- 将来の売却まで視野に入れて、価値の落ちにくい中古マンションを選ぶ
- 築年数が古いマンションは、配管などの交換状況やメンテナンス記録もしっかり確認する
- 住宅ローン控除を検討している場合は、適用条件を満たしているか事前に調べておく
中古マンション購入の失敗事例10選
中古マンションは新築に比べて“価格の安さ”や“立地の良さ”という魅力がありますが、実は「買って後悔した」というケースも珍しくありません。 中古とはいえ決して安くはない買い物である中古マンションは、簡単に買い替えできるわけではないため、慎重に選ぶことが大切です。
後悔するポイントは人それぞれですが、失敗するケースには共通点があるため、どのような失敗例があるかを把握しておくだけでも、物件を選ぶ際の参考になります。
以下では、中古マンション購入でよくある失敗事例を解説していきます。
①購入後に資産価値が大きく下がってしまった
中古マンションを購入したからといって、必ずしもそのマンションにずっと住み続けるわけではありません。 転勤や住み替えなどにより、購入した中古マンションを手放す可能性は十分あり得ます。
しかし、売却する際に資産価値が大きく下がっていると、売却しても損失が出る、買い手がつかずに売却できないといった状態に陥るケースは少なくありません。
中古マンションは、築年数の経過とともに資産価値が大きく減少します。
一般的には、築10年以下で新築時の10%、築15年ほどで20%減少すると言われており、築20年までの減少率が大きい傾向にあるのです。 反対に、築20年を超えると価格が減少率は比較的小さくなります。
そのため、築浅で中古マンションを購入すると、売却する頃には大きく資産価値が減少している可能性があります。 資産価値は、築年数以外にも立地や管理状況などにも影響されます。
例えば、アクセスのよい主要駅(ターミナル駅)に行きやすい立地や、適切に維持管理されているマンションを選ぶなど、購入する際には、将来の売却まで視野に入れて価値の落ちにくい中古マンションを選ぶようにしましょう。
②騒音に耐えられない
マンションでよくあるトラブルが、騒音トラブルです。 マンションは、一戸建てに比べて上下左右の居室が近いため、騒音トラブルが起こりやすいと言われています。
近年のマンションは、騒音対策を施しているものも多いですが、中古マンションの築年数によってはあまり対策されていないケースがあります。 騒音で隣人とトラブルになると、解決が難しく生活にも支障をきたします。 また、隣人に関する騒音トラブルはなくても、近隣の交通量や開発工事で騒音が気になるというケースもあるので、周辺環境までしっかりチェックすることが大切です。
③配管から水漏れしてしまった
築年数の経過した中古マンションは、配管部分が老朽化している可能性があります。 配管が老朽化することで、購入後に水漏れが発生するケースも少なくありません。
水漏れが発生すると、部屋の内部や設備にダメージが出るだけでなく、水漏れ箇所によっては階下に被害が出てトラブルに発展する恐れもあります。 特に専有部分の配管からの水漏れは、所有者の自己負担での修繕となるので、注意が必要です。
築年数が古い中古マンションを購入する際には、配管などの交換状況やメンテナンス記録もしっかり確認するようにしましょう。
④相場より高い金額で購入してしまった
基本的に、中古マンションの価格は相場に基づいて設定されますが、価格自体は売主が自由に決められるため、必ずしも相場に基づいているわけではありません。 相場を把握していないと、「中古マンションはこれくらいなのだろう」と売り出し価格を鵜呑みにしてしまい、購入してから相場よりも高いことに気づくというケースもあります。
相場よりも高値で購入してしまうと、住宅ローンの返済の負担が増えるなど経済的なデメリットが生じます。
さらに、将来売却する際にも購入時の価格より売却時の価格が大きく下がる可能性が高くなるので、相場を把握しないまま高値で購入してしまうことのないよう、十分注意しましょう。
⑤購入後に修繕積立金が上昇した
修繕積立金は、マンション購入後に毎月発生するコストのため、額によっては生活への負担も大きくなります。
修繕積立金は築年数が古くなるほど高くなり、大規模修繕工事計画に則って額の変動が決められているケースが一般的です。 大規模修繕工事は10~15年毎に行われるため、中古で購入する時期によっては、購入後に修繕積立金が上がってしまう可能性があります。 また、修繕積立金の徴収状況によっては、大規模修繕工事の前に臨時で不足分を徴収されるケースもあるので、購入タイミングを意識するようにしましょう。
⑥固定費が予想以上に高かった
マンション購入後のランニングコストを考慮していないと、毎月の支払いが予想より大きくなり失敗したと感じてしまうケースもあります。 マンション購入後には、住宅ローンの返済以外にも以下のような住居に関する固定費が発生します。
- 修繕積立金
- 管理費
- 保険料
- 固定資産税・土地計画税
- 駐車場・駐輪場代
- 専用庭などの使用料
先述したように、修繕積立金は、築年数により途中で値上がりする可能性があります。 また、毎年固定資産税や、エリアによっては都市計画税が発生し、年間10~30万円ほどの納税が必要です。 購入時には火災保険・地震保険に加入するのも一般的なので、その保険料も掛かってきます。 さらに、マンションによっては駐車場代や専用庭などの使用料を負担しないといけないケースもあるでしょう。
これらの固定費の見込みが甘いと、購入後に生活費への負担が大きくなってしまうので注意が必要です。
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⑦ローンの返済が厳しくなってしまった
中古マンション購入の代表的な失敗例として、住宅ローンの支払いが苦しくなりマンションを手放す羽目になったというケースがあります。
コロナ禍では、経営状況が悪化する企業が続出し、その影響で給与が下がった・リストラされたなどでローンの支払いができなくなる事例が多発しました。 コロナ禍でなくても、転職や自身の健康状態の悪化などで収入が減少するケースもあるでしょう。 また、収入は維持できていても、支出が増えてローン返済に影響が出ることも珍しくありません。 とくに、子どもが増えた際に生活費や教育費が高くなるといったケースはよくあるものです。
住宅ローンを組んで中古マンションを購入した場合、住宅ローンの返済ができなくなるとマンションは差し押さえられ競売にかけられてしまいます。 たとえ競売を避けられたにしても、返済のめどが立たないなら売却する必要があるため、マンションを手放さなければならない状況に陥るのです。
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⑧陽当たりが悪くなってしまった
中古マンション購入時は陽当たりが良かったのに、隣地に大きな建物が建設され陽当たりが悪くなってしまったという失敗例もあります。 陽当たりが悪くなると、日中でも照明が必要になったり、冬場は暖房が欠かせなくなったりするため、電気代が高騰する可能性があります。 また、洗濯物が乾きにくい・カビが生えやすくなる・気分が沈みがちといったデメリットも上げられるでしょう。
隣地に大きな空き地がある、開発予定があるといった場合は、将来的に高い建物が建つ可能性があるので注意が必要です。
⑨隣人トラブルが発生してしまった
マンションは、隣の住民との距離が比較的近いため、隣人トラブルが起きやすいものです。 先述した騒音トラブルだけでなく、ゴミに関するトラブル・共有部分に関する衝突などはよくあるケースです。
隣人トラブルは、当事者同士では解決が難しく、対応を誤るとより大きな問題に発展する恐れもあります。 隣人トラブルが原因で住みにくくなり売却を検討するケースも少なくないため、事前に隣人トラブルがないかは確認しておくことが大切です。
ただし、隣人トラブルについては、必ずしも不動産会社の担当者が教えてくれるとは限りません。 そもそも知らないか、知っていても教えてくれないケースもあるでしょう。 もちろん、不動産会社の担当者が知っている情報であれば、教えてくれるケースも多いですが、可能であれば購入前に近隣の人に話しかけてみるなど、自分で調査することも大切だといえます。
⑩住宅ローン控除が使えなくなってしまった
中古マンションを購入する場合、住宅ローン控除の適用を検討している方も多いと思います。
住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローン残高×0.7%を最長13年間所得税から控除できる税制優遇措置です。 所得税の節税効果が大きいため活用したい控除ですが、中古マンション購入時のケースによっては適用できない可能性があるため、注意しなければなりません。
控除を受けるには、以下のような要件を満たす必要があります。
- 控除を受ける年分の12月31日まで
自らが居住している - 床面積が50㎡以上
- 耐震性能を有しているか、
築25年以下であること、
または耐震改修が行われている - 住宅ローンの返済期間が10年以上
残っている - 他の特例と併用していない
中古マンションでは、耐震性能や築25年以下という点に引っかかり、控除を受けることができないケースが少なくありません。 住宅ローン控除を検討している場合は、適用条件を満たしているか、事前に国税庁のホームページを確認しておきましょう。
中古マンション購入前に気を付けておくべき5つのポイント
中古マンション購入で失敗しないためには、購入時に押さえておきたいポイントがいくつかあります。
ここでは、中古マンション購入前に気を付けておくべきポイントとして、以下の5つを解説します。
①築年数による影響を確認する
先述したようにマンションは築年数に応じて資産価値が大きく減少するため、将来の売却で損失を防ぐためには、資産価値の減少について理解しておくことが大切です。
東日本不動産流通機構の「年報マーケットウォッチ2022年・年度」によると、首都圏の築年数別のマンション成約価格は以下の通りです。
右にスクロールできます→
~築5年 | 築6~ 10年 |
築11~ 15年 |
築16~ 20年 |
築21~ 25年 |
築26~ 30年 |
築31年~ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
件数 | 3,226件 | 5,013件 | 4,343件 | 4,814件 | 3,739件 | 2,705件 | 10,954件 |
9.3% | 14.4% | 12.5% | 13.8% | 10.7% | 7.8% | 31.5% | |
㎡単価 | 105.21万円 | 93.76万円 | 79.86万円 | 74.01万円 | 61.91万円 | 44.57万円 | 38.98万円 |
価格 | 6,638万円 | 6,193万円 | 5,543万円 | 5,250万円 | 4,290万円 | 2,832万円 | 2,193万円 |
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構 REINS TOWER
築年数が古くなるほど価格が落ちており、築5年以下の価格である6,638万円を100%とするなら、築6~10年で約8%、築11~15年で約18%と大きく減少していることが分かります。
自身が購入を検討しているマンションが、将来売却した際にどれくらい価格が下がるのかも、事前に把握しておくとよいでしょう。 立地状況が良い・管理状況が良いなどの「価値が落ちにくい条件」を有しているかも、確認することが大切です。
また、築年数が古くなると資産価値が減少するだけでなく、修繕積立金の値上がりに対する影響も出てきます。
修繕積立金がいつ頃上がるかは、管理規約や大規模修繕工事契約である程度把握できるので、併せて確認するようにしましょう。
なお、修繕積立金はマンション維持のために使われる重要なお金です。
価格が上がらなかったり、値下げ交渉に応じてくれたりすれば支出の負担は減少しますが、マンションを修繕するための費用が蓄えられずに適切な管理が行われない恐れもあります。
たとえ金額が上がるとしても、適切な範囲の費用であれば、きちんと支払い続けることで将来的にプラスに働く可能性があるでしょう。
②朝・昼・夜それぞれの状況を確認する
騒音や陽当たりの状況を確認するには、内覧時に細かくチェックすることが重要です。 可能であれば、時間帯をかえて周辺環境を直接見てみることもおすすめします。
マンションの様子や周辺環境は、時間帯によって大きく異なるものです。 朝は静かだが昼間は工事の音がうるさかったり、午後からは部屋に日差しが入らなかったりというケースも少なくありません。
一般的に内覧は週末の午後に行われるため、平日とは周辺環境がガラッと変わる可能性もあります。 特に、自分がマンションで生活する時間帯は、実際に足を運んでみることをおすすめします。
③管理組合でメンテナンス状況を確認する
設備や配管の老朽化を含むマンションの管理状況については、管理組合のメンテナンス状況をチェックすることである程度把握できます。
「マンションは管理を買え」と言われるほど、管理体制がきちんと機能しているかが重要です。
適切に管理されているマンションであれば、安心して生活しやすいだけでなく、資産価値が落ちにくいというメリットもあります。 メンテナンス記録や管理記録がきちんと作成されている・適切な時期に実施されているなどについては、事前に必ず確認するようにしましょう。
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④購入後の資金計画を立てておく
マンション購入時に資金計画を念入りに立てる人が多いですが、購入後の資金計画ができていないケースは少なくありません。
先述したように、マンションは購入後にも“住宅ローン返済以外のランニングコスト”が発生します。 購入後の資金計画が甘いと、生活費の圧迫だけでなく、ローンの返済ができない事態にも陥りかねません。
中長期的な資金計画まで念入りに立てたうえで、マンション購入を検討することが大切です。
⑤相場を把握しておく
相場よりも高値で購入してしまうと、購入時の資金計画や住宅ローン返済、売却時に影響が出てしまいます。
反対に、相場よりも極端に低い物件の場合は、事故物件など何かしら理由がある恐れがあるので「安く購入できてよかった!」と安易に考えてはいけません。
マンション購入価格で失敗しないためには、自分でも事前に相場を把握しておくことが大切です。 周辺の類似マンションの売り出し額や過去の取引価格などを参考に、相場を把握するようにしましょう。
今ご覧いただいているWEBサイト『クラモア』の「住まいトレンド」なら、マンション相場を無料で簡単に確認できます。
マンション名や地域で検索するだけで、該当マンションの相場や周辺マンションの相場推移・過去の販売履歴などがチェックでき、マンションの住民評価も確認できるので購入時の参考になるでしょう。
売買価格相場・賃料相場情報をお届け
中古マンション購入の3つのメリット
中古マンションには、新築マンションにはないメリットがたくさんあります。
ここでは、中古マンションを購入するメリットとして、以下の3つを解説します。
①費用を抑えて購入しやすい
中古マンションの魅力は、新築マンションに比べて価格が安いという点です。
近年の新築マンションは価格が高騰しており、条件の良いマンションともなればかなりの額になってしまいます。 一方で中古マンションは、価格を抑えて購入しやすく、購入額を抑えた分、リフォームやリノベーションで新築同様にすることもできることが魅力です。
また、築浅のマンションは築年数の経過による資産価値減少幅が大きい反面、築20年を超えると減少幅が小さくなるという特徴もあります。 特に、新築で購入した場合は「新築であることを理由に高額になる」新築プレミアムが乗っかる分、新築でなくなった時に急激に資産価値減少が起きてしまうものです。 築年数の古い中古マンションであれば、急激に資産価値が減少しにくいというのもメリットといえるでしょう。
②事前に管理状況を確認できる
中古マンションは、管理状態や実績を事前に確認できます。
新築マンションの場合、どんなに管理計画が整っていても計画通りに実施されるかは運営がスタートしてみないと分かりません。 その点、すでに管理を実施済みの中古マンションであれば、実際の管理計画の実施状況や実績を確認できるという利点があります。 また新築マンションと異なり、すでに人が住んでいるので、近隣トラブルや住民のマナーを事前に確認しやすい点もメリットと言えるでしょう。
③立地が良い物件を見つけやすい
中古マンションは、街を開発する過程で利便性の高い立地に建てられたものが多いため、築年数の古いマンションほど、立地が良い傾向にあります。
当然ですが、新たにマンションを建築する場合、すでにそこにあるマンションや建物をどかして建設することはできません。 そのため、新築マンションは立地や物件数が限られるケースが多いです。
反面、築年数が古いマンションは、駅近の大規模な敷地に建てられていることも少なくありません。
マンションを検討している方は、利便性のよい立地を求めている傾向にあります。
立地が良いマンションを新築よりも価格を抑えて購入しやすいというのは、大きな魅力と言えるでしょう。
まとめ
ここまで、中古マンション購入の失敗例や、購入する際のポイントなどを詳しくお伝えしました。
中古マンション購入の失敗例は多くありますが、中古マンションには価格の安さや利便性の高さと言った魅力も多くあります。 購入時に気を付けるべき点を押さえておくことで、失敗を未然に防ぐことができるため、しっかりと対策を練った上で中古マンション購入を進めてください。
満足いく中古マンションを購入するには、不動産会社のサポートが重要です。
これから中古マンション購入を検討されている方はもちろん、信頼できる不動産会社選びにお悩みの方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。
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宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら
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