更新日:2024.04.11
【2024年】今年発表された地価公示は?5つの上昇理由と今後の見通しを解説
2024年1月1日時点の地価公示は、全国平均で全用途および住宅地、商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率も拡大しました。地価上昇は全国に波及しており、地価は以前にも増して上昇基調を強めている状況です。2024年の地価公示は、再開発を伴わない地域でも大きく上昇しており、近年の地価上昇とは異なる傾向が見え始めています。2024年の地価は、なぜ広範囲に大きく上昇したのでしょうか。この記事では「2024年の地価公示」について解説します。
- 全国の地価は全用途平均で3年連続上昇している
- 再開発を伴わない地域でも地価が大きく上昇している
- 複数の理由で上昇していることから、今後も地価上昇が続く見込みは高い
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地価公示とは
地価公示とは、毎年国が行う1月1日時点の土地の評価額のことです。
一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格の参考にする目的で時価に近い土地価格が評価されています。
地価公示は、相続税路線価や固定資産税路線価にも反映され、相続税や贈与税、固定資産税、登録免許税、不動産取得税などのさまざまな税金にも影響を与える価格です。
地価公示では、全国で約26,000 の標準地と呼ばれる地価の定点観測ポイントを選定され、毎年、標準地の土地単価が公表されています。
2024年の地価公示の動向
2024年の地価公示は、全用途平均および住宅地、商業地において、いずれも全国平均で3年連続上昇しており、上昇率も拡大しました。
景気が緩やかに回復している中、全国の地価は三大都市圏および地方圏ともに上昇が継続し、地価は上昇基調を強めている状況です。
画像出典:国土交通省 「地価変動率の推移」
とくに地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では、地価上昇が強く発生しており、全用途平均および住宅地、商業地、工業地のいずれも11年連続で上昇しています。
2024年の地価公示が上昇した5つの理由
近年の地価公示では、“再開発を積極的に行っている地域の土地”が大きく上昇する現象が目立っていました。 しかしながら、2024年の地価公示では再開発が行われていない地域の土地でも大きく上昇しており、新たな上昇理由が出始めたといえます。
この章では、2024年の地価公示の中で特徴的な、地価上昇の5つの理由について解説します。
①大手半導体メーカーの工場の進出
2024年の地価公示では、大手半導体メーカーの工場が建てられる地域の地価が、広範囲に大きく上昇しました。 具体的には、JASM(TSMC 子会社)の工場が建設される熊本県菊陽町の周辺地域と、ラピダスの工場が建てられる北海道千歳市の地価が大きく上昇しています。
JASMが進出した熊本県菊陽町周辺では、多くの関連企業などが進出しただけでなく、周辺の幹線道路沿線を中心に事業所や共同住宅、ホテルなどの多岐にわたる旺盛な需要が生じています。 その結果、菊陽町だけでなく、合志市や大津町の土地も含めて広範囲に地価が上昇している状況です。
同様の現象は、ラピダスが展開される北海道千歳市でも生じており、千歳駅周辺ではラピダスの進出決定以降、工場建設作業員や進出予定の関連企業の共同住宅、ホテル、事務所用地の需要が旺盛です。
その結果、全国における全用途での上昇率ランキングで1位が「熊本大津5-1」(熊本県大津町)で33.2%、2位が「菊陽5-1」(熊本県菊陽町)で30.8%、3位が「千歳5-4」(北海道千歳市)で30.3%となっており、TOP3はすべて大手半導体メーカーの工場が建設される地域となっています。
②リゾート地における別荘需要の増加
外国人にも人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムなどの需要が増加し、高い上昇が見られた地域も存在します。
とくに地価が大きく上昇した地域は、北海道富良野市と長野県白馬村の2つです。
北海道富良野市は、通年で観光やリゾートを堪能できるエリアとして外国人に人気があり、別荘やコンドミニアム用地などの需要が高く、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和以降、需要が一層増大しています。 住宅地の標準地である「富良野-201」の上昇率は27.9%であり、「富良野-201」は全国の住宅地の中で上昇率が1位の地点となっています。
長野県白馬村は、国内富裕層や外国人による別荘地の需要が旺盛であり、供給が限定的であることも手伝って、地価が大きく上昇している状況です。 商業地の標準地である「白馬5-1」の上昇率は30.2%であり、「白馬5-1」は全国の全用途および商業地の中で上昇率が4位の地点です。
リゾート地は、大手半導体メーカーが進出した地域に匹敵する水準で地価を高く上昇させており、2024年の地価公示の大きな特徴となっています。
③国内外から集まる人の流れ
国内外から集まる人の流れ(人流)の回復も、2024年の地価を上昇させた大きな要因です。
とくに人流回復で大きな影響を受けたのが、大阪市中央区の道頓堀地区になります。
道頓堀地区はインバウンドによる影響を強く受ける地域であり、新型コロナウイルス感染症による入国制限の緩和以降、大幅な人流回復を受けて店舗需要が回復し、地価も大きく上昇しています。
商業地の標準地である「大阪中央5-19」(大阪市中央区道頓堀地区)の地価上昇率は25.9%となり、大阪圏の商業地においては上昇率1位、全国の商業地においても8位です。
国内の人流回復も地価上昇の要因となっており、東京都足立区にある北千住駅前の小売店舗などが建ち並ぶ商業地では、大学生を含む人流増加に伴い店舗需要が高まったことで地価が上昇しています。 北千住駅近くにある「足立5-1」(東京都足立区)の上昇率は、12.6%です。
④商業地内におけるマンション用地の奪い合い
商業地に関しては、マンション需要と競合するエリアで地価が上昇する現象が生じています。
たとえば、東京23区の商業地を上昇率が高い順に並べると、1位が台東区9.1%、2位が荒川区8.3%、3位が中野区8.2%、4位が杉並区8.3%、5位が豊島区8.0%という状況です。
港区や千代田区といった商業要素が強い中心部よりも、商業要素が弱い外縁部の方が上昇しており、住宅地化が進む商業地がマンション需要によって大きく上がっています。
⑤周辺部に拡散する住宅需要
中心部の地価が高いことで、個人の住宅需要が周辺部に拡散していることも地価上昇を押し上げている理由です。
東京圏では、住宅地の地価上昇率ランキングTOP10をすべて千葉県の標準地が占めています。 需要が郊外に逃げており、都市部に近く割安感のある郊外で、地価が大きく伸びている状況です。
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今後の見通し
2024年の地価公示は、複数の理由で地価が大きく上昇していることから、今後も地価上昇は続くものと見込まれます。
たとえば、2024年の地価公示では、大手半導体メーカーの進出がなかったとしてもリゾート地の地価は大きく上昇していたはずです。 上記で解説したような理由を1~2個失ったとしても、地価は上昇すると予想できるのが今の日本の状況といえます。
よって、地価の上昇は当面の間、続くものと見込まれています。
まとめ
以上、2024年の地価公示について解説してきました。
2024年の地価公示は、全国平均で全用途および住宅地、商業地のいずれも3年連続で上昇しており、以前よりも上昇基調が強まる結果となりました。
2024年の地価公示が上昇した5つの理由としては、「大手半導体メーカーの工場の進出」や「リゾート地における別荘需要の増加」などが挙げられます。
さまざまな理由で地価が上昇したことから、地価上昇は今後も続く見込みは高いです。
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不動産鑑定士
竹内 英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら
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