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相続した不動産の固定資産税はどうなる?理解すべき制度と対策を解説

更新日:2024.06.17

相続した不動産の固定資産税はどうなる?理解すべき制度と対策を解説

相続した不動産を「空き家」としてそのまま放置しておくと、固定資産税が上がってしまう可能性があるため、固定資産税を節税する対策が必要です。 空き家は放置しておくとなぜ固定資産税が上がり、節税対策としてはどのようなものがあるのでしょうか。 この記事では「固定資産税」について解説します。

  • 管理不全空き家に指定されると、固定資産税が上がる可能性がある
  • 住宅を建てると、土地の固定資産税が安くなる軽減措置がある
  • 固定資産税の節税対策には、賃貸経営の土地活用などがある

もくじ

  1. 固定資産税とは

  2. 相続不動産(空き家)の対策が必要となる理由

  3. 住宅用地の軽減措置とは

  4. 土地の固定資産税の計算方法

    1. 非住宅用地のシミュレーション

    2. 住宅用地のシミュレーション

  5. 最適な対策はどれ?固定資産税を節税するための方法とは

    1. 売却する

    2. そのまま貸す

    3. 賃貸住宅の土地活用をする

  6. まとめ



固定資産税とは

固定資産税とは

固定資産税とは、1月1日時点において土地または建物を所有している人に対して課される市町村税(東京23区は都税)です。
固定資産税は、全国の不動産の所有者に対して毎年課される税金になります。

相続不動産(空き家)の対策が必要となる理由

相続不動産(空き家)の対策が必要となる理由

相続した不動産の中で親が住んでいて現在空き家となっている物件は、固定資産税が上がる恐れがあります。 固定資産税が上がる理由は、空き家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)という法律があるからです。

空き家対策特別措置法は、放置すると危険となる空き家を増やさないことを目的とした法律になります。 本法により、放置すれば倒壊など著しく保安上危険となる恐れがあるなどの一定の要件を満たす空き家は「管理不全空き家」として指定される可能性があります。

管理不全空き家に指定された空き家は、行政から勧告を受けると住宅用地の軽減措置が外されます。 住宅用地の軽減措置とは、次章で詳述しますが、住宅が建っている土地の固定資産税が安くなるという特例のことです。 固定資産税が上がらないようにするには、空き家が管理不全空き家に指定されないように適切な対策を取ることが必要です。



住宅用地の軽減措置とは

住宅用地の軽減措置とは

住宅用地の軽減措置とは、住宅が建っている土地の固定資産税が減額される特例のことです。 固定資産税は、課税標準額(税率を乗じて直接税金を計算できる価額)に税率の1.4%を乗じて求めます。

固定資産税=課税標準額×1.4%

固定資産税=課税標準額×1.4%

住宅が建っている土地は、面積に応じて課税標準額が以下のように計算されます。

区分 課税標準額
小規模
住宅用地
住宅用地で住宅1戸につき200平米までの部分 固定資産税評価額の
6分の1
一般住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平米を超え、家屋の床面積の10倍までの部分 固定資産税評価額の
3分の1
区分 課税標準額
小規模
住宅用地
住宅用地で住宅1戸につき
200平米までの部分
固定資産税
評価額の
6分の1
一般
住宅用地
住宅用地で住宅1戸につき
200平米を超え、家屋の
床面積の10倍までの部分
固定資産税
評価額の
3分の1

たとえば、200平米以内の土地に住宅が1戸建っている場合、その土地は全て小規模住宅用地です。 小規模住宅用地の課税標準額は、固定資産税評価額の6分の1であるため、固定資産税が安く計算されることになります。

土地の固定資産税の計算方法

土地の固定資産税の計算方法

この章では、土地の固定資産税の計算方法について解説します。
土地の固定資産税の計算方法は、「非住宅用地」と「住宅用地」の2パターンに分かれます
それぞれのシミュレーションを見ていきましょう。

非住宅用地のシミュレーション

非住宅用地とは、更地やコインパーキング、店舗の土地、オフィスの土地などのことで、住宅以外で利用されている土地を指します。

非住宅用地の課税標準額は、固定資産税評価額に負担調整と呼ばれる調整を行って求めます。 負担調整は負担水準に応じて調整方法が異なり、負担水準の求め方は以下の通りです。

負担水準=前年度課税標準額÷当該年度の新評価額×100%

負担水準
=前年度課税標準額÷当該年度の新評価額
×100%

課税標準額は、負担水準に応じて下表のように求められます。

負担水準 税負担の調整措置
70%超 当該年度の評価額の70%相当額を
課税標準として計算した額が税額となる
60%以上
70%以下
一律に前年度の税額が据え置かれる
60%未満 前年度課税標準額+固定資産税評価額×5%
負担水準 税負担の調整措置
70%超 当該年度の評価額の70%相当額を
課税標準として計算した額が税額となる
60%以上
70%以下
一律に前年度の税額が据え置かれる
60%未満 前年度課税標準額+固定資産税評価額×5%

一般的に、負担水準は70%超となることが多いです。 負担水準が70%超の場合は、固定資産税評価額に70%を乗じたものが課税標準額となります。
ここで、以下の条件で固定資産税を計算してみます。

  • (条件)
  • 土地の利用状況:更地
  • 土地面積:300平米
  • 固定資産税評価額:1,350万円
  • 負担水準:70%超(課税標準額は
    固定資産税評価額の70%となる)
  • (条件)
  • 土地の利用状況:更地
  • 土地面積:300平米
  • 固定資産税評価額:1,350万円
  • 負担水準:70%超(課税標準額は固定資産税評価額の70%となる)

(シミュレーション)
●固定資産税=課税標準額×1.4%
=固定資産税評価額×70%×1.4%
=1,350万円×70%×1.4%
≒13.2万円

(シミュレーション)
●固定資産税=課税標準額×1.4%
=固定資産税評価額×70%×1.4%
=1,350万円×70%×1.4%
≒13.2万円

住宅用地のシミュレーション

住宅用地とは、住宅の敷地として利用されている土地のことです。
以下の条件で、住宅用地のシミュレーションを行います。

  • (条件)
  • 土地の利用状況:戸建て
  • 土地面積:300平米
  • 固定資産税評価額:1,350万円
  • (条件)
  • 土地の利用状況:戸建て
  • 土地面積:300平米
  • 固定資産税評価額:1,350万円

条件では、300平米の土地に一戸建てが建っています。

住宅用地で住宅1戸につき200平米までの部分が小規模住宅用地でしたので、200平米が小規模住宅用地、残りの100平米が一般住宅用地という扱いになります。
小規模住宅用地と一般住宅用地では課税標準額が異なりますので、それぞれ分けて計算することがポイントです。

(シミュレーション)
●小規模住宅用地の課税標準額=固定資産税評価額×(200平米÷全体面積)×1/6
=1,350万円×(200平米÷300平米)×1/6
=150万円

●一般住宅用地の課税標準額=固定資産税評価額×(200平米超の部分÷全体面積)×1/3
=1,350万円×(100平米÷300平米)×1/3
=150万円

●課税標準額=小規模住宅用地の課税標準額+一般住宅用地の課税標準額
=150万円+150万円
=300万円

●固定資産税=課税標準額×1.4%
=300万円×1.4%
=4.2万円

(シミュレーション)
●小規模住宅用地の課税標準額
=固定資産税評価額×(200平米÷全体面積)×1/6

=1,350万円×(200平米÷300平米)×1/6
=150万円

●一般住宅用地の課税標準額
=固定資産税評価額×(200平米超の部分÷全体面積)×1/3

=1,350万円×(100平米÷300平米)×1/3
=150万円

●課税標準額
=小規模住宅用地の課税標準額+一般住宅用地の課税標準額

=150万円+150万円
=300万円

●固定資産税=課税標準額×1.4%
=300万円×1.4%
=4.2万円

前節の非住宅用地のシミュレーションでは、同じ固定資産税評価額(1,350万円)でも固定資産税は13.2万円でした。
住宅用地では固定資産税は4.2万円ですので、非住宅用地と比べると、固定資産税は約3分の1になったことになります。

最適な対策はどれ?固定資産税を節税するための方法とは

最適な対策はどれ?固定資産税を節税するための方法とは

固定資産税の最適な節税対策は、相続した空き家の土地の立地条件や建物の状態によります。
この章では、考えられる固定資産税を節税するための方法について解説します。

売却する

立地条件などから鑑みて、活用が難しい場合には、売却することが有力な選択肢です。
売却してしまえば、固定資産税などの維持費の負担から解放されます。

そのまま貸す

立地条件が良く建物の状態も良い場合は、そのまま貸すことが合理的な選択肢です。
誰かに貸すなどして活用していれば空き家にはならないため、管理不全空き家に指定されることはありません。



 

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賃貸住宅の土地活用をする

立地条件が良く建物が古い場合、アパートや賃貸マンションといった賃貸住宅の土地活用をすることが、節税対策となります
とくに土地の面積が200平米超の場合には、2戸以上から成る集合住宅の土地活用が効果的です。

住宅用地の軽減措置は、小規模住宅用地が住宅用地で住宅1戸につき200平米までの部分に適用されるという点が特徴でした。
200平米超の土地で一戸から成る戸建てを建てると、200平米までの部分が小規模住宅用地となり、残りの部分が一般住宅用地の扱いになります。

一般住宅用地の課税標準額は「固定資産税評価額の3分の1」ですので、一般住宅用地は小規模住宅用地よりも節税効果が薄いです。

土地の固定資産税を安くするには、住宅の戸数を増やして小規模住宅用地が適用される面積を広げた方が良いということになります。
たとえば、土地が300平米の場合、2戸以上のアパートを建てれば400平米以上が小規模住宅用地となるため、300平米の土地全体が全て小規模住宅用地となります。

まとめ

以上、固定資産税について解説してきました。
相続した空き家が「管理不全空き家」に指定されて勧告を受けると、住宅用地の軽減措置を解除され、固定資産税が上がる可能性があります。

固定資産税の節税対策としては、「売却する」や「そのまま貸す」、「住宅系の土地活用をする」といった方法があります。 最適な対策は、立地条件や空き家の状況によって決まるため、物件の状況に応じた最適な節税方法を選択することが大切です。
相続した空き家の活用方法についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。



不動産鑑定士

竹内英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
⇒竹内 英二さんの記事一覧はこちら

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