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【2024年改正】使いやすくなった相続空き家の3,000万円特別控除とは?

更新日:2024.04.24

【2024年改正】使いやすくなった相続空き家の3,000万円特別控除とは?

相続した空き家を売却する際、要件を満たせば適用できる「相続空き家の3,000万円特別控除」が2024年に改正され、とても使いやすくなりました。2024年以降の売却では、買い主が空き家を取り壊すケースでも特例の適用が認められるため、空き家の取り壊し費用を捻出できず売却を躊躇していた人も、売却がしやすくなったといえます。この記事では、2024年以降の「相続空き家の3,000万円特別控除」について解説します。

  • 2024年1月1日以降は、買い主が耐震改修や取り壊しを行っても利用できる
  • 相続人が3人以上になると、特別控除額が2,000万円に減額される
  • 「買取」を行う不動産会社への売却がしやすくなった

もくじ

  1. 「相続空き家の3,000万円特別控除」とは

  2. 2024年以降の改正内容

  3. 相続空き家の3,000万円特別控除の適用要件

    1. 売却の期限

    2. 対象となる空き家

    3. 譲渡の要件

  4. まとめ



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「相続空き家の3,000万円特別控除」とは

「相続空き家の3,000万円特別控除」とは

相続空き家の3,000万円特別控除とは、一定の要件を満たす空き家を売却した場合、譲渡所得から3,000万円を控除できるという特例のことです。
譲渡所得とは、個人が不動産を売却したときに得られる売却益のことを指します。
3,000万円特別控除を適用したときの譲渡所得の計算式は、以下の通りです。

譲渡所得
=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-3,000万円

譲渡価額は、主に“売却価格”のことです。
取得費は、土地は購入額、建物は購入額から減価償却費を控除した価額になります。

減価償却費とは、時間の経過によって建物価値が下がるという会計の考え方に基づき、建物価格を減額するために生じる計算上の費用のことです。
譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費などの売却に直接要した費用になります。

譲渡所得がプラスになれば、所得税および住民税、復興特別所得税※の税金が生じます。
一方で、譲渡所得がゼロ円(マイナスとなったときもゼロ円)となれば、税金は生じません。
3,000万円特別控除を適用したことで譲渡所得がゼロ円となれば、税金は生じないことになります。

※復興特別所得税は2037年12月31日まで徴収される特別税です。(2024年4月時点)

2024年以降の改正内容

2024年以降の改正内容

相続空き家の3,000万円特別控除は、2024年1月1日以降の売却から以下のような取り扱いになりました。

  • 【2024年以降の改正内容】

  • 売買契約などに基づき、売却後、買い主が譲渡の日の属する年の翌年の2月15日までの間に、耐震改修または取り壊しを行った場合でも適用対象となる。
  • 相続人の数が3人以上である場合は、特別控除額を2,000万円までとする。

出典:国税庁 「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

今回改正された最も大きな変更点は、売却後に買い主が耐震改修や取り壊しを行ったとしても特例が適用できるようになったという点です。

2023年末までの売却では、耐震改修や取り壊しは売り主が行う必要がありました。しかし、2024年以降は買い主が耐震改修や取り壊しを行う場合でも適用対象となったことから、売却の選択肢が広がったといえます。

たとえば、買い主が買取を行う不動産会社であれば、売却後に不動産会社が取り壊しを行うことも多いです。
「買取」とは、転売を目的とした不動産会社に下取り価格で売却する方法のことを指します。 不動産会社を通じて買主を探す「売却」と比べて売却価格が安くなるデメリットはありますが、早く売却できる点がメリットです。 空き家の買取を積極的に行っている不動産会社は多いため、買取を選択すれば3,000万円特別控除はかなり利用しやすくなったといえます。

2つ目の改正点は、相続人の数が3人以上である場合は特別控除額が2,000万円までに減額されたという点です。 2,000万円までに減額されたことは、2023年末までと比較すると厳しくなった改正といえます。

相続空き家の3,000万円特別控除の適用要件

相続空き家の3,000万円特別控除の適用要件

この章では、相続空き家の3,000万円特別控除の適用要件について解説します。

売却の期限

相続空き家の3,000万円特別控除を利用するには、売却の期限があります。
売却の期限は、相続開始日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までです。

相続空き家の3,000万円特別控除は、売却期限を2027年12月31日とした特例です。
相続の発生と特例を適用できる売却の期限については、下表の通りです。

相続の発生 特例を適用できる売却の期限
2021年1月2日
から
2022年1月1日
2024年12月31日
2022年1月2日
から
2023年1月1日
2025年12月31日
2023年1月2日
から
2024年1月1日
2026年12月31日
2024年1月2日
から
2025年1月1日
2027年12月31日
2025年1月2日
から
2026年1月1日
2027年12月31日
2026年1月2日
から
2027年1月1日
2027年12月31日

出典:国税庁 「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

対象となる空き家

相続空き家の3,000万円特別控除の対象となる家屋の要件は、下記の通りです。 

  • 区分所有建築物(マンションなど)以外の家屋であること
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に
    建築された家屋であること
  • 相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと
  • 相続の時から譲渡の時まで事業の用、
    貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと
  • 相続開始の直前において被相続人の
    居住の用に供されていた家屋であること※

※:要件5において、以下の要件を満たす場合は被相続人(死亡した人)が相続開始直前においてその家屋に居住していなかったとしても、適用が可能です。

  • 【相続開始直前に被相続人の居住の用に
    供されていなかった家屋の例外規定】

  • 被相続人が介護保険法に規定する要介護認定などを受け、相続開始の直前まで老人ホームなどに入所していたこと
  • 被相続人が老人ホームなどに入所したときから相続の開始直前まで、その家屋について被相続人による一定の仕様がなされ、かつ、事業の用・貸付の用または被相続人以外の者の居住の用に供されていないこと

対象となる空き家は、マンションは対象外であり、戸建てのみとなります。
また、対象となる戸建ては、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋であることが必要です。

譲渡の要件

相続空き家の3,000万円特別控除を利用するには、譲渡(売却)の要件もあります。
譲渡の要件は、以下の通りです。

  • 【譲渡の要件】

  • 譲渡価額が1億円以下であること
  • 家屋を取り壊さずに売る場合、売却時において、その家屋が現行の耐震基準を満たしていること

譲渡の要件で重要なポイントとなるのが、家屋を取り壊さずに売る場合は現行の耐震基準を満たしていなければならないという点です。

現行の耐震基準を満たした建物とは、原則として1981年6月1日以降に建築確認(着工前に行う図面審査の手続き)を通過した建物が該当します。
あくまでも家屋を「取り壊さずに売る場合」ですので、「取り壊して売る場合」には現行の耐震基準を満たしていなくても構いません。

なお先述した通り、相続空き家の3,000万円特別控除の対象となる空き家は、1981年5月31日以前に建築された家屋(戸建て)です。 現行の耐震基準は、基本的には1981年6月1日以降に建築された建物が該当するため、対象となる戸建てのほとんどは現行の耐震基準を満たしていません。 そのため、現行の耐震基準を満たしていない戸建てで相続空き家の3,000万円特別控除を適用させるには、耐震改修もしくは取り壊しをしなければならないということになります。

2023年末までは、耐震改修もしくは取り壊しは売り主が行わなければなりませんでした。
しかしながら、2024年1月1日以降は、買い主が耐震改修もしくは取り壊しを行っても適用できるようになったため、特例を利用できる可能性は大きく広がったといえます。
要件の詳細は、国税庁のホームページをご確認ください。

まとめ

以上、相続空き家の3,000万円特別控除について解説してきました。
相続空き家の3,000万円特別控除は、2024年1月1日以降の売却から買い主が耐震改修や取り壊すケースでも利用できるようになりました。

2021年1月2日から2022年1月1日に発生した相続且つ、特例の要件を満たす空き家であれば、2024年12月31日までに売却することで、相続空き家の3,000万円特別控除を適用できます。 これから空き家の売却を検討されている方は、下記よりお気軽にご相談ください。
 



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竹内 英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら

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