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更新日:2026.11.04

自社ビル・テナントビルはなぜ免震で建てるべきか|BCPとテナント誘致への効果

自社ビル・テナントビルはなぜ免震で建てるべきか|BCPとテナント誘致への効果

ビルは建てて終わりではなく、その後も長期間にわたって事業や賃貸経営を支える資産となります。 地震が多い日本では、ビルが大きな地震に遭遇する可能性は十分にあります。 地震による設備や什器の被害や事業停止、テナントへの影響などを考えれば、地震に強いビルを建てるに越したことはありません。 地震に強いビルに建て替えるなら、認知度が高く、かつ、地震の揺れを抑える効果も高い免震構造が有力な選択肢です。 では、免震構造のビルに建て替えることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。 この記事では、「ビルの建て替えで免震構造を検討すべき理由」について解説します。

  • 免震のような構造は、建て替え時こそ検討しやすい
  • 自社ビルでは、免震構造がBCPに寄与する
  • テナントビルでは、免震構造がテナント誘致に寄与する

もくじ

  1. ビルの建て替えで免震を検討すべき理由とは

  2. 免震構造が自社ビルのBCPに寄与する価値

    1. 企業にとってBCP対策が重要な理由

    2. 免震構造が自社ビルに与えるメリット

  3. 免震構造がテナントビルに与える価値

    1. テナントビルで免震構造が少ない理由

    2. 免震構造がテナントビルに与えるメリット

  4. まとめ



ビルの建て替えで免震を検討すべき理由とは

免震構造とは、建物と基礎の間に免震装置を設置して地震のエネルギーが建物に直接伝わらないようにする構造のことです。
建物の耐震性を表す構造には、そのほかに耐震構造や制震構造といったものがあり、免震構造はこれらの構造の中で最も地震の揺れを抑える効果が高い構造とされています。

耐震・制震・免震のしくみ

建物の仕様は建て替えないと抜本的に改善できないものがあり、免震構造も建て替え時に検討することが望ましいです。 改修で既存建物を免震構造にする技術もありますが、敷地や既存建物の制約を受けて、実現できない場合もあります。

一方で、建て替えであれば免震構造を前提に新たに建物を設計することができるため、免震構造を採用しやすいです。
免震構造は建物の物理的な価値を高めるだけでなく、資産価値という経済的な価値も高める構造であり、建て替え時にはぜひ検討したい仕様といえます。

免震構造が自社ビルのBCPに寄与する価値

自社ビルにとって、免震構造を採用することはBCP(事業継続計画)に寄与します。
この章では自社ビルにとっての免震構造の価値について解説します。

企業にとってBCP対策が重要な理由

BCP(Business Continuity Plan)とは、地震や豪雨、台風などの自然災害が発生したときに、事業が継続できるようにしておく計画(事業継続計画)のことです。 具体的には、事業への影響を抑え、重要な業務を継続したり、早期に復旧したりするための計画を指します。

事業活動が長期間停止してしまうと、売上の減少や取引先への影響、顧客離れなどが発生する恐れがあります。 そのため、企業は、災害が発生しても事業を継続できる体制をあらかじめ整えておくことが重要です。

自社ビルを免震構造にすることは、建物を地震から守り、地震後にすぐに事業を復旧できる可能性を高めてくれます。 このように、自社ビルを免震構造にすることは立派なBCPの対策の一つとして有効といえます。

免震構造が自社ビルに与えるメリット

ここでは、免震構造が自社ビルに与えるメリットについて解説します。

従業員の安全を守ることができる

自社ビルで免震構造を採用するメリットは、従業員の安全を確保しやすくなることです。
大きな地震は、建物そのものの倒壊だけでなく、家具や什器の転倒、天井や設備の落下などによって、建物内にいる従業員に人的被害を与える恐れがあります。
免震構造は建物の揺れを大幅に抑えることで、こうした被害の軽減が期待できます。

企業には、従業員が安全に働けるよう配慮する義務(安全配慮義務)があり、従業員が安心して働ける環境を整えることは、企業が担うべき重要な役割です。
自社ビルの建て替えでは、災害時に従業員の安全をどのように確保するかという視点も重要となります。

設備什器の被害を大きく軽減できる

大規模な地震では、建物が倒壊しなくても、オフィス内の設備や什器が大きく損傷する可能性も考えられます。 たとえば、書棚や複合機が転倒したり、機械設備や在庫の商品が損傷したりすると、業務が長期間停止する原因にもなりかねません。
免震構造は建物に伝わる地震の揺れを抑えるため、建物だけでなく、建物内部の設備や什器への被害を軽減することが期待できます。

被災後も早期に事業を再開しやすい

地震によって建物や設備に大きな被害が生じると、安全確認や修繕などに時間がかかり、事業の再開が遅れることも考えられます。
免震構造は建物の揺れを抑え、建物や設備などの被害を軽減することで、地震後も建物を使用できる可能性を高めてくれます。
事業を早期に再開できれば、前述した売上の減少や取引先への影響、顧客離れといった悪影響を最小限に抑えやすくなります。

建物の損傷が少なく資産価値を維持しやすい

免震構造は地震による建物の損傷が少なく、資産価値を維持しやすい点もメリットです。
また、建物の損傷が少なければ、地震後に発生する建物の修繕費などの復旧コストも最小限に抑えることができます。
そのため、免震構造の自社ビルは、企業の経営基盤を安定させることにもつながるといえます。

免震構造がテナントビルに与える価値

この章では、免震構造がテナントビルに与える価値について解説します。

テナントビルで免震構造が少ない理由

テナントビル(貸しビル)は、マンションと比べると免震構造が採用されるケースが少ないです。 免震構造では揺れの力を大きく逃がすために、建物の外周部にクリアランス(十分な空間)を設ける必要があります。 クリアランスを設けると、その分だけ建物の床面積が小さくなり、ワンフロア当たりの賃貸面積が減ります。 とくに敷地が狭い場合は、細長く貸しにくいビルになりやすいため、テナントビルでは免震構造が採用されにくい傾向があります。

免震構造のクリアランスと賃貸面積の関係

そのため、テナントビルではクリアランスが不要となる制震構造が採用されやすい傾向があります。
制震構造とは、建物に地震エネルギーを吸収する制震部材を組み込むことで、地震発生時の揺れを軽減させる構造のことです。

免震構造がテナントビルに与えるメリット

この章では、免震構造がテナントビルに与えるメリットについて解説します。

付加価値となる

地震の揺れを抑える効果は、一般的には制震構造よりも免震構造の方が高いです。
耐震性能の高いテナントビルは制震構造が多く、免震構造のビルは希少性が高いため、免震構造であることは、テナントビルにとって大きな付加価値となります。

外資系企業も誘致しやすい

免震構造のビルは、日本の企業のみならず、外資系企業からも需要が高いです。
日本よりも地震の少ない国は多く、地震の少ない国の企業ほど、日本でオフィスを選ぶ際に建物の地震対策を重視する傾向があります。
外資系企業の中には賃料負担力の高い企業もあるため、外資系企業をターゲットにできるテナントビルは高い賃料を設定しやすいです。

家賃を高く維持しやすい

付加価値の高いテナントビルは、募集賃料を高く設定しやすいです。
また、免震構造のテナントビルは数が少ないため、免震構造を評価して入居した借り主は、代替となるビルを見つけにくく、ほかのビルへ移転しにくくなります。
その結果、退去リスクや空室リスクが低くなり、竣工後も長期にわたって高い家賃を維持しやすいのです。
長期的に見ると、免震構造の採用によってやや割高となる建築費も、手堅く回収しやすいといえます。

まとめ

以上、ビルの建て替えで免震構造を検討すべき理由について解説してきました。
免震構造のビルは、自社ビルではBCP(事業継続計画)、テナントビルではテナント誘致に大きく貢献します。 自社ビルが免震構造であれば、従業員の安全を守り、設備・什器の被害を抑えられるほか、被災後の早期の事業再開や資産価値の維持にもつながります。
また、テナントビルであれば、付加価値が高まり、外資系企業を誘致しやすくなるほか、家賃を高く維持しやすい点がメリットです。

免震構造は、建て替え時に採用しやすい仕様です。 建て替えでは、目先の費用だけでなく、中長期的な価値まで含めて免震構造を検討することが望ましいです。
免震構造を取り入れたビルの建て替えについてお困りのことがあれば、下記よりお気軽にご相談ください。



不動産鑑定士

竹内 英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容には執筆者の解釈や見解が含まれる場合があり、正確性や完全性を保証するものではありません。
具体的な判断や行動にあたっては、必要に応じて専門家へご相談ください。

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