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都内は6~7人に1人に相続税が発生!不動産の相続対策はどうやる?

更新日:2024.11.19

都内は6~7人に1人に相続税が発生!不動産の相続対策はどうやる?

東京国税局によると、東京都(23区外も含む)で2022年に相続税の申告があった人の割合は15%です。 およそ6~7人に1人の割合で相続税が発生しているため、とくに資産家ではなくても相続税が発生する可能性が十分にあります。 かつて相続税は一部の資産家のみに課税される税金と考えられていましたが、もはや都内においては昔の常識は通用しなさそうです。 都内で不動産を所有している人は、どのような相続対策を行えばいいのでしょうか。 この記事では「都内の不動産相続」について解説します。

  • 東京都内では15%の人が相続税の申告をしている
  • 相続財産の中で不動産の割合が高いと、分割の問題が生じやすい
  • 遺言書を残すことが有効な対策となる

もくじ

  1. 東京都では6~7人に1人が相続税を支払っている

  2. 都内の不動産相続の問題点

    1. 不動産の割合が高く分割しにくい

    2. マイホームは収益物件よりも相続税評価額が高い

    3. 納税が困難になりやすい

  3. 都内の不動産の相続対策

    1. 小規模宅地等の特例を活用する

    2. 遺言書を残す

    3. 現金を早めに生前贈与しておく

    4. 敷地の一部を売却できるように分筆しておく

    5. 賃貸併用住宅に建て替える

  4. まとめ



東京都では6~7人に1人が相続税を支払っている

相続税は、被相続人(死亡した人)が基礎控除額を超える資産を有している場合に課税される税金です。
基礎控除額は、以下の計算式で求めます。

基礎控除額
=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

基礎控除額

たとえば、相続人が配偶者と子ども2人であれば【法定相続人の数は3人】となり、基礎控除額は4,800万円(=3,000万円+600万円×3人)となります。
この場合、被相続人が4,800万円超の資産を保有していると、相続税が課税されるということです。

では、東京都内に相続税の申告をした人の割合がどの程度いるかというと、2022年では全体の15%となっています。
以下は、近年における都内の課税割合の推移です。

都内の課税割合の推移
都内の課税割合の推移

画像出典:東京都国税局 「令和4年分相続税の申告事績の概要

令和4年(2022年)の相続税の申告をした人の割合は15%ですので、およそ6~7人に1人が相続税の納税義務者となります。

平成26年(2014年)から平成27年(2015年)にかけて納税者の割合が大きく上昇したのは、基礎控除額の計算方法が変わったためです。 平成26年(2014年)以前の基礎控除額の計算式は「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」であったことから、基礎控除額が高く計算され、納税者の割合は低くなっていました。

次に、全国の課税割合の推移です。

全国の課税割合の推移
全国の課税割合の推移

画像出典:東京都国税局 「令和4年分相続税の申告事績の概要

相続税の申告をした人の令和4年(2022年)の全国平均割合は9.6%です。
全国では、およそ10人に1人弱の割合で相続税が発生することになります。

相続税の納税割合が全国平均で9.6%あったのに対し、都内が15%となっている理由としては、東京都の土地の価格が高いことが挙げられます。 なお、近年は国内の土地価格の上昇が続いていることから、東京都内だけでなく全国平均も、相続税の納税義務者の割合が微増傾向になっています。

▼コラム~2024年4月から相続登記が義務化!~

2024年4月から相続登記が義務化されました。
相続登記とは、相続を原因とした所有権移転登記のことです。

2024年4月1日以降に相続が発生した場合は、「相続で取得したことを知った日から3年以内」に登記をする必要があります。 また、2024年4月1日より前に相続が発生している場合は「相続で取得したことを知った日から3年以内」または「2027年(令和9年)3月31日」のいずれか遅い日までに登記をすることが必要です。
正当な理由がないのに相続登記の申請を怠った場合には、10万円以下の過料が課せられます。

都内の不動産相続の問題点

都内に不動産(アパートやマンションなど)を持っておらず、マイホームしか保有していない人も、相続税の納税義務者になることがあります。
この章では、不動産をマイホームしか保有していない人をモデルとして、都内の不動産相続の問題点について解説します。

不動産の割合が高く分割しにくい

不動産がマイホームしかない場合、相続財産の中で不動産の割合が高くなってしまうケースが多いです。 不動産の割合が高くなると、相続人の間で遺産を平等に分けにくくなります。

たとえば、相続人が2人いて、現金を1,000万円、不動産を5,000万円(5,000万円の価値がある家を)持っている場合、1人に現金、もう1人に不動産を分け与えると両者に大きな不平等が生じてしまいます。

マイホームは収益物件よりも相続税評価額が高い

マイホームでは、アパートやマンションのような収益物件で適用される相続税評価額の評価減ルールが適用されません。 同じ規模のマイホームとアパートであれば、マイホームの方が相続税評価額は高く計算されてしまいます。

マイホームのような自分で利用している不動産は、自用の不動産と呼びます。
マイホームを都内のように土地価格の高いところで有していると、相続税が発生しやすいです。

納税が困難になりやすい

不動産をマイホームしか保有していない人の資産の割合は、不動産が大きく、現金は少なくなっていることが多いです。

相続税の納税は現金納付が原則であるため、現金を十分に残せないと相続人(資産を引き継ぐ人)が納税で苦労してしまいます。 相続人が納税をするための十分な現金を持っていない場合、相続したマイホームを納税のために売却せざるを得なくなります。

都内の不動産の相続対策

都内の不動産の相続対策

この章では、都内の不動産の相続対策について解説します。

小規模宅地等の特例を活用する

都内にある不動産を相続する場合、小規模宅地等の特例を適用できないかを検討することが適切です。 小規模宅地等の特例とは、相続財産のうち一定の要件を満たす土地について、限度面積までの部分を80%または50%減額するという制度になります。

一定の要件を満たすマイホームの場合、土地の評価額の減額割合は80%です。
小規模宅地等の特例を適用すると土地の評価額を大きく減額できるため、結果的に相続税が非課税になるケースもあります。
適用要件や利用する際の手続きについては、国税庁のホームページをご確認ください。



 

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遺言書を残す

遺言書を残すことも、効果的な相続対策になります。
遺言とは、被相続人の生前の最終意思を尊重し、その意思の実現を死後に図る制度のことです。 遺言書で財産の分け方を指定しておけば、相続人は原則として遺言書に従って財産を分けることになります。 そのため、遺言書は、相続後に財産の分割で揉めることを防ぐ役割を果たします。

遺言書は、遺産が1つの不動産と多少の現金だけというような「分けにくい資産構成」であるほど、効果を発揮します。

現金を早めに生前贈与しておく

現金を早めに生前贈与しておくことも、相続対策になります。
現金を生前贈与しておけば、相続人が納税用の現金をためることができます。 また、現金を減らすことで相続財産が減るため、相続税も節税できるようになります。
ただし、生前贈与では、相続開始7年以内の贈与は相続財産に加算される点には注意が必要です。 そのため、生前贈与を実施するのであれば、早めに行うことをおすすめします。

敷地の一部を売却できるように分筆しておく

不動産が戸建てしかない場合、敷地の一部を分筆(土地を分けること)して売却できるようにしておくことも対策です。 相続後、敷地の一部を売却すれば、その資金で相続税を納税できる可能性があります。
敷地の一部を分筆する場合には、戸建てを残す土地が接道条件(幅員4m以上の道路に間口2m以上接していること)を満たしていることが必要です。

賃貸併用住宅に建て替える

賃貸併用住宅とは、1つの建物で自宅とアパートを併用した建物のことです。
賃貸併用住宅を建てれば自宅を残しつつ、一部を収益物件にすることで、不動産の評価額を若干下げることができます。

 

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まとめ

以上、都内の不動産相続について解説してきました。

東京都内では15%の人が相続税の課税対象となっており、地価の上昇に伴ってその割合は上昇傾向となっています。
都内の不動産相続の問題点としては、「不動産の割合が高く分割しにくい」や「納税が困難になりやすい」といった点が挙げられます。 都内の不動産の相続対策としては、「小規模宅地等の特例を活用する」や「遺言書を残す」、「現金を早めに生前贈与しておく」などが挙げられます。

都内で不動産をお持ちの方は、参考にしていただけると幸いです。



不動産鑑定士

竹内 英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら

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