更新日:2024.08.07
【3年ぶり】首都圏のマンション価格が13%下落!内訳と今後のマンション価格動向
不動産経済研究所の「首都圏2024年上半期新築分譲マンション市場動向」によると、マンション平均価格が去年の同時期と比べ13%の下落となりました。 今回の下落は3年振りとなりましたが、果たして今後のマンション価格はどうなるのでしょうか。 本記事では、近年のマンション価格の動向と、今後の予測についてお伝えしていきます。
- 2024年上半期は下落したが、マンション価格は依然として高い水準である
- 東京23区のマンション価格の下落が、首都圏全体のデータに影響を及ぼしている
- 今後の動向については、物価や各国の金利政策、国内の雇用状況などを注視する
2024年上半期の首都圏(1都3県)新築マンション平均価格が3年振りに下落
2024年上半期の「首都圏(1都3県)の新築分譲マンションの平均価格」が、3年降振りに下落していることが発表されました。 以下にて、詳しく見ていきましょう。
新築マンション価格、ついに天井か
不動産経済研究所の発表したデータによると、2024年上半期の首都圏における新築分譲マンション一戸あたりの平均価格は7,677万円となりました。 前年同期比では1,196万円(約13.5%)ダウンとなり、首都圏の新築分譲マンションが下落するのは3年振りとなります。
とはいえ、新築分譲マンションの価格はここ数年右肩上がりであり、バブル状態にあるという人も多くいます。
2023年の上半期は、「三田ガーデンヒルズ」、「ワールドタワーレジデンス」など大型案件が多く、8,873万円(前年同期比36.3%アップ)となっており、過去最高値でした。
2024年上半期は下落となりましたが、依然として高い水準にあることは間違いないといえるでしょう。
エリア別では東京23区の影響が大きい
なお、首都圏のマンション価格についてエリア別で見てみると、以下のようになります。
エリア | 平均価格 | 前年同期比 |
---|---|---|
首都圏 | 7,677万円 | -13.5% |
東京23区 | 1億855万円 | -16.3% |
東京都下 | 5,704万円 | 1.7% |
神奈川県 | 6,188万円 | 7.7% |
埼玉県 | 5,161万円 | 2.8% |
千葉県 | 5,831万円 | 22.3% |
出典: 「㈱不動産経済研究所」
首都圏の平均価格が下落したとはいっても、上記表を見ても分かる通り、下落しているのは東京23区のみです。
東京23区のマンション価格が大きく、供給戸数が他県と比べて多いことから、東京23区の下落が首都圏全体のデータに影響を及ぼしてしまったと見ることができます。
これまでの首都圏新築マンション市場の推移
ここ10年の首都圏における新築分譲マンションの上半期における平均取引価格推移を見てみると、以下のようになります。
年度 | 平均価格 |
---|---|
2024 | 7,677万円 |
2023 | 8,873万円 |
2022 | 6,510万円 |
2021 | 6,414万円 |
2020 | 6,671万円 |
2019 | 6,137万円 |
2018 | 5,962万円 |
2017 | 5,884万円 |
2016 | 5,686万円 |
2015 | 5,256万円 |
2014 | 5,010万円 |
出典: 「㈱不動産経済研究所」
2023年に大きく上昇した後、2024年にやや落ち着いたものの、2022年以前と比べればまだまだ高い水準にある(ここ数年右肩上がりに上昇している)ということが分かるでしょう。
今後の新築マンション価格の動向と今後の予測
不動産経済研究所のデータから、2024年上半期の新築分譲マンション価格について見てみましたが、今後のマンション価格はどうなるのでしょうか。
価格を予測する材料として、以下の項目をご紹介します。
物価上昇
2020年~2022年頃にかけて、世界中に新型コロナウイルスが蔓延しました。
世界各国ではコロナ禍に対する対策として、補助金などによってお金を刷り過ぎたことなどを理由に、インフレ(モノの値段が上がり、お金の価値が下がる)が進むという現象が起こっています。 日本は欧米各国と比べると比較的緩やかではありますが、少しずつ物価の上昇が進んでいるのが現状です。
総務省統計局の消費者物価指数によると、2020年を100%とした場合、2023年は105.6%となっており、前年比3.2%の上昇となっています。 また、直近の消費者物価指数は2020年を100%とした場合、2024年6月時点では108.2%となり、前年比0.3%の上昇傾向にあることが分かるでしょう。
今後も引き続き、物価は上昇していく可能性があり、中長期的に見るとマンション価格にも影響が及ぶ可能性があります。
人手不足
日本国内では少子高齢化が進んでいます。
また、特に建築業界においては人手不足が深刻化しているという状況があります。
厚生労働省のデータによると、2023年の有効求人倍率が平均1.31倍であるのに対し、「建設従事者(建設躯体工事従事者を除く)」は5.20倍となっています。 有効求人倍率とは「有効求職者数に対する有効求人数の割合」のことで、建設業は平均よりも非常に高く、人手が足りていない状況が続いているといえるでしょう。
今後、建築業界の人手不足は解消する見込みが薄く、対して日本の少子高齢化は今後より深刻化することから、ますます人手不足は進む可能性が高いです。 結果として、人手不足による人件費の上昇、それによる建築価格の上昇につながる可能性があるといえます。
円安
先程触れた通り、コロナ禍後は世界各国でインフレが進んでいます。
インフレに対する対策として、利上げが行われていますが、日本はインフレが緩やかであり、また日本銀行が国債を多く発行しているといった理由から、世界各国と比べて利上げに慎重です。 結果として、日本と世界各国との金利差が開き、急激な円安が進んでいます。
日本の建築物は、輸入材を多く利用しているケースが多いです。 このため、円安が進むことで建築資材価格が上昇し、結果として建築価格の上昇につながる可能性が高いといえるのです。
まとめ
不動産経済研究所の2024年上半期首都圏マンション価格が3年振りに下落となったことから、同データのこれまでの推移や今後の動向予測などを解説しました。
マンション価格は近年バブルともいわれるほど上昇が続いていますが、数年中に上昇トレンドが終了する可能性もあり、もしバブルがはじけることになれば、マンション価格も大きく下落する可能性があります。
昨今の金融市場動向を見ると、2024年7月31日に日銀が追加利上げを発表しており、155円~160円程度で推移していたドル/円の価格が、一時148円程度まで円高に振れる動きを見せています。 対して、イギリスでは8月1日に約4年半振りの利下げが実施された他、アメリカでも今後は利下げが予想されています。 これまで日本で円安が進んだ大きな理由の一つが「日本と世界各国の金利差」にあるため、金利差が縮小していくことになれば、今後は円高が進んでいく可能性もあるでしょう。
本記事でもお伝えした通り、現在のマンション価格の高騰は主に首都圏の新築分譲マンションがけん引している状況です。 首都圏の郊外や、都心部であっても中古マンションなどはそこまで大きな影響が及んでいるわけではありません。
お子様が生まれて広いマンションに引っ越したいといった方や、住み替え先のマンションを探しているといった方は、ご状況に応じて購入を検討するとよいでしょう。
また、今後日本国内では人口減少が続くこともあり、不動産市場の将来はいくつかの懸念点があるため、現在マンションを所有しており、売却を検討されている方は、早めに行動に移すのがおすすめです。
これからマンションの購入や売却を検討している方は、下記よりお問合せください。
宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら
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