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2023年の公示価格からわかること!今後の地価動向はどうなる?

更新日:2023.06.15

2023年の公示価格からわかること!今後の地価動向はどうなる?

例年発表される公示価格は、毎年少しずつ違った値動きをしています。2023年の公示価格では、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるという特徴が見られました。昨年よりも力強い回復傾向を見せた2023年の公示価格ですが、今後の地価動向はどのようになっていくのでしょうか。この記事では「2023年の公示価格」について解説します。

  • 郊外(周辺部)の地価が大きく上昇した
  • コロナ前の回復傾向が見られる
  • 今後も地価上昇が続くという見方もできる

もくじ

  1. 公示価格とは

  2. 2023年の公示価格の全体の概要

  3. 東京圏の公示価格

    1. 東京圏の動向

    2. 住宅地

    3. 商業地

  4. 大阪圏の公示価格

    1. 大阪圏の動向

    2. 住宅地

    3. 商業地

  5. 名古屋圏の公示価格

    1. 名古屋圏の動向

    2. 住宅地

    3. 商業地

  6. 北海道の公示価格

    1. 北海道の動向

    2. 住宅地

    3. 商業地

  7. 福岡県の公示価格

    1. 福岡県の動向

    2. 住宅地

    3. 商業地

  8. 今後の地価動向

    1. 大都市圏はドーナツ化現象が続く

    2. 観光地の地価が回復する

    3. 再開発エリアの上昇は続く

  9. まとめ

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公示価格とは

公示価格とは

公示価格とは、毎年国が公表している標準地の1月1日時点における更地の単価のことです。

2023年の公示価格は2023年1月1日時点の価格であるため、実質的には2022年の地価動向を反映した標準値の土地単価ということになります。 標準地とは地価公示のために選定された地域内で標準的な利用がなされている土地であり、全国に約26,000ポイント存在します。

標準地は毎年変わるものではなく、基本的には毎年同じ地点です。 同じ場所の地価を定点観測することに意味があり、同じ地点の価格が示されることで長期的な地価動向がわかるようになります。

たとえば、全国で最も有名な標準地に東京都中央区銀座にある「中央5-22」(銀座4-5-6)という地点があります。「中央5-22」は、日本で最も繁華性の高い商業地とされる銀座4丁目の交差点付近にある山野楽器銀座本店の土地です。「中央5-22」の公示価格は、山野楽器本店の土地建物価格ではなく、山野楽器の場所が「更地であるとき」を想定した価格になります。

なぜ「中央5-22」が有名なのかというと、日本で一番公示価格が高い標準地だからです。 公示価格は毎年3月下旬に公表されますが、公表されると日本一地価の高い「中央5-22」の価格がニュースになることがよくあります。
2023年の「中央5-22」の公示価格は、「5,380万円/平米」でした。 たった1平米で5,000万円超の価格となっているため、極めて高い地価であることがわかります。

ところで、なぜ「中央5-22」のような全国の標準地の価格が毎年わかるのか、疑問の湧くところだと思います。
売買されていないのに地価がわかるのは、毎年、公示価格を算出するために不動産鑑定士が土地価格を評価しているからです。 不動産鑑定士とは、不動産の適正な価格を評価する国家資格者になります。

たとえば「中央5-22」の土地価格を評価する場合、「中央5-22」が直接売買されていなくても周辺の土地が売買されていれば、その取引事例からある程度の地価を推測することができます。 周辺の類似の取引事例から地価を評価する方法は、取引事例比較法と呼ばれる評価手法です。

また、土地価格は賃料事例からも算出することができます。
その土地に収益物件を建てたらいくらで貸せるかという想定をし、土地建物の収益物件の価格から建物価格を差し引くことで土地価格が算出できます。 収益物件を建てることを想定して地価を評価する方法は、土地残余法(とちざんよほう)と呼ばれる評価手法です。

標準地の価格は、基本的には取引事例比較法と土地残余法の2つの手法を用いて毎年評価を行っています。 取引事例比較法は市場性を反映した価格であり、土地残余法は収益性を反映した価格です。 つまり、公示価格は市場性と収益性の2つを反映した価格となっています。

近年、北海道北広島市や福岡県福岡市では、再開発が行われたことによって公示価格が大きく上昇している現象が見られます。 再開発をするとなぜ公示価格が上がるかというと、再開発で賃料が上がることにより土地残余法で求められる土地価格も上がるからです。 よって、公示価格は単に不動産の取引市場が活発になっている地域だけの土地が上がるわけではなく、再開発が行われて収益性が上がっている地域の土地も上がることになります。



 

2023年の公示価格の全体の概要

2023年の公示価格の全体の概要

2023年の地価公示は、全国の全用途平均、住宅地平均、商業地平均のいずれも2年連続で上昇し、上昇率も拡大しました。工業地平均は7年連続で上昇し、上昇率も拡大しています。

2年前の2021年の地価公示は、実質的に2020年の地価動向を反映しているため、新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。そのため2021年の地価公示では、全国の全用途平均、住宅地平均、商業地平均のいずれも下落しました。
しかしながら、昨年の2022年の地価公示では全国の全用途平均、住宅地平均、商業地平均は早くも上昇に転じ、2023年も引き続き上昇したため、2年連続で上昇したという結果となっています。

2年連続で上昇しただけでなく、上昇率も2022年より大きくなっている状況です。 工業地に関しては、新型コロナウイルスの影響が大きかった2021年の地価公示でも上昇していました。 そのため、工業地の上昇は7年連続となっています。

2023年の地価公示は、新型コロナウイルスの影響はほぼ脱したと考えてよく、コロナ前の回復傾向と同水準となっています。 また、全国的に都市部を中心に上昇が継続するとともに、周辺部においても上昇範囲が広がるという現象が見られました。 上昇率も、中心部が低く、周辺部が高いというケースが多いです。 これらは、中心部の地価が高いことから需要が郊外に逃げたことで生じる「ドーナツ化現象」と呼ばれるものになります。

ドーナツ化現象はバブル時代の後半に見られた現象ですが、2023年の地価公示ではバブル末期に近い現象が現れ始めたといえます。 圏域別にみると、住宅地の上昇率は東京圏で+2.1%、大阪圏で+0.7%、名古屋圏で+2.3%、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)で+8.6%です。 商業地の上昇率は東京圏で+3.0%、大阪圏で+2.3%、名古屋圏で+3.4%、地方四市で+8.1%となっています。

住宅地も商業地も、三大都市圏よりも地方四市の方が上昇率は高くなっている点が近年の地価公示の特徴です。 とくに北海道北広島市や福岡県福岡市では再開発が行われていることから、地方四市の上昇率が高くなっています。

出典:国土交通省 「地価変動率の推移

東京圏の公示価格

東京圏の公示価格

東京圏の公示価格について解説します。

東京圏の動向

東京圏における公示価格の変動率の動向を示すと、下表の通りです。

用途 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
住宅地 1.3 1.4 ▲0.5 0.6 2.1
商業地 4.7 5.2 ▲1.0 0.7 3.0
工業地 2.4 3.0 2.0 3.3 5.0
全用途 2.2 2.3 ▲0.5 0.8 2.4

※単位(%)
出典:国土交通省 「地価変動率の推移

東京圏は、2021年は新型コロナウイルスの影響を受けて工業地以外の用途で地価の下落が生じました。新型コロナウイルスの影響が出る前の2020年の上昇率は、住宅地が+1.4%、商業地が+5.2%となっています。一方で、2023年の上昇率は、住宅地が+2.1%、商業地が+3.0%です。
住宅地はコロナ前以上の回復を見せていますが、商業地はコロナ前の水準には回復していないといえます。

住宅地

東京圏の住宅地は、周辺部の地価が大きく上昇した点が特徴です。
東京圏の住宅地で最も上昇率が高かったポイントは「木更津-38」(木更津市金田東4丁目19番5)であり、その上昇率は20.9%となっています。そのほか、東京圏の住宅地の上昇率トップ10の中には、茨城県つくば市や千葉県浦安市、神奈川県茅ケ崎市の標準地が入っています。

トップ10のうち、千葉県浦安市の標準地が7地点も入っています。 トップテンの上昇率は、1位の「木更津-38」は20.9%ですが、それ以外の2~10位までは10.5~12.0%程度です。

一方で、東京都23区の上昇率は平均で3.4%となっており、浦安市などの周辺部と比べると低くなっています。 東京都23区も上昇率が高い順から並べると、台東区4.8%、豊島区4.7%、中野区4.6%となっており、都心3区(千代田区、中央区、港区)は入っていません。 また、東京圏の住宅地で最も地価が高い標準地は「港-4」(港区赤坂1丁目1424番1)です。「港-4」の上昇率は、+2.4%となっています。

このように東京圏は中心部ほど上昇率が低く、周辺部の方が上昇率は高いことが特徴です。 これは中心部の地価が高過ぎて、需要が周辺部に逃げていることで生じています。 周辺部の需要が急速に高まっており、郊外に人が移動するドーナツ化現象が見え始めています。



 

商業地

東京圏の商業地も、周辺部の地価が大きく上昇した点が特徴です。

東京圏の商業地で最も上昇率が高かったポイントは「横浜西5-6」(横浜市西区みなとみらい3丁目1番1外)であり、その上昇率は13.5%となっています。 そのほか、東京圏の商業地の上昇率トップ10の中には、神奈川県横浜市、神奈川県相模原市、千葉県船橋市、千葉県石川市、千葉県流山市の標準地が入っています。 トップ10の標準地の上昇率は、9.9~13.5%程度です。

一方で、東京都23区の上昇率は平均で3.6%となっています。 東京都23区も上昇率が高い順から並べると、中野区5.2%、北区5.2%、荒川区5.2%となっており、都心3区(千代田区、中央区、港区)は入っていません。 東京圏の商業地で最も地価か高い標準地は「中央5-22」(中央区銀座4丁目2番4)ですが、その上昇率は1.5%となっています。

上昇率が高い商業地の特徴は、マンション用地と競合しやすいエリアです。 中心部の地価が高過ぎる商業地は、マンション用地との競合が少ないことに加え、リモートワークの普及によりオフィス賃料の下落も発生しています。 このため、純粋なオフィス立地の商業地の地価は、上昇率が低くなっているのが2023年の地価公示の特徴です。

大阪圏の公示価格

大阪圏の公示価格

大阪圏の公示価格について解説します。

大阪圏の動向

大阪圏の公示価格の変動率の動向を示すと、下表の通りです。

用途 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
住宅地 0.3 0.4 ▲0.5 0.1 0.7
商業地 6.4 6.9 ▲1.8 0.0 2.3
工業地 2.0 2.8 0.6 2.5 4.0
全用途 1.6 1.8 ▲0.7 0.2 1.2

※単位(%)
出典:国土交通省 「地価変動率の推移

大阪圏も2021年に新型コロナウイルスの影響を受けて、工業地以外の用途で一度地価が下落に転じています。 新型コロナウイルスの影響が出る前の2020年の上昇率は、住宅地が+0.4%、商業地が+6.9%となっています。 一方で、2023年の上昇率は、住宅地が+0.7%、商業地が+2.3%です。
住宅地はコロナ前以上の回復を見せていますが、商業地はコロナ前の水準までに回復していない点は、東京圏と同様の傾向となっています。

住宅地

大阪圏の住宅地で最も上昇率が高かった地点は「奈良-53」(奈良市西大寺国見町1丁目2137番65)の10.3%です。
大阪圏でも高い上昇率を示した地点は大阪市にアクセスしやすい周辺部となっており、ドーナツ化現象が生じています。

商業地

大阪圏の商業地で最も上昇率が高かった地点は「堺美原5-1」(堺市美原区平尾290番3)の13.6%です。 郊外のロードサイド型店舗が建ち並ぶ地域が高い上昇率を示しました。
大阪市は、中心部の商業地がインバウンド需要の依存度が高かったことから、まだ本格的な回復を示していません。 今後、インバウンド需要が回復すれば、中心部の商業地も再び高い上昇率で回復することが期待できます。

名古屋圏の公示価格

名古屋圏の公示価格について解説します。

名古屋圏の動向

名古屋圏の公示価格の変動率の動向を示すと、下表の通りです。

用途 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
住宅地 1.2 1.1 ▲1.0 1.0 2.3
商業地 4.7 4.1 ▲1.7 1.7 3.4
工業地 0.6 0.7 ▲0.6 1.6 3.3
全用途 2.1 1.9 ▲1.1 1.2 2.6

※単位(%)
出典:国土交通省 「地価変動率の推移

名古屋圏では、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2021年に全ての用途の地価が下落しました。 新型コロナウイルスの影響が出る前の2020年の上昇率は、住宅地が+1.1%、商業地が+4.9%となっています。 一方で、2023年の上昇率は、住宅地が+2.3%、商業地が+3.4%です。
住宅地はコロナ前以上の回復、商業地はコロナ前の水準には回復していない点に関しては東京圏や大阪圏と同じですが、商業地の上昇率は東京圏や大阪圏と比べると高い点が特徴となっています。

住宅地

名古屋圏では、住宅地で最も上昇率が高かった標準地は「名古屋-8」(名古屋市東区泉1丁目502番)の18.2%となっています。
名古屋市は中心部でマンション開発が堅調に進んでおり、中心部の地価が大きく上昇している点が特徴です。

商業地

名古屋圏では、商業地で最も上昇率が高かった標準地は「名古屋5-1」(名古屋市東区泉1丁目1317番)の13.8%となっています。
名古屋市は中心部の商業地でもマンション用地と競合するため、上昇率が高い地点は名古屋市内の商業地に集中しています。

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北海道の公示価格

北海道の公示価格

北海道の公示価格について解説します。

北海道の動向

北海道でもドーナツ化現象が見られます。
上昇率は札幌市よりも札幌市周辺の自治体の方が高くなっています。

市町村 住宅地 商業地
札幌市 15.0 9.7
江別市 27.5 20.8
恵庭市 26.4 21.3
北広島市 26.2 26.7
石狩市 20.9 20.9

※単位(%)
出典:国土交通省 「7.地方圏

住宅地

2023年の地価公示では、北海道の標準地の大幅な上昇率が目立ちました。住宅地の上昇率全国トップ10は、全て北海道の標準地です。
最も高いのは「北広島-1」(北広島市共栄町1丁目10番3)の30.0%となっています。 トップ10は、北広島市が5地点、江別市が3地点、恵庭市が2地点入っています。
北広島市では北海道ボールパークFビレッジ事業の再開発が行われており、住宅地も商業地も高い伸びを示しています。

商業地

商業地に関しても、上昇率全国トップ10は全て北海道の標準地です。
最も高いのは「北広島5-2」(北広島市栄町1丁目1番3)の28.4%となっています。 トップ11は、北広島市が2地点、恵庭市(えにわし)が3地点、江別市(えべつし)が5地点、千歳市が1地点入っています。(江別5-1と江別5-3が同率10位のため11地点となります。)
千歳空港と札幌市の間にある自治体の地価が大きく上昇していることが特徴です。

福岡県の公示価格

福岡県の公示価格について解説します。

福岡県の動向

福岡県も福岡市を中心に周辺の自治体が高い上昇率を示しています。

市町村 住宅地 商業地
福岡市 8.0 10.6
古賀市 9.2 6.3
大野城市 8.6 8.1
筑紫野市 8.1 10.0
須恵町 8.9 地点無し
粕屋町 6.8 9.5

※単位(%)
出典:国土交通省 「7.地方圏

福岡県は、福岡市の商業地の上昇率がとくに高い点が特徴です。
福岡市では中心市街地の商業地で「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」と呼ばれる再開発を行っており、その効果もあって高い上昇率が生じています。

住宅地

福岡市は、中心部の希少性が高い高級住宅地で地価の上昇が継続し、また中心部と比較して割安感を残すエリアでは地価の上昇が顕著となっています。

福岡市の住宅需要の波及により JR 鹿児島本線や西鉄天神大牟田線沿いを中心に、鉄道駅周辺などの利便性が良好な地域で地価上昇が継続中です。 福岡県でも需要が福岡市周辺部に拡大しており、ドーナツ化現象が生じています。

商業地

福岡市は、天神ビッグバンと博多コネクティッドの再開発がここ数年の地価上昇をけん引しています。
天神ビッグバンと博多コネクティッドは、いずれも狭い範囲において期間限定で建て替えのインセンティブを与える仕組みの再開発です。 ここ数年、再開発エリア内では連鎖的に建て替えが行われており、それが周辺部まで波及して全体の地価が押し上げられている結果となっています。

インセンティブが与えられる期間は、天神ビッグバンでは2026年末まで、博多コネクティッドでは2028年末までとなっており、福岡市の地価上昇は当面続くものと予想されます。

今後の地価動向

今後の地価動向

2023年の公示価格の結果を踏まえ、今後の地価はどのように推移していくのでしょうか。
最後に今後の地価動向について解説します。

大都市圏はドーナツ化現象が続く

2023年の地価公示では、バブル時代の後半に見られたドーナツ化現象が生じ始めました。
全国に生じ始めたドーナツ化現象は、しばらく続くものと予想されます。 理由としては、恐らく日銀の低金利政策は当面続く可能性が高いからです。

近年継続的に生じている不動産価格の上昇は、日銀の低金利政策の影響が大きいとされています。 低金利でローンを組みやすいことから、不動産を購入しやすく、不動産の需要が高まることで不動産価格が上がるという仕組みです。

市中にお金が溢れることでお金の価値が下がり、逆に物の値段が上がるといういわゆるインフレ状態にあります。 当初、日銀はこのようなインフレ状態を引き起こすために低金利政策を進めてきましたが、物価が上昇してきたにも関わらず金利を上げる気配がありません。 最近では、日銀は金利を「上げない」ではなく、「上げられない」という見方が強くなってきています。 日銀が金利を上げられない理由は、日本政府が発行した多くの国債を有しているからです。

金利が上がれば国が国債の返済に支払う額も上がります。 返済額が増えれば増税が行われる可能性や、必要な部分への歳出が減る可能性もあり、国民の痛みを伴う可能性が高いです。 そのため、日銀はもはや金利を上げられない状態にあるのではないかという見方もあります。

現に政府は物価対策のために税金投入をしていますが、日銀は逆に物価を上げるという名目で低金利政策を維持しており、国として矛盾したことを行っている状況です。 仮に金利を上げられないとすると、すでに日銀には市場調整能力はないことから、不動産市場も今の状態が続くものと考えられます。

現状では、都市の中心部の不動産価格は相当に価格が高騰していることから、中心部の不動産はなかなか購入できない価格になっています。 そのため、購入需要が郊外へ逃げる動きは続くと想定され、ドーナツ化現象はしばらく続くものと見込まれるのです。

観光地の地価が回復する

2023年の地価公示では、観光地の地価が少しずつ回復する傾向が見られました。

観光地の価格は、今後はさらに力強く回復することが見込まれます。 理由としては、インバウンド需要の回復に見込みが強いからです。 実際に2023年5月時点において、訪日外国人観光客数は早くも回復の兆しを見せ始めています。 インバウンド需要が回復する見込みが高いことも、日銀の低金利政策に影響しています。

外国人が日本に旅行しやすいのは、総じて円安傾向にあるからです。 昨今は、諸外国の金利が高く日本の金利が低いことから、諸外国の通貨で運用した方が有利であり、諸外国の通貨が買われ円が売られている状況が見られます。
円が売られてしまうことから円の価値が下がり、円安となってしまうのです。 円安は輸入価格を引き上げるという悪い影響もありますが、輸出やインバウンドにとっては良い影響を与えます。

仮に日銀が金利を上げられない状態にあるとすると、日本だけ金利が低いという状態が続くことになり円安傾向が継続する見込みも高いです。 その結果、訪日外国人観光客数はまだまだ増加する可能性が高く、観光地ではホテル用地の取得合戦が再燃する可能性があります。
再びホテル用地不足が生じれば、観光地の地価は力強く回復していくと予想されるのです。

再開発エリアの上昇は続く

再開発エリアの上昇は、続くものと見込まれます。

ここ数年、福岡市や北海道の北広島市といった再開発が行われているエリアは地価上昇が継続している状況です。 福岡県や北海道の一部の再開発エリアに関しては、新型コロナウイルスの影響が強かった2021年の地価公示でも上昇が見られました。 2021年の地価公示では、東京圏や大阪圏、名古屋圏といった大都市圏では住宅地や商業地の地価が下がりました。

しかしながら、再開発エリアは地価上昇が継続していたことから、再開発エリアはマクロ的な要因を受けにくいということがいえます。 マクロ的な要因とは、たとえば国内金利の上昇や景気後退といった大きな経済的要因のことです。

再開発エリアは、再開発という人為的な要因で地価を押し上げる力を有しています。 街が良くなれば購入需要だけでなく賃貸需要も高まることから、土地の収益性が上がります。 そのため、再開発が行われる地域は、比較的、地価上昇を見込みやすいのです。

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まとめ

以上、2023年の公示価格について解説してきました。
公示価格は市場性だけでなく、収益性も反映した価格です。 2023年の公示価格では、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるというドーナツ化現象が出始めた点が特徴となります。

全国では、全用途平均、住宅地平均、商業地平均がいずれも2年連続で上昇し、工業地平均は7年連続で上昇しました。 とくに再開発が進む北海道と福岡の上昇率が高いことが、近年の特徴です。今後の地価動向は、日銀の低金利政策が継続する可能性も高いことから、「大都市圏はドーナツ化現象が続く」、「観光地の地価が回復する」といったことが考えられます。 また、引き続き「再開発エリアの上昇は続く」見込みは高いです。

2023年の公示価格の値動きを、今後の地価動向の参考にして頂ければと思います。
公示価格に関することや、不動産売買をご検討中の方は、下記よりお気軽にご相談ください。



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不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
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