2025年の税制改正大綱が発表されました。 2025年の税制改正では、どのような変更が予定されているのでしょうか。 本記事では、2025年の税制改正大綱のうち、特に不動産に関する変更について解説します。 不動産を売却した方や、これから売却を予定している方は、ぜひ本記事を参考にして、税制改正に備えてください。
- 税制改正大綱とは、翌年度以降の新たな税制措置についてまとめた文書のこと
- 「103万円の壁」は、123万円に引き上げとなる
- 税制改正は、2025年4月から実施される見込み
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2025年の税制改正大綱が発表!
税制改正大綱とは、翌年度以降の増税や減税、新たな税制措置をまとめた文書です。 例年、与党が12月までに取りまとめ、翌年1月の通常国会に提出。 その後、3月までの可決を目指します。
今回の大綱は、2024年10月の衆議院選挙の結果が反映されています。 この選挙では、衆議院の全465議席のうち、自由民主党と公明党を合わせた議席数が215議席となり、2009年以来15年振りに与党が過半数を割りました。
また、2025年の税制改正大綱においては、与党と国民民主党の間で事前協議が行われましたが、「103万円の壁」の引き上げを含む重要課題については3党間で合意に至らず、今後の状況は依然として不透明なままです。 なお、現在公表されている税制改正大綱はあくまで案の段階であり、今後の協議や国会審議を経て変更される可能性がある点に注意が必要です。
不動産に関する税制で延長される制度
2025年の税制改正大綱のうち、不動産に関する税制で延長される制度は以下の通りです。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、マイホーム購入時に一定の要件を満たして住宅ローンを利用することで、借入額の一部が所得税や住民税から控除される制度です。 2024年・2025年の住宅ローン控除では、最大控除額が2022年・2023年より引き下げられることが決定しています。 以下に控除額の変更点をまとめました。
2022年度・ 2023年度 |
2024年度 | |
---|---|---|
長期優良住宅・ 低炭素住宅 |
5,000万円 | 4,500万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 |
その他の住宅 | 3,000万円 | 0円 |
一方、2024年は、「子育て世帯・若者夫婦世帯」への配慮として、控除額が「その他の住宅」を除き、2022年・2023年と同じ水準となるように据え置かれました。 この措置は、2025年も継続される予定です。
一般の世帯 | 子育て世帯・ 若者夫婦世帯 |
|
---|---|---|
長期優良住宅・ 低炭素住宅 |
4,500万円 | 5,000万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 4,000万円 |
その他の住宅 | 0円 | 0円 |
なお、子育て世帯・若者夫婦世帯の条件は、以下のいずれかに該当する世帯が対象となります。
- 19歳未満の子供がいる世帯
- 夫婦いずれかが40歳未満である世帯
この制度は家計の負担軽減を図るためのものとして注目されています。
詳細については国土交通省のHPをご確認ください。
子育て対応改修工事の税額控除
子育て対応改修工事の税額控除は、子育て世帯(19歳未満の子どもがいる世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯)が、マイホームにおいて子育て対応改修工事を行った際に、工事費用の10%(上限250万円)が、所得税や住民税から控除できる制度です。
本制度は2024年中に実施されたリフォーム工事が対象でしたが、2025年も引き続き対象となるよう延長される見込みです。
結婚・子育て資金の非課税制度
結婚・子育て資金の非課税制度は、18歳から50歳までの受贈者が、結婚や子育て資金として、直系尊属である父母や祖父母から贈与を受けた場合に、最大1,000万円まで非課税にできる制度です。
この制度の適用期限は、2025年3月31日までとされていましたが、さらに2年間延長される見込みです。
所得税や住民税の改正で不動産に関連がある内容
次に、所得税や住民税の改正で不動産に関連がある内容を見ていきましょう。
所得税の基礎控除額が48万円から58万円に引き上げ
「103万円の壁」の撤廃に向けた議論が進む中、国民民主党は178万円まで引き上げるよう主張していますが、現時点の税制改正大綱では、123万円までの引き上げが盛り込まれています。
この引き上げの一環として、所得税の基礎控除額が現行の48万円から58万円に増額される予定です。 基礎控除額が引き上げられることで、給与所得控除などを差し引いた後の課税所得額が48万円以上の方に減税効果が生じます。
給与所得控除の最低額が55万円から65万円に引き上げ
「103万円の壁」を123万円に引き上げるためのもう1つの施策として、給与所得控除の最低額を55万円から65万円に引き上げることが予定されています。 これにより、基礎控除額の10万円引き上げと合わせて、合計20万円分の減税効果が期待できます。
ただし、給与所得控除は、給与所得者の方のみが対象となるため、不動産を売却して得られた所得には適用されません。 もちろん、給与所得者の方が不動産を売却した場合には、こちらの減税効果も恩恵を受けることができます。
配偶者控除、扶養控除の合計所得金額の要件緩和
配偶者控除および扶養控除の対象となる配偶者や扶養親族において、合計所得金額の要件が緩和される見込みです。
これまで、対象となるのは合計所得金額が48万円以下の方でしたが、今後は58万円までに引き上げられます。 この緩和措置により、パートやアルバイトなどで収入が増えた場合でも、合計所得金額が123万円以下であれば、配偶者控除や扶養控除の適用を受けることが可能となります。
特定親族特別控除の新規創設
2025年の税制改正では、新たに「特定親族特別控除」が創設されます。 この控除は、年齢19歳以上23歳未満の親族等で、以下の条件を満たす場合に適用されます。
- 合計所得金額が58万円~123万円
- 控除対象扶養親族に該当しない
これまでは、合計所得金額が48万円を超えると扶養控除の対象外となり、年齢要件を満たしていても控除を受けることができませんでした。 しかし、新制度により、該当する親族がこの所得範囲内であれば、新たに控除を受けられるようになります。 この改正は、学生や若年層の収入が増加した場合でも税負担を軽減し、家計支援の拡充につながると期待されています。
生命保険料控除の上限額引き上げ
23歳未満の扶養親族がいる居住者を対象に、生命保険料控除の上限額が4万円から6万円に引き上げられる見込みです。
ただし、「一般」、「介護保険」、「個人年金」の控除上限額は、引き続き12万円のままとなります。
令和7年度(2025年)の税制改正大綱に関するよくある質問
最後に、2025年の税制改正大綱に関するよくある質問を見ていきましょう。
税制改正はいつから実施される?
税制改正は、2025年4月から実施される見込みです。
しかし、前述の通り、与党が過半数を割っており、かつ協議を行った国民民主党との調整も進んでいないため、2025年1月~3月に行われる通常国会で最終的にどのような内容で可決されるかは不確定な状況です。
税制改正は何年ごとに行われる?
税制改正は、毎年実施されます。
毎年、政府が新たな政策を反映させるために税制を見直し、改正を行うことが一般的です。
まとめ
本記事では、2025年の税制改正大綱のうち、特に不動産に関する変更について解説しました。
不動産売却では、大きなお金が動くため、売却額に応じて納税額が高額になる可能性もあります。 2024年に不動産を売却した方や、2025年以降に売却を予定している方は、税制改正の内容や最新情報をこまめにチェックすることが大切です。
不動産売却についてご相談がある方、不動産売却時の税金に不安を感じている方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
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