- タワマンは豪華な設備や高層建物のため、管理費が高くなりやすい
- 大規模修繕費用が高額になることで、修繕積立金も高くなる
- 長期的な視点で、管理費・修繕積立金を確認・シミュレーションすることが大切
タワーマンションを買うとかかる管理費とは?
マンションの管理組合に支払う代表的な費用が、管理費と修繕積立金です。
管理費と修繕積立金は、どちらもマンションでの快適な生活やマンション維持に関わる大切なお金です。 ただし、それぞれ使用用途が異なるため、違いを覚えておくようにしましょう。
以下では、管理費の詳細と修繕積立金との違いについて解説します。
管理に使われる費用のこと
管理費とは、マンションの日常的な管理に使われるお金のことです。
主な使用用途としては、以下のような項目があります。
- 共有部の水道光熱費
- 共有部の各種設備の保守・点検費用
- ゴミ出しや外部の管理会社の管理委託費
- 共有部の保険料
- 管理組合の運営費
- 日常管理のための人件費
- 共有施設の運営費 など
上記のように、共有部の設備維持や清掃、人件費といった日常的な管理のために使われます。
区分所有者が単独で所有している「専有部分」の設備管理は所有者が行いますが、全員で共有している「共有部分」の施設・設備などの管理は、管理費として住民が費用を負担することで行われるのです。
修繕積立金との違い
管理費が短期的なマンション維持のための費用であるのに対し、修繕積立金は長期的なマンション維持・管理のためのお金です。 主な使用用途には、以下のような項目があります。
- 大規模修繕工事の費用
- 自然災害や不測の事故など特別な
理由の修繕費用 - 共有部のリフォームなど大規模な
変更の費用
修繕積立金のメインの使用用途となるのが、一定期間ごとに行われる大規模修繕工事にかかる費用です。
大規模修繕工事では、以下のような費用がかかります。
- 建物の劣化診断費用
- 外装塗装費用
- 防水工事費用
- 配管工事費用
- 共有設備の交換費用 など
大規模修繕工事は10年~15年で行われるように計画されており、大規模修繕工事が行われると数千万円~億円単位で費用がかかります。 そのための費用として毎月積み立てていくのが、修繕積立金となるのです。
マンションを購入する際には、管理費と修繕積立金以外にもかかる費用があるため、詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
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タワーマンションの管理費の相場
管理費の設定はマンションごとに定められており、マンションによって大きく異なります。
中でも、タワーマンション※の管理費は、一般的なマンションよりも高額になる傾向にあります。
※タワーマンションには明確な定義はありませんが、一般的に高さ60メートル以上・階数20階建て以上のマンションがタワーマンションと言われています。
国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、単棟型のマンションでの階数別の管理平均は以下の通りです。

単棟型 | 平均 | 平均/平米当たり |
---|---|---|
全体 | 1万1,580円 | 160.4円 |
3階建以下 | 1万3,642円 | 186.5円 |
4~5階建 | 1万3,880円 | 181.1円 |
6~10階建 | 1万1,484円 | 161.5円 |
11~19階建 | 1万688円 | 148.9円 |
20階建以上 | 1万4,415円 | 198.6円 |
※「令和5年度マンション総合調査」(国土交通省)を加工して作成
単棟型マンション全体での平均が1万1,580円に対して、タワーマンションに該当する20階建以上は1万4,415円と高いことが分かります。 平米当たりの単価でも、全体平均の160.4円と比較して198.6円と高くなり、仮に100平米のマンションであれば20階建以上で1万9,860円が相場です。
ちなみに、同じ100平米のマンションであれば11~19階建で1万4,890円となるので、5,000円近く差が生まれることも分かります。
また、地域別でも管理費は大きく異なります。 首都圏は管理費が高い傾向にあるため、首都圏のタワマンは、より管理費が高いことが予測されるでしょう。
タワーマンションの管理費が割高になりやすい理由
なぜ、タワーマンションの管理費は一般的なマンションよりも割高になってしまうのでしょうか。
ここでは、タワマンの管理費が割高な理由として、以下の3つを解説します。
高層建築物に必須の設備がある
消防法により、高さ31メートル以上の建築物に対して非常用エレベーターの設置が義務づけられています。 高さ31メートルは、階数で言えば15階が目安です。
さらに、高さ100m以上になるとヘリポートの設置も必要になります。 高さ100mは30階建て以上が目安となりますが、タワーマンションでは30階建て以上も珍しくありません。
このように、タワーマンションは高層建築物特有の設備が必要になることから、その維持・管理のための費用で低層マンションよりも管理費が高くなってしまうのです。
豪華な共用施設や設備が用意されているケースがある
タワーマンションといえば、豪華な共有施設や設備をイメージする方も多いでしょう。
マンションにもよりますが、タワーマンションでは施設・設備が充実しているのが一般的です。
例えば、以下のような施設・設備が挙げられます。
- 24時間利用できるゴミ置き場
- 宅配BOX
- ラウンジやキッズルーム
- フィットネスジムやスパ
- コンシェルジュサービス
- 住民専用のコンビニエンスストアや
スーパーマーケット - ゲストルーム
- 複数台のエレベーター
戸数が多いタワーマンションでは、エレベーターが複数台設置されていることが一般的です。 なかには、上層階専用というように、階数ごとに複数台運転しているケースも珍しくありません。
このような豪華な施設や設備は、生活するうえで大きな魅力ですが、当然運営・維持のための費用はかさみます。
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人件費が高額になりやすい
タワーマンションならではの施設や設備は、運営するためにも人手を要します。
よくあるコンシェルジュサービスは、常駐のスタッフというだけでなく、タワーマンションにふさわしい教養のある人材であることも必要でしょう。
他にも各施設を清掃・管理する人などが必要になり、これらの人件費は一般的なマンションよりも高額になってきます。 設備や施設の運営・維持にかかる人件費も管理費に含まれるため、タワーマンションでは管理費が高くなってしまうのです。
タワーマンションの修繕積立金が割高になりやすい理由
マンション管理に関わる費用には「修繕積立金」もありますが、修繕積立金についても、タワーマンションは高額になる傾向にあります。 理由として、以下が挙げられます。
設備や施設が充実している
国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、単棟マンションの階数別修繕積立金の平均額・平米当たり平均額は以下の通りです。

単棟型 | 平均 | 平均/平米当たり |
---|---|---|
全体 | 1万3,300円 | 183.3円 |
3階建以下 | 1万4,231円 | 216.2円 |
4~5階建 | 1万3,864円 | 203.1円 |
6~10階建 | 1万3,637円 | 189.7円 |
11~19階建 | 1万2,626円 | 169.3円 |
20階建以上 | 1万3,834円 | 182.1円 |
※「令和5年度マンション総合調査」(国土交通省)を加工して作成
単棟型マンション全体での平均が1万3,300円に対し、タワーマンション(20階建以上)は1万3,834円と平均を若干上回ります。 平米当たりが182.1円なので、100平米のマンションで1万8,210円が相場となります。
一般的には、マンションの戸数が多いほど1戸当たりの負担は少なくなるため、戸数が100を超えることも珍しくないマンションでは、修繕積立金を抑えやすくなります。 しかし、設備や施設が充実しているタワマンは、戸数が多くても負担額が大きくなる傾向にあるのです。
またマンションによっては、毎月の修繕積立金以外に、購入時にまとまった額の修繕費を支払う「修繕積立基金」がかかるケースもあるので、注意しましょう。
なお修繕積立金は、築年数が経過するほど高くなるのが一般的です。
同調査による完成年度別の修繕積立金平均額は、以下のようになります。

平均 | |
---|---|
昭和49年以前 | 1万4,271円 |
~昭和54年 | 1万2,506円 |
~昭和59年 | 1万2,264円 |
~平成元年 | 1万3,409円 |
~平成6年 | 1万3,028円 |
~平成11年 | 1万3,263円 |
~平成16年 | 1万5,505円 |
~平成21年 | 1万5,007円 |
~平成26年 | 1万2,313円 |
~令和元年 | 1万726円 |
令和2年以降 | 1万266円 |
※「令和5年度マンション総合調査」(国土交通省)を加工して作成
平成22年以降が10,000円程に対して、それ以前では1.3~1.5万円ほどとなっています。
修繕積立金は、新築時に低く設定してあり、大規模修繕計画に則って段階的に値上げするケースが一般的です。 マンションによっても異なりますが、5年後目安に値上げするケースが多い傾向にあります。
また、近年の物価や人件費の高騰、将来の消費税値上げなども加味すれば、将来的に修繕積立金はより高くなることが予測されます。 そのため、タワーマンションでは30年後の修繕積立金が当初の3倍になり、30年以降は建物の老朽化・大規模な設備の交換のためより高くなるとも言われています。
修繕積立金の値上げタイミングについては、大規模修繕計画や管理組合の議事録などで確認できるため、確認してみるとよいでしょう。
外壁修繕コストが高い
タワーマンションの修繕積立金が高くなる要因として、外壁修繕コストの高さが挙げられます。
タワーマンションは高さのある建物のため、一般的なマンションのように地上から足場を組んで外壁修繕することが難しくなります。 ゴンドラなどの特殊な方法で外壁修繕を行わなければならず、修繕期間も長くなります。
また、タワーマンションでは外観デザインにもこだわっているケースが多く、特殊な構造のため修繕に手間がかかるというケースも少なくありません。
大規模修繕の費用が高くなりやすい
タワーマンションの大規模修繕工事費は、通常のマンションよりも高額になります。
理由としては、先述した特殊な足場や工法が必要になったり、タワマンならではの特別な施設や設備に対する専門的な修繕が必要となったりと、費用が高くなりやすいためです。 さらに、規模が大きいことで工事期間も長くなるので、人件費も嵩みます。
また、空室が多くなると修繕積立金が高くなるのが一般的です。
修繕積立金は将来の大規模修繕工事のための費用なので、空室の状況に関わらず修繕工事費はかかってきます。 空室の分を居住している人に負担してもらう必要があるため、修繕積立金が高くなってしまうのです。
ちなみに、これは管理費でも同様のことが言えます。
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タワーマンション購入時の管理費や修繕積立金における注意点

ここでは、タワーマンション購入時の「管理費・修繕積立金に関する注意点」として、以下の2つを解説します。
共用施設の内容を確認する
管理費や修繕積立金の額は“共有施設の内容”によって異なり、施設・設備が充実しているほど高額になります。
共有施設が充実していれば生活の満足度は高くなるものですが、必ずしもすべての施設を使うわけではありません。
キッズスペースやフィットネスジム・ラウンジなど、自身が利用しない施設があったとしても、施設を維持するための管理費を支払い続けなければなりません。
修繕積立金や管理費は毎月発生するコストのため、長期的に払っていけるかが重要です。 タワマンの購入を検討する際は、共有施設を確認して、利用する機会があるのかを事前に考えておくことをおすすめします。
もちろん、タワマンには共有施設以外にも魅力はあるので、施設の内容による管理費・修繕積立金だけで判断する必要はありません。 しかし、利用しない施設のために将来的に高くなっていく管理費・修繕費を払っていけるかを、検討しておくことも大切です。
ただし、修繕積立金は、将来の大規模修繕工事のための重要なお金でもあります。
修繕積立金が安ければ毎月の負担は減少しますが、将来の工事の際に費用が足りずに実施できない場合や、実施するために一時金が徴収される可能性もあります。 長期的にタワマンに住むのであれば、多少高めの設定でも修繕積立金を支払っておくほうが将来的には安心できるでしょう。
中古物件は長期修繕計画を確認する
中古でタワマンを購入する際には、現状の修繕積立金の額だけでなく、積み立て状況や長期修繕計画まで確認しておくことが大切です。 今は修繕積立金が少なくても、数年後に大幅に上がる可能性があったり、積み立て状況が悪いと大規模修工事前に高額な一時金を徴収されるケースがあったりするためです。
修繕工事計画や管理組合の規約などは、不動産会社経由で管理会社から取り寄せることが可能なので、事前に取り寄せてチェックしておくとよいでしょう。 またこの際に、管理計画が立案・実施されているかも併せて確認しておくことをおすすめします。 管理の計画や実施記録がしっかりしているマンションは、きちんと管理されているマンションといえるため、将来的にも安心して生活できます。
まとめ
これまで、タワマンの管理費・修繕積立金が高い理由や、購入時の注意点について解説してきました。
タワーマンションは、高層建物であることや豪華な共有設備があることなどから、管理費・修繕積立金も一般的なマンションよりも高くなる傾向にあります。 また、築年数に応じて値上がりするのが一般的なため、現状のコストだけでなく将来のコストまで考慮しておくことが重要です。
タワーマンションを検討する際には、管理費・修繕積立金などのランニングコストを長期的にシミュレーションしておくことが大切です。 これからタワマンの購入を検討されている方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせページに移動します

宅建士・2級FP技能士(AFP)・相続管理士
逆瀬川 勇造
大学卒業後、地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より不動産会社に入社。不動産会社では住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。2018年より独立し、2020年合同会社7pocketsを設立。
金融や不動産分野におけるコンテンツにおいて、現場での経験を活かし、読者の方が悩みやすいポイントを分かりやすく解説することを心がけている。
⇒逆瀬川 勇造さんの記事一覧はこちら
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