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マンション売却の流れ10ステップとは?初心者さんにわかりやすく解説

更新日:2022.11.17

マンション売却の流れ10ステップとは?初心者さんにわかりやすく解説

初めてマンション売却をするとき、最初に知りたいのは「どんな流れで、何をすればよいの?」という点ではないでしょうか。全体像をつかんでおくと、スムーズに準備を進めることができ、余裕を持って売却を進められます。本記事では、初心者さんにもわかりやすく、マンション売却の流れを解説します。

  • マンション売却の流れは大きく10のステップに分けられる
  • それぞれのステップでやるべきことを把握しておこう
  • 最初に流れをつかんで余裕を持って準備を進めることが大切

もくじ

  1. 【全体像】マンション売却の流れ

  2. 【Step 1】自分たちの希望と現状を整理する

    1. 売却する目的を確認する

    2. いつまでに・どのくらいの価格で売却したいか?

    3. 住宅ローンの残債や手元の資金はどの程度あるか?

  3. 【Step 2】自分で相場を調べる

    1. 相場の調べ方

  4. 【Step 3】複数の不動産会社へ査定を依頼する

    1. 査定とは?

    2. 査定の流れ

  5. 【Step 4】不動産会社を選定して媒介契約を結ぶ

    1. 媒介契約とは?

    2. 媒介契約の3つの種類

    3. 理想は信頼できる1社と専属専任媒介契約を締結すること

    4. 媒介契約は3ヶ月ごとに更新

    5. 不動産会社に支払う成功報酬「仲介手数料」

  6. 【Step 5】マンションを売り出す

    1. 売り出し開始前に方針を決める

    2. 不動産会社が販売活動をスタートする

    3. みんなが不動産売却時に重視したことは?

  7. 【Step 6】内覧の対応をする

    1. 内覧とは?

    2. 内覧対応のポイント

  8. 【Step 7】購入希望者と条件交渉をする

    1. 条件交渉とは?

    2. 条件交渉の例

  9. 【Step 8】売買契約を締結する

    1. 売買契約とは?

    2. 売買契約でチェックするべきポイント

    3. 売買契約当日の流れ

    4. 仲介手数料の半額を売買契約の成立時に支払うのが一般的

  10. 【Step 9】決済・引き渡しをする

    1. 決済・引き渡しとは?

    2. 事前に準備するもの

    3. 仲介手数料の全額を支払う

  11. 【Step 10】確定申告して納税する

    1. マンション売却にかかる税金とは?

    2. 確定申告と納税の流れ

  12. まとめ



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【全体像】マンション売却の流れ

まずはマンション売却の流れを、ざっくりとつかみましょう。大きく10のステップに分けることができます。

マンション売却の流れ

それぞれの詳細は、続けてご紹介します。

【Step 1】自分たちの希望と現状を整理する

マンション売却の最初のステップは「自分たちの希望と現状を整理すること」です。

売却する目的を確認する

まず、マンションをどうして売却するのか、その目的を明確にしましょう。家族構成やライフスタイルの変化など、マンションを売却する背景には、さまざまな事情があるはずです。

  • ▼ 売却の目的の例

  • 子どもの進学にともなって、都心に住み替えたい
  • 家族が増えたので、広い一戸建てに住み替えたい
  • 子どもが独立したので、田舎に引越したい
  • 親の介護に備えて、バリアフリー住宅に住み替えたい

何のためのマンション売却なのか、あらためて具体的にしておくと、希望や条件を整理するときに役立ちます。

いつまでに・どのくらいの価格で売却したいか?

売却する目的に照らし合わせながら、「いつまでに、どのくらいの価格で売却したいか?」 について、具体的にイメージしましょう。

  • ▼ 売却のイメージ

  • 希望の売却価格
  • 売却時期
  • 新居は購入するのか、借りるのか
  • その他の希望

頭の中で考えるだけでなく、明確な言葉や数字にして、紙に書き出しておくのがポイントです。書き出すことで、より客観的に考えを整理しやすくなります。要望や気がかりな点があれば、ささいなことでも書き出しておきましょう。

住宅ローンの残債や手元の資金はどの程度あるか?

お金の状態がどうなっているかについても、整理しておきます。

  • ▼ お金の状態

  • 売却したいマンションの住宅ローンの残債
  • マンション売却に費やせる手元の資金

とくに、買い替えの場合は、お金のやり繰りを慎重にする必要があります。
計算違いが起きないように、銀行から取り寄せた書類など、正確な情報が掲載された資料をもとに、現状把握をしましょう。

【Step 2】自分で相場を調べる

マンション売却の希望や条件をイメージできたら、自分で相場を調べてみましょう。自分で相場を調べると、売却金額の目安がわかるのと同時に、次のステップで行う“不動産会社の査定の妥当性”を判断するのに、役立ちます。

相場の調べ方

相場を調べる方法は複数ありますが、例を挙げると以下があります。

できるだけ多くの情報源に当たってみましょう。ひとつの情報源だけでは、情報が偏ることがあるためです。
たとえば、以下は「レインズマーケットインフォメーション」の画面です。

レインズマーケットインフォメーション

出典:レインズマーケットインフォメーション

「マンション」の都道府県と地域を選択すると、実際の取引情報の事例が表示されます。

実際の取引情報

出典:レインズマーケットインフォメーション

あるいは、今ご覧いただいているサイト「クラモア」でも、マンションごとの売却相場をリサーチできます。

住まいトレンド

出典:クラモア 「住まいトレンド」

地域・もしくは駅から相場を知りたいマンションを探すことができ、実際の事例をもとに、売却価格や賃貸で貸した際のおおよその金額を把握することができます。 また、相場だけでなく、売出中・賃貸募集中の物件情報、マンション評価や口コミなどを確認することも可能です。
下記ボタンよりぜひ活用してみてください。



売買価格相場・賃料相場情報をお届け

 

【Step 3】複数の不動産会社へ査定を依頼する

ある程度、自分で相場をつかめたら、次は不動産会社に依頼して査定をしてもらいましょう。

査定とは?

査定とは、不動産会社に依頼して、売却見込み価格を算出してもらうことです。査定の依頼は3~5社の不動産会社に依頼し、複数の会社同士を比較検討することをおすすめします。比較することで、査定金額はもちろん、よい対応の会社や相性のよい営業担当者などを見極めやすくなるからです。

査定の流れ

査定には、以下の2つがあります。

  • 簡易査定:
    現地調査はせずに、簡易的に価格を算出する査定。机上査定ともいう。
  • 訪問査定:
    担当者が現地を訪れ、詳細の調査をしたうえで価格を算出する本格的な査定。

流れとしては、まず簡易査定を3~5社の不動産会社に依頼します。インターネットで簡単にできる「一括査定サービス」を利用してもよいでしょう。

簡易査定でやり取りをした不動産会社から、対応のよかった2〜3社に訪問査定を依頼します。訪問査定では、現地に担当者が訪れ、以下の調査を行います。

  • ▼ マンション 専有部分

  • 眺望景観:
    眺望景観、前面道路の規模
  • 室内状況:
    きれいさ、日当たり、湿気、リフォームの有無
  • 設備状況:
    設備の有無、破損修繕の状況
  • 近隣関係:
    上下左右の部屋との関係
  • 騒音臭気:
    騒音、におい、揺れなど
  • ▼ マンション 共用部分

  • 管理状況:
    整理整頓、管理会社名と連絡先、管理人など
  • 共用施設:
    共用施設の有無、使用状況など
  • 駐車・駐輪場:
    有無、利用形態(機械式、自走式)など

出典:全日本不動産協会「家を売る。」

売主さんにとって訪問査定は、不動産会社の担当者と直接対面できる貴重な機会です。質問があればまとめておき、積極的に話をしてみましょう。担当者の知識レベルや対応の様子など、できるだけ多く情報を収集して、どの不動産会社に売却を依頼するか決める判断材料にしましょう。

【Step 4】不動産会社を選定して媒介契約を結ぶ

査定を通じて、売却を依頼したい不動産会社が見つかったら、媒介契約を締結します。

媒介契約とは?

マンションの売却を不動産会社に依頼するにあたって、売主さんと不動産会社との間で締結するのが「媒介契約」です。媒介とは「双方の間に立って、取り持つこと」という意味で、身近な言葉でいえば「仲介」のことです。 「不動産会社に、マンションの買主を見つけ、買主との間で売買契約を締結する仲介を、正式に依頼する」というのが、媒介契約となります。

媒介契約の3つの種類

媒介契約には、3つの種類があります。
(1)専属専任媒介契約、(2)専任媒介契約、(3)一般媒介契約です。

媒介契約の3つの種類

それぞれの違いを表にまとめると、以下のとおりとなります。

右にスクロールできます→

媒介契約の種類 同時契約できる
不動産会社の数
レインズ*1の
登録義務
報告義務*2 自己発見取引*3
(1)専属専任媒介契約 1社のみ あり 1週間に1回以上 不可
(2)専任媒介契約 1社のみ あり 2週間に1回以上
(3)一般媒介契約 2社以上 なし 義務なし
媒介契約の種類 同時契約できる
不動産会社の数
レインズ*1の
登録義務
報告義務*2 自己発見取引*3
(1)専属専任媒介契約 1社のみ あり 1週間に1回以上 不可
(2)専任媒介契約 1社のみ あり 2週間に1回以上
(3)一般媒介契約 2社以上 なし 義務なし

参考: 全日本不動産協会

*1:「レインズ」は、不動産情報が掲載されているネットワークシステムの通称です。レインズに登録すると、全国の会員不動産会社に情報が提供されるため、買主を早く見つけやすくなります。
*2:「報告義務」は、不動産会社が、販売状況を売主さんへ報告する義務のことです。
*3:「自己発見取引」は、自分で買主を見つけた場合に、不動産会社を通さずに直接取引してよいか、を表しています(不可の場合は、自分で見つけた買主の場合でも、依頼した不動産会社を介して売買契約をする必要があります)

理想は信頼できる1社と専属専任媒介契約を締結すること

どの媒介契約がよいのか、迷ってしまうところかもしれません。 2社以上の不動産会社に一気に依頼できる「(3)一般媒介契約」がよさそうに見えるかもしれませんが、じつは、そうとはいえません。

理想は、「この1社に託したい」という不動産会社を見つけて、専属専任媒介契約を締結することです。
売却に対する不動産会社の責任感は、
(1)専属専任媒介契約> (2)専任媒介契約>(3)一般媒介契約
の順に強くなるからです。

不動産会社の営業担当者が、優先して積極的に販売活動を行うのは、専属専任・専任媒介契約の案件となります。 「(1)専属専任媒介契約」を締結したいと思える、信頼できる1社を見つける前提で、不動産会社探しをしましょう。 「(3)一般媒介契約」は、最適な会社が見つけられなかった場合の選択肢、という考え方です。

媒介契約は3ヶ月ごとに更新

(1)専属専任媒介契約と(2)専任媒介契約は、法律で「契約期間が3ヶ月以内」と決まっています。 3ヶ月以上継続する場合には、契約を更新していく形です。 「一度、媒介契約を締結すると、もう解約できない」ということはありませんので、その点は知っておきましょう。3ヶ月のリミット付きです。

(3)一般媒介契約 の契約期間は、法律による定めはありませんが、慣例的に3ヶ月更新としている不動産会社がほとんどです。詳しくは、媒介契約を締結する際に、媒介契約書の有効期間の条項を確認しておきましょう。

▼ 媒介契約書の例

媒介契約書の例

出典: 国土交通省

不動産会社に支払う成功報酬「仲介手数料」

不動産会社と媒介契約を締結して仲介を依頼し、マンションの売却が完了すると、その対価として不動産会社にお金を支払う必要があり、そのお金を「仲介手数料」といいます。 仲介手数料は、マンションの売却が完了したときに支払う成功報酬です。逆にいえば、「媒介契約を締結したけれど、売れなかった」という場合、不動産会社にお金を支払う必要はありません。

仲介手数料の金額は、以下のとおり法律で上限が定められています。

売買代金200万円以下 売買代金(税抜)の5%
売買代金200万円超400万円以下 売買代金(税抜)の4%+2万円
売買代金400万円超 売買代金(税抜)の3%+6万円

※上記に消費税が加算されます。
出典:国土交通省 「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額

仲介手数料の金額や支払い時期は、不動産会社と売主さんが合意した内容を、媒介契約書に記載します。
詳しくは「マンション売却に必要な手数料はいくら?基本からわかりやすく解説」をご覧ください。

▼ 媒介契約書の例

媒介契約書の例

出典: 国土交通省

【Step 5】マンションを売り出す

不動産会社と媒介契約を締結したら、いよいよマンションの売り出しです。

売り出し開始前に方針を決める

売り出す前には、不動産会社の営業担当者との間で打ち合わせを行い、どういう方針でマンションを販売していくか決めます。具体的な販売プランを考えるのは、営業担当者のタスクとなります。売主さんは、営業担当者へしっかり希望を伝えることが重要です。

営業担当者との打ち合わせ前に、以下を整理しておくとよいでしょう。

  • 希望する売却価格は?
  • 売却価格を踏まえた売り出し価格は?
  • 希望する売却時期は?(例:いつまでに売りたい)
  • 希望する引き渡し時期は?(例:いつ頃に引越しとなるようにしたい)
  • 販売活動で優先させてほしいこと(例:早く売りたい/高く売りたい)
  • 販売活動でしてほしいこと、避けてほしいこと(例:近隣へのチラシ投函やインターネット広告を希望する/しないなど)
  • その他 気になること、要望

売り出し前にかならず決めなければならない重要事項は「売り出し価格」です
売り出し価格とは、不動産広告などに記載する価格のことで、希望する売却価格よりも少し高めに設定するのが一般的です。 少し高めに設定しておくと、購入希望者から値下げ交渉があったときに、値下げする余裕が生まれるためです。

売り出し価格をどうするかは、販売の方針次第で、さまざまなケースがあります。 たとえば「できるだけ早く売ることを優先したい」という場合、あえて相場より少し安めの価格設定で売り出す、などです。営業担当者とよく話し合って、納得できる価格で売り出すことが大切です。

不動産会社が販売活動をスタートする

売り出しの方針が決まったら、不動産会社がマンションの販売活動をスタートします。販売活動中は、専属専任媒介契約・専任媒介契約であれば、定期的に担当者から状況の報告が入ります。報告内容を確認し、順調に販売活動が進んでいるのか、チェックしましょう。

軌道修正がしたほうがよいポイントがあれば、営業担当者と相談して改善しながら、スムーズな売却を目指していきます。

みんなが不動産売却時に重視したことは?

クラモアが独自に調査した、不動産売却経験者へのアンケート結果によると、不動産売却時に重視したこととして多かったのは、「売却価格の最大化」(36.9%)、「信頼できる不動産会社を探す」(26.8%)、「迅速な売却手続き」(24.9%)でした。

参考:【不動産売却経験者にアンケート調査!】売却時に重要視したことは?

売却時に不動産会社選びで重視すること
売却時に不動産会社選びで重視すること

最も多かった回答は「売却価格の最大化」で、回答者全体の約4割を占めています。
大切な不動産を高く売却し利益を最大化するには、不動産の内装を見直すだけでなく、市場の需要を調査したり、節税対策を駆使したりするなど、様々な視点から熟考した上で慎重に売却を進める必要があります。
 

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【Step 6】内覧の対応をする

不動産会社が販売活動を進めるなかで、マンションに興味を持ってくれる人が現れると、「内覧」の申込みが入ります。

内覧とは?

内覧とは、購入を検討中の人が現地を訪れて、物件を見学することです。内覧の結果、マンションを魅力的だと思ってもらえれば、購入決定の可能性が高まります。流れとしては、不動産会社の担当者から「内覧の申込みが入りました」と連絡が入りますので、スケジュールを調整しましょう。

できるだけ先方の希望どおりの日程で、スムーズに内覧に来てもらえるように、マンションの売り出し中は、売主さんのスケジュールを空けておくようにします。内覧当日は、営業担当者が購入検討中の人を連れて訪れ、営業担当者が主導して共有スペースやマンションの室内を案内します。

内覧対応のポイント

内覧は、売主さんの対応次第で結果が変わるため、売り出し中のがんばりポイントといえます。内覧に来た方に、できる限り好印象を持ってもらえるよう、しっかり準備しましょう。 トイレ・お風呂・キッチン・ベランダ・すべての部屋はもちろん、クローゼットの中なども、すべて見せられるようにしておきます。
詳しくは「マンション売却の内覧で好印象をつくる10のコツと気を付けたいNG行動」も参考にしてみてください。

  • ▼ 内覧準備のチェックリスト

  • キレイに掃除する(すべての部屋、キッチン、トイレ、お風呂、ベランダ、クローゼットなど)
  • 照明のほこりや汚れを落とし、切れている電球は取り替える
  • 壁のほこりや汚れを落とす
  • 窓ガラスを磨く、網戸をキレイにする
  • 玄関を掃除し、スリッパを準備する
  • 嫌なニオイがしないように換気・消臭する
  • 修復できる床の傷や壁の穴は修復する
  • 不用品は処分してできるだけ物を減らす

【Step 7】購入希望者と条件交渉をする

内覧に来た人がマンションを気に入って、「購入したい」となると、購入希望者と条件交渉を行っていきます。

条件交渉とは?

条件交渉とは、マンションの購入を希望する人と売主さんとの間で、価格やその他の条件を調整することです。売主さんの希望どおりの条件で購入してくれる相手であれば、交渉は不要です。しかし、多くのケースでは、購入希望者から何らかの要求があります。

代表的なのが、値下げ交渉をされることです。「○○円まで下げてもらえませんか?」といった依頼があり、それに対して、どう対応するか決めていきます。
なお、実際のやり取りは、不動産会社が仲介します。購入希望者と売主さんが、直接話して交渉するのではなく、不動産会社を通して話をすることになります。

条件交渉の例

具体的に、どんな条件を調整するのかについては、以下をご覧ください。

  • ▼ 調整する条件の一例

  • 売買価格
  • 手付金の額
  • 引渡しの時期
  • 契約不適合責任の期限
  • 土地の実測を行うか否か
  • 土地の実測を行う場合は、実際の面積に応じた売買代金の精算を行うか否か
  • 建物や設備の補修を行うか否か
  • 古家がある場合は撤去するか否か
  • 公租公課(固定資産税や都市計画税)などの精算方法や金額
  • ※それぞれを調整するだけではなく、複数の条件を合わせて調整することもあります。

出典: 不動産ジャパン

マンション売却でかならず条件をすり合わせる必要あるのは、「売買価格」「手付金の額」「引き渡しの時期」の3つの要素です。 あらかじめ譲れないラインを明確にして、希望する条件で売却できるように、しっかり交渉していきましょう。

補足:手付金って何?

手付金とは、売買契約のときに、買主さんから受け取るお金のことです。手付金の種類は複数あるのですが、不動産取引ではおもに「解約手付」と呼ばれる、売買契約が解除された場合に備えた手付金のやり取りをします。

  • 【解約手付】

  • 買主は既に支払った手付金を放棄する(返還を求めない)こと
  • 売主は既に受けとった手付金の倍額を買主に返すことにより、売買契約を解除することができる手付をいいます。

出典: 不動産ジャパン

簡単にいえば、「解約手付の金額=契約を解除したときに相手に支払うペナルティ料」と考えてください。

たとえば「手付金100万円」の場合、売買契約の締結時に、売主さんは買主さんから100万円を受け取ります。 契約締結後に、買主さんが「やっぱり契約をやめたい」といって契約解除した場合、売主さんが手付金として受け取っていた100万円は、そのまま売主さんのものとなります。

逆に売主さんが契約解除した場合には、手付金として受け取っていた100万円に、自分のお金100万円を上乗せして、200万円を買主さんに支払う必要があります。

【Step 8】売買契約を締結する

売買契約を締結する

購入希望者との間で条件が調整できたら、売買契約の締結へと進みます。

売買契約とは?

売買契約とは、売主と買主との間で交わされる契約のことです。
マンション売却は大きな取引ですから、「売買契約書」として書面を残し、正式に契約を締結します。 一度契約を締結すれば、簡単には解除できません。
売買契約書は、売主さんが自分で準備する必要はありません。 購入希望者との間で合意した条件が記載された売買契約書を、不動産会社が作成してくれます。

売買契約でチェックするべきポイント

このステップで売主さんがする大切なことは、売買契約を締結する前に、売買契約書の草案(下書き)を受け取って、内容をよく確認することです。
とくに確認したい事項は、以下(売買契約内容のチェックリスト)のとおりです。

契約全体 □ 自分の希望条件は記載されているか
□ 自分にとって無理のある条件はないか
□ 不明確な条件はないか
□ 消費者契約に該当するか(該当する場合は消費者に不利な契約は無効)
売買物件の表示 □ 売却物件の表示に誤りはないか
売買代金、手付金等の額、支払日 □ 売買代金、手付金等の額に誤りはないか
□ 買主からの支払日はいつか
□ どのような性質の手付金か(解約、証約、違約)
□ 手付金等が高すぎたり安すぎたりしないか
土地の実測及び
土地代金の精算
□ 土地の実測は行うのか
□ 面積の増減に応じて売買代金の精算を行うのか、行う場合の単価は正しいか
所有権の移転と引き渡し □ 所有権の移転、引渡しの時期に問題はないか(確実に引き渡しができるか)
負担の消除 □ 売却物件を完全な所有権で引渡しができるか(抵当権や賃借権などは確実に整理できるか)
□ 賃借権など引き継ぐ権利がある場合は、その内容は明確か
危険負担 □ 契約締結後、引渡し前に物件が天災等により滅失、毀損した場合の取り扱いは明確か
手付解除 □ 手付解除は可能か、いつまで手付解除が可能か
□ 手付金が高すぎたり安すぎたりしないか
契約違反による解除 □ 違約金や損害賠償の予定額は適当か
契約不適合責任 □ 契約不適合責任の期間は適切か
付帯設備等の引き継ぎ □ 引き継ぐべき付帯設備等は明確か
公租公課等の精算 □ 何を精算するのか明確か
□ 精算方法と金額を把握したか
ローン特約 □ 買主に住宅ローンの利用予定があり、特約が付されている場合は、買主の信用力に照らして借り入れ内容(金額など)に無理はないか(無理な借り入れ内容の場合は、解除のリスクが高まる)
その他 □ その他特に定めておく事項はないか

出典: 不動産ジャパン「売買契約内容のチェックリスト

売買契約当日の流れ

売買契約の当日は、売主・買主・不動産会社がひとつの場所に集まって、契約の締結を進めます。場所は、不動産会社のオフィスで行われるのが一般的です。
当日の流れは、以下のとおりです。

  • ▼ 売買契約の当日の流れ

  • 顔合わせ
  • 不動産会社が買主へ重要事項説明を行う
  • 不動産会社・売主・買主で、売買契約書の読み合わせをする
  • 売主と買主が、売買契約書へ署名・捺印する
  • 売主は買主から手付金を受け取る

仲介手数料の半額を売買契約の成立時に支払うのが一般的

媒介契約を結んだ不動産会社への報酬として支払う仲介手数料は、売買契約を締結した日に半額を支払うのが一般的です。残りの半額は、次のステップで解説する決済・引き渡しのあとで支払います。

仲介手数料の半額を売買契約の成立時に支払うのが一般的

売主さんとしては、「売買契約の締結日までに、仲介手数料の半額のお金を用意する必要がある」という心づもりをしておきましょう。

先ほど、売買代金が400万円を超える場合の仲介手数料の上限は「代金の3%+6万円」とご紹介しました。売買代金2,000万円で売買契約を締結した場合の仲介手数料を計算してみましょう。

  • 売買代金:
    2,000万円
  • 仲介手数料(上限):
    2,000万円×3%+6万円
    =660,000円(税抜)
  • 消費税:
    660,000円×10%
    =66,000円
  • 税込の仲介手数料:
    726,000円
  • 売買契約の成立時に支払う半金の仲介手数料:363,000円(税込)】

上記のとおり、「363,000円を売買契約の締結時に準備する必要がある」とわかります。

【Step 9】決済・引き渡しをする

売買契約を締結したあと、売買取引の最後のステップとなるのが決済・引き渡しです。

決済・引き渡しとは?

「決済」とは“代金の受け渡しをして、売買取引を終了すること”という意味の言葉です。 マンションの売却では「決済=売主さんが、買主さんから売買代金を受け取ること」を指しています
売買代金の受領と引き換えに、売主さんは買主さんへ、マンションの所有権を移転します。 これを「引き渡し」と呼んでいます。

決済・引き渡しとは?

売主さんは、抵当権抹消や所有権移転登記を行いますが、実際の手続きは通常、司法書士に依頼して、司法書士が代行して行います。

参考: 不動産ジャパン

事前に準備するもの

決済・引き渡しは、当日までの準備が重要になります。売主さんが事前に準備する主要なものは、以下のとおりです。

  • ●登記関係書類等

  • 所有権移転登記の関係書類等(登記を書面申請する場合)
    登記識別情報または権利証、印鑑証明書(登記申請日時点で発行後3ヶ月以内のもの)、住民票、固定資産評価額証明書、司法書士への委任状など
  • 抵当権抹消登記に必要な関係書類等
    ※登記関係書類等は司法書士等の専門家に確認しましょう。また、登記をオンライン申請する場合は準備するものが異なります。
  • 実印(登記関係書類に押印する)
  • 登記費用
  • 実測図や境界確認書(必要な場合のみ)
  • 残代金や各種精算金等の領収書(口座振込の場合は振込控えで代替する場合もある)
  • 建築関係書類、物件の鍵等の買主へ引き継ぐべきもの一式
  • 仲介手数料(媒介契約書の支払条件に基づいて準備する。不動産会社からは領収書を受け取る)

出典: 不動産ジャパン

引き渡しの当日、登記申請や抵当権抹消に必要な書類に不備があれば、売買契約書で約束した期日に引き渡しができない事態になってしまいます。あらかじめ、不動産会社の担当者や司法書士に確認しながら、抜け漏れのないようにしましょう。

仲介手数料の全額を支払う

不動産会社へ支払う仲介手数料は、決済・引き渡しの日に全額を支払います。不動産会社からは領収書を受け取りましょう。以上で、不動産会社との媒介契約および買主さんとの売買契約の2つの契約が、完了となります。

【Step 10】確定申告して納税する

不動産会社や買主さんとのやり取りが完了したあと、売主さんには最後のステップである「納税」が残っています。

マンション売却にかかる税金とは?

マンションを売却して利益が出たときには、その利益(譲渡所得金額)に対して、所得税と住民税が課税されます。

マンション売却にかかる税金とは?

出典:不動産ジャパン

譲渡所得金額に対して課税される税率は、そのマンションの所有期間が“長期か・短期か”によって変わります。

  • 長期(5年超):税率 20.315 %
  • 短期(5年以下):税率 39.63 %

詳細は以下をご覧ください。

  • 長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えるもの。
  • 短期譲渡所得:譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下のもの。

出典: 不動産ジャパン

  • 長期譲渡所得の税額の計算
    税額=課税長期譲渡所得金額×税率20%(所得税15%、住民税5%)
  • 短期譲渡所得の税額の計算
    税額=課税短期譲渡所得金額×税率39%(所得税30%、住民税9%)

    ※2013年から2037年までの税額については、算出された所得税を課税標準として復興特別所得税2.1%分が加算されます。

出典: 不動産ジャパン
※補足:復興特別所得税は、所得税分の金額に対して2.1%が加算されます。

ただし、マイホームの場合には特例や控除の制度があるので、実際には納税しないで済むこともあります。たとえば「マイホームを売ったときの特例」は、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。

▼ No.3302 マイホームを売ったときの特例
マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。

出典: 国税庁

特例は、条件によって適用できるもの・できないものがあります。税務署や税理士に相談して、詳細な検討をすることが大切です。

確定申告と納税の流れ

注意点として、控除によって納税の必要がない場合でも、控除を利用する申請のために確定申告が必要です。基本的には、「マンションを売却したら確定申告をする」と考えておきましょう。確定申告を行うタイミングは、マンションを売却した年の翌年の2月16日〜3月15日です。

▼ 参考:確定申告と所得税納付
所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することになっています。

出典: 国税庁

所得税の納付も確定申告の期限と同じで、3月15日までに納付します。各種控除を適用しても納税の必要が生じた場合には、3月15日までに所得税分の資金を準備しておきましょう。

確定申告と納税の流れ

所得税のほかに住民税も課税されますが、住民税は例年どおりの納付方法で納付する金額に、マンション売却の譲渡所得分も加算される形になります。

▼ 参考:住民税の納付方法
納付方法は、「特別徴収」と「普通徴収」があります。給与所得者については、6月から翌年5月までの毎月の給料から徴収されます(特別徴収)。その他の方については、区市町村から送付される納税通知書で、年4回に分けて納めます(普通徴収)。

出典:東京都主税局 「特別徴収Q&A

以上で、マンション売却の流れは完了となります。

12. まとめ

本記事では「マンション売却の流れ」をテーマに解説しました。

初めてのマンション売却なら、不安に感じることもあるかもしれません。だからこそ流れを事前に把握しておくことで、先が見透しやすくなり、スムーズに売却を進められるはずです。さっそく、最初のステップの希望と現状の整理から、取り組んでみてください。



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