4以上または断熱等性能等級4)
・バリアフリー性に優れた住宅(高齢者等配慮対策等級3以上)
・耐久性・可変性に優れた住宅(劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2)
中古の場合
中古の場合は、宅地建物取引会社から購入した中古住宅(中古再販住宅)のみが給付対象となります。個人間での売買は消費税が非課税となるため、消費税負担の軽減を目的とした「すまい給付金」の対象には含まれません。そのほかの給付要件は以下のとおりです。
・床面積が50㎡以上であること(2020年12月1日から2021年11月30日の間に契約した場合は40㎡以上)
・現行の耐震基準を満たしていること
・宅地建物取引会社による買取再販など、消費税の課税対象となる住宅であること
・売買時に第三者の検査を受け、次の1から3のいずれかに該当すること
1:既存住宅売買瑕疵保険に加入した住宅
2:既存住宅性能表示制度を利用した住宅(耐震等級1以上のものに限る)
3:建設後10年以内で、住宅瑕疵担保責任保険(人の居住の用に供したことのない住宅を目的とする住宅瑕疵担保責任任意保険を含む)に加入している住宅または建設住宅性能表示を利用している住宅
すまい給付金はいつまでに申請すればもらえる?
すまい給付金の申請は、いつまでに行えばよいのでしょうか?以下では、申請の期限や注意点などについて解説します。
申請期限
すまい給付金の申請期限は、原則として「住宅の引き渡しを受けた日から1年以内」です。ただし、緩和措置として、2021年5月時点の申請期限は「住宅の引き渡しを受けた日から1年3ヶ月以内」となっています。
給付金は購入後に申請することも可能です。すでに引き渡しを受けた後であっても、対象要件に該当していて、かつ引き渡しを受けた日から1年3ヶ月以内であれば申請できます。
また、2021年1月にすまい給付金制度が改正され、引き渡しおよび入居期限が延長。同時に、住宅の床面積要件が緩和されました。これらの適用には条件がありますので、対象者やその内容について確認しておきましょう。
期限の延長と床面積要件緩和について
下記の期間と契約に該当する場合は、引き渡しおよび入居期限が2021年12月31日から2022年12月31日に1年延長され、住宅の床面積要件が50㎡以上から40㎡以上に緩和されます。
・2020年10月1日から2021年9月30日までに注文住宅を新築した場合
・2020年12月1日から2021年11月30日までに分譲住宅や既存住宅を取得した場合
申請のタイミングなどに関する注意点
給付金を受け取るための申請期限は、住宅の引き渡しを受けた日から1年3ヶ月以内(2021年5月時点)です。しかし、引越しなどでバタバタしているうちに忘れてしまうと、「気が付いたときにはすでに申請期限を過ぎていた……」ということも起こり得ます。給付対象に該当する場合は、できるだけ早めに申請しましょう。
申請の方法には、申請書類を最寄りの窓口に持参する方法と、申請書類を郵送する方法があります。万が一、申請期限直前の申請になってしまう場合は、最寄りの窓口に直接持参する方法がおすすめです。窓口に行く前に連絡しておけば、申請書類がきちんと揃っているか確認することもでき、何よりその日に申請が完了するという安心感があります。最寄りの窓口は、すまい給付金のサイトで確認しておきましょう。
申請書類を郵送する場合は、料金不足で不着にならないよう郵便窓口で重さやサイズを確認しましょう。とくに申請期限直前の場合、料金不足で不着になると申請期限に間に合わなくなる恐れがあります。
給付額はいくら?金額はどうやって決まる?
すまい給付金で気になるのは、やはり「自分の場合はどのくらい給付金を受け取れるのか」。給付額がどうやって決まるのか、その計算の仕組みなどについて見ていきましょう。
給付額の計算方法
すまい給付金は、「給付基礎額」に「持分割合」を掛けて計算します。給付基礎額は、都道府県民税の所得割額を用いて算出されるもの。所得割額は市町村が発行する課税証明書に記載されており、持分割合は不動産登記事項証明書に記載されています。
すまい給付金の「給付基礎額」の目安
給付基礎額の目安を、適用税率別にまとめました。ただし、給付基礎額は都道府県民税の所得割額によって異なるので、あくまでも目安としてとらえることが大切です。
適用消費税率8%の場合
収入目安 | 所得割額 | 給付基礎額 |
---|---|---|
425万円以下 | 6.89万円以下 | 30万円 |
425万円超 475万円以下 |
6.89万円超 8.39万円以下 |
20万円 |
475万円超 510万円以下 |
8.39万円超 9.38万円以下 |
10万円 |
適用消費税率10%の場合
収入目安 | 所得割額 | 給付基礎額 |
---|---|---|
450万円以下 | 7.60万円以下 | 50万円 |
450万円超 525万円以下 |
7.60万円超 9.79万円以下 |
40万円 |
525万円超 600万円以下 |
9.79万円超 11.90万円以下 |
30万円 |
600万円超 675万円以下 |
11.90万円超 14.06万円以下 |
20万円 |
675万円超 775万円以下 |
14.06万円超 17.26万円以下 |
10万円 |
給付額の計算例
適用消費税率が8%で都道府県民税の所得割額が7万円、持分割合が50%だった場合、給付基礎額は20万円となります。そこに持分割合の50%を掛けて給付額を算出すると、10万円になります。この場合、持分割合が100%なら給付額は給付基礎額そのままの20万円です。
一方、適用消費税率が10%で都道府県民税の所得割額が7万円、持分割合が80%だった場合の給付基礎額は50万円です。持分割合の80%を掛けて算出した給付額は、40万円となります。都道府県民税の所得割額が同じ7万円でも、適用消費税率が変わると給付基礎額が30万円も変わることがおわかりいただけるでしょう。
上記の計算例はあくまでも住宅ローンを利用した場合を想定したもの。住宅ローンを利用しない場合は「50歳以上」という要件も加わるので注意が必要です。国土交通省のWebサイトですまい給付金のシミュレーションができるので、給付基礎額の目安を知りたい方は試してみましょう。
申請前に知っておきたい消費税の基本
すまい給付金制度は消費税増税による負担を軽減する制度であるため、消費税に関する知識も必要です。ここでは、給付金の申請前に知っておきたい消費税の基本についてご説明します。
住宅購入で発生する消費税とは
何かを購入するときやサービスを受けるときには、価格に応じた消費税が発生します。住宅を購入する場合も同様に、消費税を支払わなければなりません。新たに住宅を購入する場合、購入するのは土地と建物です。一戸建て(一軒家)に限らず、集合住宅の場合も売値(不動産価格)には土地代と建物代が含まれますが、土地は非課税なので売買代金に消費税は課税されません。
土地の売買代金に消費税が課税されない理由は、「消費の対象とは言えないから」とされています。土地は消費されるものではなく資本であり、土地の購入は「資本の所有者が変わること」と見なされるためです。
建物を購入したときにかかる消費税は、「誰が売り主か」で課税されるか否かが変わってきます。不動産会社の仲介によって個人売り主の物件を売買契約する場合、消費税は非課税です。しかし、売り主が宅地建物取引業の事業者、つまり不動産会社になる場合は消費税が課税されます。これは、売り主が不動産会社になると「事業」にあたるためです。消費税は「国内において事業者が事業として行う取引」に対して課税されるため、不動産会社が販売する住宅には消費税が課税されます。個人売買は事業ではないため、消費税は課税されません。
このように「売り主が宅地建物取引業の事業者か」が、すまい給付金の対象要件にも関わってくるのです。不動産会社が買取して再販した住宅は消費税が課税されるため、給付金の対象となります。しかし、個人売買の中古住宅は給付金の対象になりません。
消費税率の適用日
すまい給付金では、引き渡し日時点の税率が適用されます。消費税率が10%になった2019年10月1日以降に引き渡しを行った場合、適用される消費税率は10%。それ以前は8%です。
ただし、「経過措置」という例外が設けられています。2019年4月1日よりも前に工事請負契約を済ませている場合は、引き渡し日が2019年10月1日以降であっても適用される消費税率は8%です。
すまい給付金の申請は今からでも間に合う
すまい給付金は消費税増税にともなう住宅購入の金銭的負担を軽減するための制度で、最大50万円の給付を受けることができます。要件が合えば、住宅ローン控除(住宅ローン減税)と併用できるのが特徴です。引き渡しから1年3ヶ月以内であれば、すでに住まいを購入済みの場合でも申請できます。
「まずは購入する住宅を探すところから」という方も、すまい給付金の仕組みを覚えておいて損はないでしょう。希望に合ったマイホームをお探しの方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせページに移動します
あわせて読みたい
よくある質問
-
お部屋探しに役立つ情報はありますか?
-
物件探し(不動産購入・売却)について役立つ情報はありますか?
この記事をシェアする
お部屋を探す
特集から記事を探す
記事カテゴリ
おすすめ記事
物件をご所有されている方、
お住まいをお探しの方
売りたい
土地活用・相続の相談がしたい
売るか貸すかお悩みの方はこちら