更新日:2024.08.29
日経平均暴落!株価が不動産価格に与える影響とは?理由と今後の不動産価格を考察
2024年8月5日に日経平均株価は、1987年に起きたブラックマンデーを超える過去最大の下げ幅となる暴落を記録しました。 ニュースでも連日取り上げられており、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。 実は、株価は不動産価格にも影響があるとされているため、不動産の売買を考えている方は株価についても注目することをおすすめします。 本記事では、株価が不動産価格に及ぼす影響や、今回の日経平均株価の暴落が、今後の不動産価格にどのような影響を及ぼすか考察します。
- 2024年8月5日に、日経平均株価4,451円安と過去最大の下げ幅を記録した
- 不動産価格は、株価にやや遅れて変動するとされている
- 不動産の売買を考えている方は、株価の動きにも注目することが大切
不動産価格は株価にやや遅れて変動する
不動産価格と株価について、関連性はあるのでしょうか。 両者の関連性について、明確に関連があると断言できるわけではありませんが、過去のデータを見てみると、傾向として、株価の変動からやや遅れて不動産価格に反映されていることが分かります。
まずは、国土交通省が発表している不動産価格指数の推移を見ていきましょう。
画像出典:国土交通省 「不動産価格指数(令和6年4月・令和6年 第1四半期分)を公表」
次のグラフは、2008年~2024年の日経平均株価の月ごとの終値を結んだグラフです。
近年の不動産価格は「マンションバブル」と言われるほどの大きな上昇を続けています。 一方、直近の日経平均株価の動きには、為替の影響などがあり特殊な動きをしています。 必ずしも「株価に遅れてマンション価格に影響を及ぼす」状況とはなっていませんが、グラフの上昇推移を見比べてみると、両者に関連性があることはよく分かるのではないでしょうか。
不動産価格が株価に影響を受ける理由
ここでは、なぜ不動産価格が株価の影響を受けるのかを以下の3つに分けて解説します。
それぞれ見ていきましょう。
不動産と株式の投資家に個人投資家が多いから
不動産と株式は「投資対象」として確立されており、多くの個人投資家が投資に取り組んでいます。
こうした個人投資家は、コロナショックなど何らかの経済的な出来事が起こった際に、株式投資家も不動産投資家も同じような動きをする傾向にあります。 例えば、経済が冷え込んで手持ちの資金が必要になった場合には、株式や不動産を手放す動きをする可能性が高いです。
このように、不動産も株式も個人投資家が多いことから、不動産価格と株価には関連性が高いと考えることができるのです。
株価が上昇することで投資資金が潤沢になるから
株価が上昇すると、保有株式を売却して利益を確定し、投資資金が潤沢になることで不動産に資金が向かうといった流れから、株価と不動産価格に関連性があると考えることができます。
逆に、株価が下落すると不動産に向かう資金がなくなることから、同様に不動産価格も下落すると考えられます。
株価が上昇することで景気が良くなっていると感じるから
数ある経済的指標の中でも、株価は最も代表的です。 連日ニュースで放送され、株価が大幅に上昇すれば大きく取り上げられます。 手持ち資金に関わらず、株価が上昇することで景気が良いと感じられるため、不動産への投資も検討されやすくなることが考えられます。
日経平均暴落!今後の不動産価格はどうなる?
2024年8月5日、日経平均株価は、1987年に起きたブラックマンデーを超える過去最大の下げ幅を記録しました。
ここでは、日経平均株価の暴落に関して、不動産価格への影響と今後について見ていきましょう。
日本の利上げと世界各国の利下げ傾向により、日経平均が暴落
2024年8月5日の日経平均株価の暴落については、さまざまな理由が考察されていますが、それらの理由の一つに日銀による利上げと、アメリカの雇用統計悪化などを背景とするアメリカの利下げ予測が挙げられます。
これまで、日本は欧米各国と比べて、コロナ禍後のインフレの動きが弱いことや、日本銀行の国債発行額が大きいといったことから、利上げを積極的に行っておらず、日本と世界各国の金利差から円安が急速に進んできました。
一方、アメリカをはじめ世界各国ではインフレを収めるために急激な利上げを行ってきましたが、ある程度インフレが収まってきたことに加え、アメリカにおいては雇用統計など景気の各種指標が悪化し始めていることもあって、近く利下げを行うことが予想されています。
今後、日本は数回の利上げを行う可能性があり、また世界各国では上げ過ぎた金利を下げる動きが見られることになるでしょう。 円高になれば、日本の輸出企業にとって悪材料となることから、株安の一つの原因となりえます。
以上のようなことが、今回の日経平均暴落の一つの理由だと考えられています。
不動産価格は右肩上がりに上昇している
不動産価格は右肩上がりに上昇を続けており、特に首都圏の新築マンション価格の上昇が目立ちます。
不動産経済研究所のデータによると、2014年に5,010万円だった首都圏の新築マンションの平均価格は、2023年には8,873万円になるなど大きな上昇を見せています。
年度 | 平均価格 |
---|---|
2024 | 7,677万円 |
2023 | 8,873万円 |
2022 | 6,510万円 |
2021 | 6,414万円 |
2020 | 6,671万円 |
2019 | 6,137万円 |
2018 | 5,962万円 |
2017 | 5,884万円 |
2016 | 5,686万円 |
2015 | 5,256万円 |
2014 | 5,010万円 |
出典: 「㈱不動産経済研究所」
2022年から2023年にかけて平均価格は36%以上上昇しており、今までの上がり幅と比べても大きく上昇していることが分かるでしょう。
2024年の平均価格は2023年よりやや下がっていますが、2022年と2024年の平均価格を比べると約18%上昇しており、こちらも過去の上げ幅と比べてみても十分に高い数値です。
全体の平均価格の推移を見てみると、2023年に大きく上昇し過ぎただけで、まだまだ上昇傾向にあると見ることもできるのです。
新築マンションの価格動向については、以下記事でも詳しく解説しているので、参考になさってください。
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今後の不動産価格の参考に株価を注視しよう
2024年8月5日に、日経平均株価は過去最大の下げ幅となりました。
今後、不動産価格への影響が懸念されますが、不動産価格は株価よりやや遅れて動くと考えられています。
これまで、右肩上がりを続けてきた不動産価格ですが、特に首都圏のマンション価格に引っ張られている傾向にあり、少子高齢化が進む中で上昇を続けていることからも、不動産バブル・マンションバブルという声が多く見られています。
今後もし株価が下落トレンドに入るようなことがあれば、不動産価格も同様に大きく下落してしまうリスクがあります。 そのため、不動産の購入や売却を考えている方は、株価の影響が不動産価格に及ぶ前に、購入・売却を検討してみるのもよいでしょう。
まとめ
2024年8月5日の日経平均株価の暴落から、株価の不動産価格への影響について考察しました。
不動産価格は株価に遅れて動くと言われており、過去のデータを見てみると確かに株価と不動産価格には大きな関連性があることが見て分かります。
なお、2024年8月5日に一時31,000円程度まで大きく下落した日経平均株価は、その後少しずつ回復してきており、2024年8月28日時点では38,300円前後を推移しています。
株価の影響が不動産価格に現れるのは少し先のことと予想されますが、不動産の売却や購入を考えている方は、株価の動きをしっかり追って早めに行動することをおすすめします。
宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら
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