- 警戒区域には「土砂災害警戒区域」と「土砂災害特別警戒区域」がある
- 土砂災害警戒区域に指定されると警戒避難体制が整備される
- インターネット上で土砂災害警戒区域を確認できる
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家を建てる際や引越しをする際には、新居の周辺環境や安全性が気になるものです。周囲にどんな施設があり、どんな環境か下調べするうえで一緒にチェックしておきたいのが、新居の土地が「土砂災害警戒区域」に指定されていないかどうか。また、現在は対象の区域ではなかったとしても、今後新たに指定される可能性もあります。土砂災害警戒区域について知っておくことは、生活するうえでとても重要なことと言えるでしょう。
今回は土砂災害警戒区域の基礎知識や、実際に指定されたらどんなことが起きるのかなど、解説していきます。
土砂災害警戒区域とはどのような区域を指しているのか
土砂災害警戒区域とはその名の通り、大雨などが発生した際に土砂災害の恐れがある地域のことを指しています。国内の土砂災害の状況なども含めて、まずは土砂災害警戒区域の基礎知識を見ていきましょう。
国内の土砂災害の平均発生件数は年間1,105件(1982年~2019年)
日本国内の土砂災害は、平均して年間1,105件発生している計算になります。年によってはこの数値と比べ大幅に発生件数が多かったケースもあり、平成30年は3,459件もの土砂災害発生件数がありました。全国的に発生する可能性がある災害でもあるため、土砂災害警戒区域についてはもちろん、土砂災害の危険性についても改めて理解を深めておきたいところです。
土砂災害に関する警戒区域の種類
土砂災害を警戒すべき区域として「土砂災害警戒区域」と「土砂災害特別警戒区域」があります。それぞれ土砂災害防止法に基づいて指定された区域となります。それらとは別に「土砂災害危険箇所」というものもあるため、ここで各区域・箇所について理解を深めつつ、違いについても見ていきましょう。
土砂災害警戒区域
土砂災害発生時、住民の身体・生命に危害が及ぶ可能性があると指定された区域のことを指し、通称イエローゾーンとも呼びます。また、土砂災害の被害防止・軽減のために警戒避難体制の整備が実施される区域でもあります。
土砂災害特別警戒区域
土砂災害発生時、建物が損壊して住民の身体・生命に甚大な危害が及ぶ可能性があるとされた区域のことで、通称レッドゾーンといいます。土砂災害特別警戒区域では、特定開発行為の制限、建築物の構造規制などが行われます。
土砂災害危険箇所
国土交通省の要請を受けて各都道府県が調査して判明した、地すべりや土石流などの危険性がある箇所のことです。土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域と違って、法的な規制はないのが特徴です。
土砂災害警戒区域として指定されるとどうなるのか
土砂災害警戒区域に指定された場合、どのようなことが起こるのでしょうか。土砂災害の危険性があることから、土地そのものにも影響が及ぶ可能性があります。
警戒避難体制が整備される
土砂災害警戒区域に指定された場合、人命を優先させるために警戒避難体制を整備する必要があります。例えば、学校や医療施設など、要配慮者利用施設では避難確保計画の作成、避難訓練の実施などが義務付けられます。
土地や建物を売買・貸出する際には重要事項として説明が義務付けられる
重要事項説明の際に、その土地や建物が土砂災害警戒区域内にある場合は、その旨説明しなくてはなりません。
土砂災害警戒区域に指定されると土地の価値が下がる可能性も
土砂災害警戒区域に指定された場合、開発行為などは制限されないものの、災害リスクの観点から土地・建物の資産価値が下がる可能性があります。さらに、土砂災害特別警戒区域に指定された場合は、建築物の構造規制が行われるため、建築にあたっての費用が膨らむことから、土地に買い手がつかない可能性も出てきます。
土砂災害特別警戒区域に指定された場合の制限については、次の項目で詳しく解説していきます。
さらに土砂災害特別警戒区域に指定されたら……
レッドゾーンと呼ばれる「土砂災害特別警戒区域」。“警戒区域”では警戒避難体制が整備されますが、“特別警戒区域”に指定された場合はそれに加えて様々な制限・規制が設けられます。
特定開発行為は都道府県知事の許可が必要になる
社会福祉施設や医療施設、学校など、災害時要援護者関連施設を建てるために行う開発行為には都道府県知事の許可が必要になります。許可を得るためには、土砂災害の対策工事が、十分に安全が確保されるものであると判断されなくてはなりません。
土砂災害の衝撃に耐えられる建物の構造規制
土砂災害特別警戒区域に住宅を建てる際には、土砂災害の衝撃を受けても安全を保てるかの事前確認が必要となるなど、その構造が規制されます。構造規制としては、基礎や主要な部分を鉄筋コンクリート造にすることなどが定められています。
危険であると判断された住宅は移転などの勧告が行われる
土砂災害特別警戒区域に建てられている住宅が危険な状態であると判断された場合は、都道府県知事から移転などの勧告を受けることがあります。勧告を受けた場合は、移転のための融資や住宅移転事業からの補助を優先的に受けられます。
インターネット上で土砂災害の警戒が必要か確認できる
土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定されている区域は、インターネット上でも確認できます。ただし自治体によっては、インターネット上で公表していないケースもあるため、その場合は役所などに問い合わせてみましょう。
地滑りや土石流……土砂災害時に起こることと注意点
一言で土砂災害といっても、さまざまな現象が起こり得ます。どのような危険性があるのか、そして日頃どのようなことに注意すべきなのか、ここで解説していきます。
土砂災害の種類
土砂崩れの種類として「がけ崩れ」、「地すべり」、「土石流」などがあります。具体的に、それぞれどのような災害なのか見ていきましょう。
大雨の影響で崩れ落ちる「がけ崩れ」
大雨などの影響で地盤が緩んでしまい、がけが崩れ落ちる「がけ崩れ」は、前兆から発生までの時間が短いことから、早めに行動して避難することが求められます。がけ崩れの前兆としては、がけから小石が落ちてきたり水が湧き出たりなどが考えられるでしょう。
【がけ崩れの前兆】
・がけのひび割れ ・小石が落ちてくる ・がけに水が湧き出す ・地鳴り など
地下水などの影響で起こる「地すべり」
土地の斜面が地下水などの影響で下方向に移動する「地すべり」は、移動量が多いため被害が拡大してしまう恐れがあります。人だけでなく住宅にも被害を及ぼす危険性がある自然現象です。地すべりの前兆は、地面がひび割れ、がけや斜面から水が溢れたりするのが特徴です。
【地すべりの前兆】
・がけや斜面に水が噴き出る ・地鳴りや山鳴り ・亀裂の発生 ・木の傾き など
集中的な雨によって発生する「土石流」
土砂が集中的な雨によって下流に流されることで発生するのが「土石流」です。土石流は時速40kmにも達することがあるため、人命や住宅に甚大な被害を与える恐れがあります。土石流の前兆としては、川の水位が下がったり山鳴りがしたりすることがあるので、少しでも様子がおかしいと感じたときは避難しましょう。
【土石流の前兆】
・山鳴り ・急な川の濁り ・川に流木が混ざる ・腐った土のにおい など
雨が強いときは土砂災害警戒情報に注目する
土砂災害から身を守るひとつのポイントとして、雨が降ったときにはニュースをしっかり確認しましょう。ニュースなどで「土砂災害警戒情報」が出た際には、避難の準備を進める必要があります。土砂災害警戒情報は、自治体と気象庁が共同で発令する情報で、雨による危険度が高まることで発令されます。
警戒レベル3、4に達したときには速やかに避難する
警戒レベル3(高齢者等避難)や、警戒レベル4(避難指示)が出たときには、速やかに避難しましょう。自治体の避難指示などよりも、防災気象情報が先に発表されるケースが多いため、気象庁の「キキクル(危険度分布)」をよく確認しておくことも大切です。
土砂災害警戒区域は将来解除される可能性も
土砂災害警戒区域を指定するにあたって基礎調査が行われますが、これは5年ごとに見直しが行われると言われています。つまり、現在土砂災害警戒区域に指定されていたとしても、後からそうではなくなる可能性もあるということです。ただし、解除(または区域の変更)のためには、解除しても問題ないと判断できるような地形の変化などが条件になります。
土砂災害と土砂災害警戒区域についての理解を深めておこう
日本は土砂災害の多い国と言われています。山地や雨、雪が多いことから、年に1,000件以上土砂災害が発生するケースも少なくありません。そのため、土砂災害警戒区域は年々増加傾向にあります。現在住んでいる場所が土砂災害警戒区域に指定されていなかったとしても、将来的にそうなる可能性もあります。そのため、事前に土砂災害警戒区域や土砂災害について改めて知っておくことは重要なことだと言えます。
自然災害と生活は切っても切れない関係です。もしものことを考慮して、安全に過ごすためのアンテナを張っておきましょう。
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