- やることや用意するものは事前にリスト化し、一つずつ消していくと忘れない
- 引越し前後はやるべきことが多いので、手続きは早め早めに行うのがベター
- ガスなどの立ち会いは、できるだけ引越し当日にまとめると効率的
初めての一人暮らしは楽しみな反面、「やることが多くて大変そう……」と感じる方も多いでしょう。実際、転居するにあたっては、「不動産会社との賃貸契約」から「役所への届け出」、そして「引越し」に至るまで、行うべき手続きや用意すべき書類がたくさんあります。
全体の流れを把握していない状態で、「すべて忘れずにやる」のは難しいかもしれません。しかし、やることや用意するものを事前にリスト化しておけば安心です。こちらの記事では、一人暮らしを始めるうえで必要な手続きや手順、そこで用意すべき書類についてわかりやすく解説していきます。
【引っ越し前】新居の契約と転出届
部屋探しを経て一人暮らしの新居が決まったら、不動産会社で賃貸借契約を交わします。また、転居にあたっては市役所や区役所などに「転出届」を出す必要があります。
賃貸借契約で必要なもの
新居の契約において必要な書類には、以下のようなものがあります。不動産会社によって必要とされる書類は異なるため、以下に挙げたもの以外を求められることがあるかもしれません。事前にしっかり確認しておきましょう。
契約者の身分証明書
身分証明書は、どの不動産会社で契約をする場合も必ず求められる書類です。運転免許証があれば、それが身分証明書となります。運転免許証を持っていない場合は、健康保険証やマイナンバーカード、パスポートなどを持参しましょう。不動産会社によっては、複数の身分証明書を用意しなければならないケースもあります。
契約時点の住民票
契約時に住んでいる場所の住民票も必要です。住民票は市町村の役所のほか、自治体によってはコンビニなどで取得できるところもあります。住民票の写しを取得する費用は、どの地域でも300円前後です。
収入証明書や就職先の内定通知書
賃貸物件を契約すると、当然ながら家賃が発生します。そのため、「家賃を支払うだけの収入があること」を証明しなければなりません。収入証明書としては、源泉徴収票や納税証明書などを提出するケースが多いようです。すでに仕事に就いている場合は「これまでの収入証明」、これから就職する場合は「就職先の内定通知書」などが必要になるでしょう。
連帯保証人の収入証明書
連帯保証人が必要なケースでは、その人の収入証明書を求められる場合もあるでしょう。仕事に就いている方が望ましいですが、年金受給者でも連帯保証人として認められるケースがあるようです。連帯保証人の源泉徴収票や納税証明書などを、収入証明書として用意しましょう。
転出届で必要なもの
新しい部屋に引越す前に、今住んでいる地域から転出するための手続きが必要です。転出届を提出し、それを受けて転出証明書が発行されないと、新居がある地域で「転入届」を出すことができません。転出届を出す際に必要になるものは、以下をご覧ください。
身分証明書
本人であることを確認できる書類(身分証明書)として、運転免許証や健康保険証などを持参しましょう。代理人が届け出をする場合は、それに加えて委任状が不可欠です。
印鑑
印鑑は必ず使用するので、忘れないようにしましょう。印鑑は三文判でも問題ありません。
転出届と似ているようで違う「転居届」
転出届の手続きは、引越しをする日の2週間前から行えます。直前だと荷造りなどで忙しくなるので、転入日を決めたらできるだけ早めに済ませておきましょう。なお、同じ市区町村内の物件に引越しをする場合は、「転出届」ではなく「転居届」を提出します。身分証明書があれば転居届を提出できますが、転出届と違って引越し前に手続きすることはできません。
住民票は引越し前に移すべき?
大学進学などで一人暮らしをする場合には、住民票の移動をしなくてもよいとされています。住民票を移すと、成人式は住民票のある地域で参加することになります。また、選挙(投票)も住民票がある地域で行わなければなりません。初めての一人暮らしをする学生の方は、住民票の移動についてよく検討しましょう。
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【引っ越し前】生活インフラの手続き
新居で電気やガス、水道といったインフラを利用するには、自分で開通の手続きをしなければなりません。不動産会社が行ってくれるわけではないので注意が必要です。以下では、電気、ガス、水道の開通に必要な手続きを解説します。
電気
電力会社に連絡し、電気の開通手続きをしましょう。電話で新居の住所などを聞かれたら、開通希望日などと合わせて伝えれば手続き完了です。電話以外に、電力会社のWebサイトなどでも手続きができます。
電気の開通においてはほとんどの場合、現場での立ち会いが必要ありません。引越し日にブレーカーを上げれば使えるように、1週間前までには手続きを済ませておきましょう。
ガス
最近はオール電化の賃貸物件も増えており、そういった物件では開通手続きそのものが不要です。ガスの開通が必要な場合は、ガス会社に連絡しましょう。ガスには「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類があり、物件契約時にガス会社の連絡先などが記載された書類をもらえます。
都市ガスでもプロパンガスでも、工事時は立ち会いが必要です。予定を合わせて来訪してもらい、開通を確認して注意点の説明を受けます。
水道
水道の手続きの場合は、こちらから水道局へコンタクトを取ります。余裕を持って、引越しをする3~4日前までには済ませておくと安心です。
最近では電話や郵送だけでなく、インターネットからの手続きに対応している水道局も増えています。開通の立ち会いは不要です。ポストに水道の手続きに関する紙が入っており、引越し後に記入・郵送するよう指示されるケースもあります。
電話・インターネット
「スマートフォンがあるからインターネット契約や固定電話は不要」という方もいるかもしれませんが、必要な場合は引越し日に合わせて契約しましょう。インターネット契約と同時にIP電話を引けば、NTTの電話回線を引くより安価で自宅の電話番号を取得できます。インターネット契約では、さまざまなプロバイダが独自の特典を用意しています。自分に合ったプランを探してみてください。
ただし、時期によっては工事の予約が非常に混み合い、インターネット開通まで2ヶ月近くかかることもあります。とくに引越し時期と重なる3月から5月にかけては要注意。引越しに合わせてすぐ利用したい方は、入居日が決まったらすぐに契約しましょう。
インターネットの回線工事は、立ち会いが必要なケースと不要なケースがあります。すでに工事済みの物件は立ち会いの必要がないので、事前に確認してください。
郵便物の転送手続き
転居前の住まいから、転居先の住まいに郵便物を転送することができます。郵便局のホームページに専用の申し込みフォームがあるので、手続きも簡単です。
郵便物の転送は、1週間ほどタイムラグが発生する可能性があります。そのため、できるだけ早めに手続きしておくことをおすすめします。「●月●日から転送を開始する」という設定ができるので、早く申し込んでおきましょう。
【引っ越し当日】旧居と新居で行うこと
引越し当日は、「それまでの住まいで行うべきこと」と「新居で行うべきこと」がそれぞれたくさんあります。実家から引越して一人暮らしを始めるのであれば、旧居でやることはあまりないかもしれませんが、一人暮らしの賃貸物件から別の賃貸物件へ引っ越す際はかなり慌ただしくなるでしょう。
それまでの住まい(実家以外)で行うこと
電気や水道、ガスの使用停止手続き
電気や水道は、事前に止める旨を連絡しておけば立ち会い不要です。ただし、ガスの場合は立ち会いが必要になることもあります。
オートロックの物件やメーターが室内にある物件の場合は、退去後に作業ができません。家主立ち会いのもとで停止手続きを行う必要があると覚えておきましょう。
不動産会社立ち会いの明け渡し
引越しで荷物をすべて搬出したら、不動産会社立ち会いのもとで明け渡しを行います。明け渡しのタイミングで部屋の状況を確認し、「どのくらい修繕(原状回復工事)が必要か」「敷金からいくらくらい捻出されるのか」がチェックされます。
原状回復にかかる費用は、住んでいた年数によっても変わります。長く住んでいればその分経年劣化も進むため、壁紙などの修繕費を求められない場合が多いでしょう。居住年数が短いと借り主が支払う割合が大きくなり、長いと不動産会社が支払う割合が大きくなる、と考えてよいでしょう。キレイに部屋を使っているほうが、そうでない場合より敷金から徴収される原状回復費は少なくなります。
新しい住まいで行うこと
電気や水道、ガスの使用開始
電気はブレーカーを上げるだけ、水道は元栓を開くだけで、「立ち会いなし」で済むケースがほとんどです。ただし、ガスの開通は立ち会いが必要なので、できるだけ引越し日に合わせて予定を入れてもらいましょう。そうすることで、その日のうちにガスが使えるようになります。引越し当日に「ゆっくりお風呂に入りたい」という方は、お忘れなく。
掃除
新居はハウスクリーニングが入ってキレイになっていますが、清掃から時間が経っている場合は床にほこりなどがたまっていることも少なくありません。搬入後に掃除をするのは大変なので、できれば荷物を積んだ引越しのトラックが到着する前に、新居を掃除しておきたいところですね。
ご近所への挨拶
両隣や上下階など、ご近所への挨拶はできるだけ行いましょう。最近は挨拶をしないケースも増えているようですが、不慣れな環境では「困ったときに声かけできる関係性」があると安心です。挨拶時に渡す粗品は、引越し前に用意しておくとスムーズです。引越し当日にばったり会うケースも少なくないので、すぐに渡せるよう、わかりやすい場所に置いておきましょう。
荷解き
引越しが終わっても、転入手続きなどがあってしばらくは忙しくなるでしょう。荷解きは引越し当日にできるだけ進めておくことをおすすめします。とくに衣類や洗面用具など、その日に使うものはすぐに出しておきましょう。
【引っ越し後】転入届と住所変更
無事に一人暮らしの新居へ引越したとしても、そこからまたさまざまな手続きが必要になります。以下を見ながら、各手続きのポイントを押さえておきましょう。
転入届
引越しが完了したら、何よりも先に行わなければならないのが「転入」の手続きです。転入手続きは、新居のある地域の役所で行います。必要な書類は以下になります。
・転出届の際に受け取った転出証明書
・運転免許証などの身分証明書
・マイナンバーカードもしくは通知カード
・印鑑
転出手続きは引越しから2週間以内に行わなければならないので、できるだけ早く済ませましょう。マイナンバーカードの住所変更は、転出届と同時に行えます。住民票の写しを1通取っておくと、その他の手続きもスムーズにできるでしょう。
このとき、マイナンバーが記載されている住民票の写しは使用できない場合がありますので、マイナンバーの記載がないものを取得しましょう。
運転免許証
運転免許証を持っている方は、警察署で住所を変更してください。このとき、「新住所が証明できるもの」が必要になるため、役所で取得した住民票の写しがあると便利です。また、その他に健康保険証やマイナンバーカードなどの身分証明書を求められる場合があります。運転免許証の住所変更を忘れると、「更新のお知らせ」が届かなくなるので注意が必要です。
免許更新のお知らせはハガキで届きますが、郵便物の転送設定をしていても、更新のお知らせは転送されません。ずっと放置していると、「いつの間にか免許の期限が切れていた……」ということになりかねないので、転入届と同日に済ませてしまうことをおすすめします。
銀行やクレジットカード
銀行やクレジットカードの住所変更はインターネット経由で行えるところも多いので、確認してみましょう。その場合はサービスカウンターや窓口を直接訪れる必要がないため、手軽です。複数の銀行口座やクレジットカードを所有している方は、”変更忘れ”がないように気を付けてくださいね。
自動車保険・生命保険・国民年金
自動車保険や生命保険、国民年金などに関する住所変更も、忘れずに行いましょう。とくに自動車保険や生命保険は、住所変更を忘れがちです。きちんと手続きをしていないと、事故が発生した際に補償を受けられなくなるおそれがあるため、引越しを終えたらすぐに済ませておきたい手続きと言えます。
国民健康保険
以前住んでいた場所でも国民健康保険に加入していた方は、引越しをしてから住所を変更するか、もしくは新たに加入の手続きを行わなければなりません。引越し前に資格喪失手続きを行い、引越し後に加入手続きをしましょう。
このとき、転出証明書が求められる場合があります。転入手続きの際に、国民健康保険の加入手続きについても確認しておきましょう。
印鑑登録
すぐに必要でない方もいると思いますが、印鑑登録の手続きも早めに行っておくと安心です。同じ市区町村内の物件に引越す場合は、自動的に新しい住所に切り替わりますが、別の市区町村に引越すなら新たに登録が必要です。登録する印鑑と身分証明書を持参し、役所の窓口で申請しましょう。
携帯電話・スマートフォン
携帯電話・スマートフォンの住所変更も必須です。ただし、それまで実家暮らしで家族と一緒に携帯電話サービスを契約していた場合は、割引などの都合もあるでしょう。家族と相談のうえで変更を検討しましょう。
手続きは早め早めがベター。快適に一人暮らしを始めよう
一人暮らしを始めるための手続きはたくさんありますが、「これから新生活がスタートする」と思うと、煩雑な事務手続きも頑張ろうと思えるかもしれませんね。やるべきことや用意すべきものは事前にリスト化し、完了したものから消し込んでいくとすべて忘れずに対応できます。引越しは、直前になるほど忙しくなるもの。ギリギリになって「どうしよう……」と慌てないように、できるだけ余裕を持って進めましょう。
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