不動産経済研究所は「2025年度上半期(4月~9月)の首都圏新築分譲マンション市場動向」を公表しました。本記事では、その調査結果をもとに、最新の市場動向に加え、過去の推移や今後の動向予測について詳しく解説します。
- 2025年度上半期(4月~9月)の新築分譲マンション平均価格は、前年比+19.3%の大幅増加
- 価格高騰の影響で、定期借地権付きマンションの供給が増加している
- 今後の市場予測では、金利やインフレなど経済動向にも注目する必要がある
2025年度上半期のマンション市場動向と価格変化
不動産経済研究所が、2025年度上半期(4月~9月)の首都圏新築分譲マンション市場動向を公表しました。 この記事では、その最新データをもとに、2025年度上半期の新築分譲マンション価格の推移や市場の特徴を見ていきましょう。
なお、2025年上半期(1月~6月)の動向については、「「【2025年上半期】首都圏の新築マンション価格は過去最高を更新!価格の推移と今後の予測」で解説していますので、こちらもあわせて参考にしてください。
平均価格・㎡単価ともに大幅上昇
2025年度上半期の首都圏新築分譲マンションは、戸当たり平均価格が9,489万円(前年比+19.3%)、㎡単価が22.2万円(前年比+18.4%)と、いずれも大幅上昇となりました。
さらに、年度上半期においては3年連続で上昇し、いずれも過去最高値を更新しています。
埼玉県が+25.1%、神奈川県が+22.6%で価格上昇をけん引
首都圏の地域別平均単価・㎡単価は、以下の通りです。
| 平均価格 | 前年同期比 | ㎡単価 | 前年同期比 | |
|---|---|---|---|---|
| 首都圏 | 9,489万円 | 19.3% | 143.1万円 | 18.4% |
| 東京23区 | 13,309万円 | 20.4% | 205.8万円 | 19.9% |
| 東京都下 | 6,884万円 | 15.3% | 109.1万円 | 18.8% |
| 神奈川県 | 7,838万円 | 22.6% | 116.5万円 | 18.3% |
| 埼玉県 | 6,598万円 | 25.1% | 98.4万円 | 23.6% |
| 千葉県 | 5,943万円 | 6.2% | 82.5万円 | 4.3% |
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出典: 「㈱不動産経済研究所」
全体的に価格は大きく上昇していますが、埼玉県(+25.1%)と神奈川県(+22.6%)が特に高い伸び率を示しました。 一方、千葉県は+6.2%と他の地域と比べると比較的低い上昇率にとどまっています。
供給戸数は大幅増、初月契約率は下落傾向
2025年度上半期の新築分譲マンション供給戸数は9,150戸(前年同期比+11.1%)と大幅に増加しました。 一方、初月契約率は61.9%(-2.4%)と下落傾向です。
初月契約率はここ最近下落傾向が続いており、理由として、新築マンションの価格高騰により、購入に慎重になっている人が増えていることが挙げられます。
定期借地権付きマンションの供給が増加している
定期借地権付きマンションの供給は680戸と、前年同期140戸から大幅に増加しました。
定期借地権付きマンションは、土地を所有せず賃貸する方式で、初期費用を抑えやすいのが特徴です。
新築マンションの価格高騰の影響で、購入者がコストを抑える選択肢として利用するケースが増加しています。
これまでの首都圏新築マンション市場の推移
過去5年間の年度上半期(4月~9月)における、首都圏新築マンションの平均価格推移は以下の通りです。

| 年 | 上半期(4月~9月)平均価格 |
|---|---|
| 2025 | 9,489万円 |
| 2024 | 7,953万円 |
| 2023 | 7,836万円 |
| 2022 | 6,333万円 |
| 2021 | 6,702万円 |
出典: 「㈱不動産経済研究所」
2022年以降、価格は右肩上がりで急上昇していることが分かります。
特に2025年度は過去最高を更新し、首都圏の新築マンション市場は高騰傾向が続いています。
今後の新築マンション価格の動向と今後の予測
ここでは、新築マンション価格の今後の動向と予測について考察します。
23区を中心に大型物件の供給が増える見込み
2025年以降に完成予定の20階建て以上の大型物件は、約9.7万戸に達する見込みです。
特に2025年中には1万5,000戸台が完成予定であり、供給は増加傾向にあります。
さらに2026年には2万5,000戸規模へと拡大する予定で、東京23区を中心に大型物件の供給が市場に大きな影響を与える可能性があります。
定期借地権付きマンションの増加で価格が下落する可能性がある
2025年度上半期には定期借地権付きマンションの供給が大幅に増加しました。
このタイプのマンションは土地を所有せず賃貸する契約形態で、初期費用を抑えやすいことが特徴です。
新築分譲マンションの価格高騰が続く中、こうした物件の供給は今後も増えると予想されます。
結果として、定期借地権付きマンションの割合が高まれば、首都圏全体の平均価格が下落する可能性があるといえるでしょう。
金利・経済要因による価格変動リスクは?
今後の新築マンション市場では、金利や経済要因による価格変動リスクにも注意が必要です。
日本国内では金利が上昇傾向にあり、住宅ローン金利が上がれば購入者の負担が増し、市場の冷え込みにつながる可能性があります。
2025年12月には、日銀が政策金利を0.25%引き上げ、0.75%に設定しました。これに伴い、長期金利の指標となる10年国債利回りは2%を超える水準まで上昇しています。
さらに、日本と欧米など世界各国との金利差が縮小すれば円安傾向が是正される可能性があります。 円高になることで海外投資マネーによる不動産購入が減少し、短期的にはマイナス要因となります。
ただし、今回の利上げ直後の状況はむしろ円安が進む結果となっています。 これは、もともと利上げは規定路線であり、高市政権による「21兆円経済対策」などインフレ推進政策に対して、0.25%の利上げでは不十分と見られていることが背景にあります。
加えて、住宅ローン控除が2025年末で終了予定であり、2026年の税制改正の内容次第では市場に大きな影響を与える可能性がありますが、現時点では2030年(令和12年)まで延長される見込みとなっています。
まとめ
本記事では、不動産経済研究所が公表した2025年度上半期(4月~9月)の首都圏新築分譲マンション市場データをもとに、直近の動向、過去の価格推移、そして今後の市場予測について解説しました。
現在、新築分譲マンションの価格は上昇傾向にあります。日本国内外でインフレが進み、資材価格の高騰なども影響しているため、今後も価格が上昇していく可能性があります。
一方、マンションの価格は「バブル」という声もあり、どこかのタイミングで大幅な下落が起こる可能性も否定できません。
直近で不動産の購入や売却を考えている方は、不動産経済研究所などが定期的に公表するデータに加え、金利動向や政策なども踏まえて慎重に判断することが重要です。
とはいえ、こうした情報を自分で収集し、適切に判断するのは簡単ではありません。 不動産の購入や売却を検討している方は、専門家に相談することをおすすめします。
これからマンションの購入や売却を検討している方は、下記よりお問合せください。
宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら
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