- 高齢者が賃貸を借りるときの年齢制限はないが70歳以上は難しい
- 高齢者が賃貸物件を選ぶならバリアフリーや周辺環境、毎月にかかる賃金など、ポイントを押さえておく
- 高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)は入居条件があるが、メリットも多いのでおすすめ
賃貸物件に住む場合、事前に入居審査が求められます。年齢を問わず、不動産会社が求める条件を満たしていなければ賃貸物件を借りることはできません。とくに高齢者夫婦の場合は、現在の年齢によっては賃貸物件を借りることが難しい可能性もあるでしょう。
そして高齢者が賃貸物件に住むなら、バリアフリーに対応しているなどの条件を満たしている部屋を選ぶことも大切です。高齢者が賃貸に住む場合、年齢制限はあるのか部屋を選ぶときのポイントもご紹介していくので、参考にしてみてください。
高齢者夫婦は何歳を過ぎると賃貸が借りにくい?
高齢夫婦が賃貸物件に住む場合、不動産会社によっては入居審査が厳しくなってしまうことがあります。一番の理由は高齢であることで、健康面や保証面などで部屋を貸すのはリスクが高いと判断されるということが挙げられるでしょう。
そこで、高齢者夫婦は何歳を過ぎると、部屋を借りることが難しくなるのか年齢制限はあるのか解説していきます。
保証などの観点から70歳以上の高齢者は断られることもある
高齢者が賃貸で部屋を探すケースがありますが、70歳以上を過ぎると健康面や収入の観点から入居を断られるケースがあります。また、健康で収入が一定以上ある方でも、連帯保証人となる家族がいないと、入居を断られることも。
連帯保証人がいないときに代わりに保証してもらえる「家賃保証会社」の審査が通りにくいこともありますが、具体的に賃貸物件が借りられる年齢制限はないので、まずは不動産会社に相談してみることをおすすめします。
賃貸の部屋を借りている高齢者はどれくらいいるのか?
総務省の2018年のデータでは、賃貸住宅に住む単身世帯の高齢者は多く、全体の3割程度は高齢者が占めていると言われています。収入などの観点から賃貸を選ぶ高齢者は意外と多く、賃貸の年齢制限なども見直しが必要になってくることが想定されるでしょう。
また高齢者のいる世帯は全体の4割程度となっており、そのうち8割は持ち家、2割程度は賃貸で暮らしているデータがあります。
高齢者が賃貸を選択するのは「自分に合う間取りが選べるから」
高齢者が賃貸を選ぶ理由として、「高齢になったときのライフスタイルに合わせて、自分好みの間取りを選択できるから」というのがあります。
高齢になると広い戸建てなどは家のなかを移動するだけでも手間と感じることがあり、高齢夫婦が住むには不便になるでしょう。
しかし賃貸物件ならリビングからトイレまでの距離が近いなど、さまざまな広さと間取りの物件があるので高齢者の方にも住みやすい部屋が見つけられます。
一戸建てを購入する機会がなかった
高齢者夫婦のなかには、一戸建ては購入せず、ずっと賃貸で暮らしているというケースもあるでしょう。
同じ住まいを一定期間に借りていれば、家賃の支払いを延滞したなどのトラブルがない限りは住み続けられますが、ほかの賃貸に引越す場合には、年齢と条件次第では、断られてしまうこともあるでしょう。
一戸建てを売却して賃貸の部屋を選ぶ方もいる
一戸建てを持っていたけど高齢になって広い間取りは不便に感じたという方は、自宅を売却するというケースもあるでしょう。相続対策として一戸建てを売却するなどのケースもあり、あえて手頃な家賃の物件に引越す高齢夫婦もいます。
高齢者が賃貸で部屋を探すときのポイントとは?
一戸建ては広さを持てあまし、高齢者には住みにくいなどの理由から、賃貸に住むことを選ぶ方は増えています。高齢者が賃貸で部屋を探すときは、何をポイントにしておけばよいのでしょうか。
高齢者が賃貸物件を探すうえで、押さえておきたい物件探しのポイントについて解説していきます。
近くに親族が住んでいる物件
高齢になると、急に体調を崩したり誰かの助けが必要だったりするケースがあるでしょう。そんなときに親族が近くにいれば、すぐに助けを求められます。
とくに持病を持っている方であれば、いつ症状が悪化するかわからないので、物件を探すときは親族が駆け付けやすい場所にすることをおすすめします。事前に手助けしてくれる親族と話を付けておけば、物件探しにも協力してくれるはずです。
周囲に駆け付けられる病院があるかどうか?
近くにかかりつけの病院があるかどうかということも重要です。症状が悪化したときはもちろん、日頃から通う際にも病院が近いほうが身体的な負担がありません。ほかにも介護施設なども近くにあれば、高齢夫婦でも安心して暮らせます。
日頃から生活しやすいバリアフリー設計になっているか?
高齢者が日頃の生活を快適に送るために、バリアフリー設計になっている物件かどうかも選ぶうえで大切なポイントになります。
少しの段差や階段も足腰に負担がかかったり、転倒したりする心配があります。住みやすい環境が整った物件を見つけることが大切です。
高齢者が賃貸に住むために適用される制度について
70歳以上になると、賃貸物件に住むには入居審査が厳しくなる傾向にあります。高齢者を手助けしてくれる制度がいくつかあり、上手に活用すれば理想的な賃貸物件に入居できるかもしれません。賃貸に入居することが難しいと断られたことがある方は、支援制度を利用してみてください。
連帯保証人の代わりになる制度「家賃債務保証」
高齢者の場合、賃貸で部屋を借りるときに連帯保証人を付けることができないケースもあるでしょう。そんなときに手助けしてくれるのが、一般財団法人高齢者住宅財団の「家賃債務保証」です。条件を満たせば、連帯保証人の代わりとなってくれるので、高齢でも賃貸を借りることが可能になります。万が一、家賃を滞納した場合も、一時的に立て替えてもらえます。
高齢者が住みやすい物件を提供する「高齢者向け賃貸住宅」
高齢者にはバリアフリー設計になっているなど、設備が整っているかどうかも重要なポイントです。それなら「高齢者向け賃貸住宅」を探してみるといいでしょう。たとえば「UR賃貸住宅」なら、高齢者や快適に暮らせる住宅を紹介しています。高齢者が入居しやすいように、ほかの物件よりも審査が厳しくないのが特徴となっています。
高齢者のための住宅はどのような種類がある?「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」という選択肢
日本は高齢化が進んでいる国であるため、高齢者が住みやすい住宅もたくさん増えています。そのなかの一つに「高優賃」があり、高齢者に快適な住まいが提供されている住宅となっているのが特徴です。高齢者のための住宅とは、具体的にどのような種類があるのか紹介していきます。
バリアフリー構造で高齢者が住みやすい「サービス付き高齢者向け住宅」
自立した生活を送れることが一番ですが、必要があれば介護もしてくれるのが、「サービス付き高齢者向け住宅」です。高齢者向けに特化しているので、バリアフリー設計はもちろん、食事の提供などもあります。また、介護型のサービス付き高齢者向け住宅は、スタッフが高齢者の風呂や排泄の手助けを行ってくれるのでさらに安心です。ただし、保証金や家賃が高い、連帯保証人が必要など、ややハードルが高いのが注意点です。
年に数回自治体が募集する「高齢者向け公営住宅」
自治体が募集をかけて、抽選に選ばれた方が物件に住める「高齢者向け公営住宅」もあります。バリアフリー設計になっているだけでなく、「ワーデン」と言われるスタッフが入居者の手助けを行ってくれるので、高齢者も安心して住めるでしょう。ただ、すべての物件がバリアフリー設計になっているわけではないので、住宅に入る際には事前に確認しておく必要があります。
高優賃は終身にわたって入れる
高齢者向けに住みやすい環境が整えられており、一定の条件を満たした方が入居できる「高優賃」があります。
「UR都市機構」が提供している物件で、昭和40年代に供給した賃貸住宅を高齢者向けにリノベーションした住宅です。バリアフリー設計になっていることが多く、所得によっては家賃の負担を軽減してもらえることがあります。
高優賃に入居するには満60歳以上であることが条件
高優賃に入居するには、60歳以上の高齢者や夫婦・親族であることが条件となっています。また住みたいと思っている高優賃がある都道府県に、現住所を置いている必要があります。ほかにもいくつか条件がありますが、施設によって細かい条件が異なるので事前に確認しておきましょう。収入が一定以下、感染症にはかかっていないなど、入居するための条件を満たしているなら抽選に応募できます。
高優賃に入居する際の費用はどれくらいかかる?
高優賃に入居して生活するには、保証金などの初期費用と毎月の家賃を支払う必要が出てきます。郊外・都市部など高優賃の立地によっても細かい費用は異なりますが、初期費用なら数十万円、家賃は5万円から10万円程度になるでしょう。
生活費は自己負担となるので、毎月どれくらいかかるのか事前に資金計画しておくことが大切です。基準以下の所得である場合は、最大40%近くの家賃補助を受けることができるので、該当する世帯なのか確認しておきましょう。家賃補助に関しては年1回、入居者の住民票の写しなどを提出する必要があり、条件に合わないと補助を受けられないこともあります。
介護や緊急時には対応してもらえるサービスが付いている
高優賃は高齢者が住みやすいように、さまざまなサービスが付いています。食事や見守りサポートなど、高齢者の生活を支援してくれるサービスがあるので安心して住むことができるでしょう。もちろん、バリアフリー設計となっていたりエレベーターが導入されていたりいることがあります。
ほかにも万が一の怪我や病気にも対応できるように、緊急時に対応してくれるサービスがあります。トイレや風呂場などに押しボタンを設置して、民間事業者に通報できるシステムが導入されているので毎日の生活も安全です。
【横浜市の事例】高齢者向け優良賃貸住宅の入居条件と家賃補助
高齢者が快適な生活が送れる「高優賃」は、横浜市でも導入されています。実際に横浜市の高優賃では、どのような方であれば入居できるのでしょうか。
横浜市の高優賃の入居条件や家賃補助などについて紹介していくので、参考にしてみてください。
横浜市の高優賃に入居するための条件
横浜市の高優賃に入居する条件としては、60歳を超える方で単身の方か同居している方が配偶者・60歳を超える親族であることが求められます。
ただし、現在、横浜市に住んでいる方に限られており、住民基本台帳に記録されている必要があります。ほかにも住民税の滞納がなく、世帯月収額が38万7,000円以下の方が横浜市の高優賃に入居可能です。
収入によっては家賃の一部を補助してもらえる
高優賃では世帯月収の金額によって、毎月の家賃を補助してもらえます。横浜市では世帯月収額が21万4,000円以下の場合、政府と自治体が契約家賃と入居者が支払う金額との差額を事業者に補助してくれます。
家賃の一部を補助してもらえるのは、住宅の管理が始まってから20年間です。世帯月収額とは入居を希望している方の所得金額の合計から、各種控除などを引いた後に12ヶ月で割ることで算出される金額となります。
入居負担額の仕組みについて
横浜市の高優賃に入居する方が毎月支払う「入居負担額」は、契約家賃に世帯月収額に応じて定める割合を乗じることで金額が決定されます。世帯月収額に応じて定められる割合は、具体的にどう違うのか表で解説していきましょう。
【平成21年6月までに管理が始まった住宅の場合】
世帯月収額 | 入居者負担率 | 入居者負担額の仕組み |
---|---|---|
12万3,000円以下 | 60% | 契約家賃×60% |
12万3,001円から15万3,000円 | 68% | 契約家賃×68% |
15万3,001円から17万8,000円 | 74% | 契約家賃×74% |
17万8,001円から20万円 | 79% | 契約家賃×79% |
20万1円から23万8,000円 | 86% | 契約家賃×86% |
23万8,001円から26万8,000円 | 93% | 契約家賃×93% |
26万8,001円から | 100% | 契約家賃×100% |
【平成21年7月以降に管理が始まった住宅の場合】
世帯月収額 | 入居者負担率 | 入居者負担額の仕組み |
---|---|---|
~10万4,000円 | 60% | 契約家賃×60% |
10万4,001円から12万3,000円 | 68% | 契約家賃×68% |
12万3,001円から13万9,000円 | 74% | 契約家賃×74% |
13万9,001円から15万円8,000円 | 79% | 契約家賃×79% |
15万8,001円から18万6,000円 | 86% | 契約家賃×86% |
18万6,001円から21万4,000円 | 93% | 契約家賃×93% |
21万4,001円から48万7,000円 | 100% | 契約家賃×100% |
高齢夫婦が賃貸に住むなら制度をうまく活用しよう
高齢夫婦が賃貸に住む場合、入居審査に年齢制限がある訳ではありませんが70歳以上は審査が厳しくなることもあるでしょう。ただ家賃債務保証など、高齢者が賃貸に住みやすくなるような制度を利用することで入居審査に通りやすいこともあります。
また高優賃は世帯月収によっては家賃の一部を国や自治体が負担してくれる制度もあるので、有効活用すればお得に入居できるでしょう。高齢者向けの住宅はいくつかあるので、ご自身のライフスタイルや将来を見据えて選んでみてください。
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