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【結婚新生活支援事業】結婚生活の費用に補助金が下りるの?条件を詳しく解説

更新日:2021.10.25

【結婚新生活支援事業】結婚生活の費用に補助金が下りるの?条件を詳しく解説

結婚を考えている方、新婚夫婦の方、国が行っている結婚新生活支援事業をご存知ですか? 結婚をして新生活を始めるときにかかる費用の一部を国が税金で負担してくれる制度です。この記事では、結婚新生活支援事業とはどんなものかを説明していきます。

  • 2021年3月までと2021年4月からでは、申請条件が大幅に異なる
  • 申請時に見られるのは、世帯年収ではなく“世帯総所得”
  • 事業に参入している市町村は、限られている

もくじ

  1. 結婚新生活支援事業とは?

  2. 対象になる費用について

    1. 補助金に関する注意事項

  3. 支援対象になるための一定の条件とは?

    1. 2021年3月まで対象となる人の条件

    2. 2021年4月移行に対象となる人の条件

    3. 年収と所得の違い

    4. 結婚新生活支援事業に関するよくある質問

    5. 申請に必要な書類

  4. 結婚新生活支援事業が申請できる市町村

    1. 兵庫県神戸市の場合

    2. 結婚新生活支援事業を積極的に活用しよう

  5. 今後も対象範囲が広がることに期待しつつ、対象の方は積極的に利用を

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結婚式に、引越しに――。想像以上に経済的な負担がかかる新婚生活。夫婦が新生活を始めるにあたって、新居への引越しや家具購入などを含めた初期費用は、平均で約70万円から100万円と言われています。この記事では、そんな負担を軽減しようと国が行っている「結婚新生活支援事業」について、解説していきます。

結婚新生活支援事業とは?

結婚新生活支援事業とは?

「結婚新生活支援事業」とは、内閣府が少子化対策として行っているものです。具体的には、結婚に伴う経済的負担を減らすために、新婚世帯の新生活の初期費用を支援し、国が税金で費用の一部を負担します

国立社会保障・人口問題研究所が行った「第15回出生動向基本調査」では、「結婚へのハードルと独身でいる理由」という質問項目に対して、「結婚資金が結婚の障害である」と答えた方が全体の約40%と最多に。さらに、「結婚のための住居費用が障害である」と答えた方は、全体の約20%という結果が出ています。

結婚新生活支援事業の世間への認知度は、まだまだ伸び代があるため、自治体によっては、認知度を高めようと、ウェブサイトやCM、SNSなどを使った広報活動を活発に行っているところもあります。

出典:国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」

対象になる費用について

結婚新生活支援事業において対象となる“新生活の初期費用”とは、主に新居の費用と引越し費用のことを指します。具体的に新居の費用とは、新居を借りるときの敷金・礼金、仲介手数料、家賃1ヶ月分、共益費1ヶ月分を合計した費用のことです。また、引越し費用とは、引越し時の運送費、荷造りのための費用(作業員料、梱包資材など)のことです。

補助額は、2021年3月までの対象者で、上限30万円、2021年4月からの対象者で、上限60万円となっています。

補助金に関する注意事項

補助金の受け取りに関して、とくに留意しておくべき注意事項を2つ説明します。

補助金は引っ越し完了後に受け取ることができる

補助金は、引越しの前に受け取ることはできません。順序としては、申請したい費用の支払いをし、その支払いが完了したことを証明できるものを提出して、審査を経てから補助金を受け取るという流れです。

補助率は2分の1

たとえば、2021年4月以降の対象の夫婦が、新生活を始めるにあたって、引越しや賃貸契約の初期費用が80万円かかったとします。そうなると、実際に補助金として支給されるのは、80万円の2分の1、つまり40万円ということになります。補助額上限の60万円が満額支給されるのは、新生活の費用に120万円以上がかかった場合となります。また、120万円以上の費用がかかっても、60万円以上の補助金は支給されることはありませんので、その点も注意してださい。

そして、この支援事業は、すべての新婚夫婦が対象になるというわけではなく、一定の条件が設けられており、対象者が限られています。



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支援対象になるための一定の条件とは?

支援対象になるための一定の条件とは?

まずは、結婚新生活支援事業の支援対象になるための一定の条件を、2021年3月までの場合と、2021年4月以降の場合に分けて解説します。

2021年3月まで対象となる人の条件

・入籍する日の年齢が34歳以下であること
・世帯総所得が340万円未満であること(ただし、奨学金の支払いがある場合、その年間返済額を世帯所得から差し引くことができる)

そして、2021年からは、対象が広がることになっています。

2021年4月移行に対象となる人の条件

・入籍する日の年齢が39歳以下であること
・世帯所得が540万円未満であること(ただし、奨学金の支払いがある場合、その年間返済額を世帯所得から差し引くことができる)

その他の条件もありますが、以下はほとんどの方はクリアしている条件でしょう。

・婚礼届を提出して受理されていること
→これは、申請前に婚姻届を提出していれば問題ありません。

・新居が建築基準法の新耐震基準に適合していること
→昭和56年以降に建てられた物件であれば問題ありません。

・夫婦ともに申請する市町村に住民票があること
→引っ越す市町村が結婚新生活支援事業の対象の自治体であれば、申請前に住民票を移しましょう。

・公的制度による家賃補助を受けていないこと
→公的制度による家賃補助の代表として、離職して住まいを失った方、また住まいを失いそうな方に給付される、「住宅確保給付金」などがあります。

・過去に同じ補助金を受けていないこと
→新婚の場合、心配はありませんが、再婚者である場合は要注意です。

・申請する年度内に新居・引越しの支払いが完了していること
→引っ越すタイミングを考えれば心配ありません。3月に引越しする場合は注意してください。

年収と所得の違い

「年収」と「所得」の違いについて「曖昧になりがち……」という方もいるかもしれません。結婚新生活支援事業は、年収ではなく所得を見られる点がポイントです。

年収とは

年収とは、税金や社会保険料などが引かれる前の総支給額のことです。

所得とは

所得とは、年収から給与所得控除を差し引いた額のことです。給与所得控除とは、社会保険料や医療費、生命保険料などのことです。

つまり「年収-給与所得控除=所得」ということになります。

たとえば、二人の年収を合計した世帯年収が700万円の場合、一見対象外のように思いますが、計算すると所得金額は540万円を下回る可能性が十分にあります。そうすると、2021年4月以降であれば、所得の条件はクリアし得るのです。

結婚新生活支援事業に関するよくある質問

さまざまな条件が設定されている結婚新生活支援事業ですが、ここでは「よくある質問」をご紹介します。

Q:再婚は適用されるのか?
A:再婚も対象になりますが、今までに結婚新生活支援事業の補助金を受けていないことが条件です。

Q:引越してから入籍しても適用されるのか?
A:今年度に費用を支払い、今年度中に申請する場合は対象になります。

Q:事前申請は可能か?
A:補助金の申請は、支払い後にのみできます。

Q:同一市町村内の引越しも対象か?
A:対象となります。

Q:自分でレンタカーを借りて荷物を運んでも対象になるか?
A:対象になりません。

Q:実家に引越した場合も対象か?
A:対象になる可能性があります。

以上が代表的な質問として挙げられますが、市町村によっては返答が異なる場合があるので、詳細は引越し予定の市町村にお問い合わせください。また、市町村よっては、ウェブサイトにて結婚新生活支援事業に関する情報を掲載していることもあるので、「結婚新生活支援事業 (引越し予定の市町村)」で一度検索してみてください。

申請に必要な書類

結婚新生活支援事業を利用するには、必要な書類をそろえたうえで、引越し先の市町村に申請用紙を提出します。基本的には、14種類の書類があります。以下、書類の受け取り場所別にまとめてあるので、参考までにご確認ください(※市町村によってはこれらの書類以外にも用意する書類がある場合があるので、詳しくは申請先の市役所にお問い合わせください)。

<市役所または市役所のホームページでそろうもの>
1.補助金交付申請書 
2.補助対象要件チェックシート
3.必要書類確認兼送付書
4.婚姻届受理証明書または婚姻後の戸籍謄本
5.新婚世帯全員の住民票
6.世帯の所得がわかる市民税・県民税所得証明書などの書類
7.誓約書
8.補助金交付請求書

<不動産会社か引っ越し会社からもらえるもの>
9.入居対象となる住居に関する書類
10.新居の住居費や引越しの領収書など対象となる費用の確認に必要な書類の写し (不動産会社と引越し会社から受け取る)

<勤務先の会社からもらうもの>
11.給与明細の写しなど住宅手当の支給についてわかる書類

<対象者のみ必要となる書類>
12.【奨学金を返済している場合】奨学金の返済額がわかる書類
13.【昭和56年5月以前に建てられた住居に入居する場合】新耐震基準に適合していることを証明する書類
14.【生活保護を受けている場合】扶助金額・給付金額がわかる書類の写し

たくさんの書類があり、すべてそろえるのは大変なことですが、これらがそろえば補助金が下りるので、夫婦で協力するとよいでしょう。

結婚新生活支援事業が申請できる市町村

もう一つ見落としてはいけない大切なポイントがあります。それは、結婚新生活支援事業を申請できる地域は限られているということです。

具体的には、東京都全域が除外されているほか、ほとんどの政令指定都市では申請ができないという現状があります。政令指定都市のなかで申請ができる市は、静岡市、新潟市、神戸市のみとなっています。

以下の対象市町村については、内閣府のデータより抜粋したものです。

【北海道】室蘭市・夕張市・三笠市・深川市・石狩市・今金町・真狩村・神恵内村・妹背牛町北竜町・ 沼田町・当麻町・愛別町・増毛町・天塩町・幌延町・西興部村・白老町厚真町・むかわ町・音更町・清水町・中札内村・幕別町
【青森県】板柳町
【岩手県】宮古市・一関市・釜石市・八幡平市・矢巾町・金ヶ崎町・平泉町・大槌町 山田町・軽米町
【宮城県】気仙沼市・東松島市・角田氏
【秋田県】秋田市・大館市・湯沢市・大仙市・上小阿仁村・八峰町・五城目町
【山形県】寒河江市・上山市・村山市・長井市・天童市・中山町・西川町・大江町・最上町・真室川町・小国町・白鷹町・庄内町
【福島県】白河市・須賀川市・二本松市・田村市・本宮市・国見町・川俣町・大玉村・只見町・南会津町・西郷村・泉崎村・中島村・棚倉町・石川町・三春町・楢葉町・新地町
【茨城県】水戸市・日立市・土浦市・石岡市・かすみがうら市・行方市・鉾田市・つくばみらい市・城里町・大子町・境町
【栃木県】栃木市・鹿沼市・小山市・大田原市・下野町・益子町・那阿川町
【群馬県】沼田市・安中市・下仁田町・甘楽町・中之条町・嬬恋村・昭和村
【埼玉県】鴻巣市・小川町・横瀬町・長瀞町・美里町
【千葉県】千葉市・野田市・佐倉市・市原市・四街道市・山武市・いすみ市・栄町・横芝光町・長生村・白子町
【東京都】該当なし
【神奈川県】松田町・湯河原町・愛川町・清川村
【新潟県】新潟市・十日町市
【石川県】七尾市・小松市・羽咋市・川北町・津幡町・内灘町・中能登町
【福井県】該当なし
【山梨県】該当なし
【岐阜県】高山市・中津川市・美濃市・山県市・本巣市・海津市・神戸町
【静岡県】静岡市・島田市・富士市・焼津市・藤枝市・下田市・御前崎市・牧之原市・東伊豆町・小山町・吉田町
【愛知県】弥富市
【三重県】熊野市・いなべ市・紀北町・紀宝町
【滋賀県】彦根市・草津市・湖南市・高島市・東近江市・豊郷町
【京都府】南山城村
【大阪府】枚方市・泉佐野市・和泉市・藤井寺市・岬町・太子町
【兵庫県】神戸市・三木市・高砂市・丹波市・南あわじ市・加東市・多可町・稲美町・上郡町 ・奈良県:五條市・三宅町
【和歌山県】和歌山市・由良町
【鳥取県】北栄町
【島根県】川本町・古賀町
【岡山県】真庭市・和気町・矢掛町
【広島県】該当なし
【山口県】長門市・美弥市・平生町
【徳島県】美馬市
【香川県】善通寺市・丸亀市・琴平町
【愛媛県】八幡浜市・大洲市・上島町・久万高原町・愛南町
【高知県】室戸市・安芸市・南国市・土佐清水市・香南市・香美市・奈半利町・いの町・佐川町・日高村・津野町・大月町
【福岡県】豊前市・うきは市・嘉麻市・那珂川市・岡垣町・遠賀町・鞍手町・桂川町・糸田町・川崎町・大任町・吉富町
【佐賀県】嬉野市・基山町・上峰町
【長崎県】諫早市・松浦市・壱岐市・雲仙市・南島原市・東彼杵町・川棚町・波佐見町
【熊本県】荒尾市・玉名市・玉東町・高森町・水上村・錦町
【大分県】日田市・宇佐市・九重町・玖珠町
【宮崎県】国富町・綾町
【鹿児島県】枕崎市・垂水市・薩摩川内市・いちき串木野市・志布志市・東串良町・瀬戸内町
【沖縄県】石垣市・南城市・恩納村
(合 計) 282市区町村

ご覧いただくとわかるように、対象の市町村はかなり絞られていて、その割合は、全国の市町村のわずか約15%となっています。そのため、対象の市町村のなかには、少子化対策だけではなく、移住・定住につながると期待してこの支援事業に参入している自治体もあります。

移住支援としての結婚新生活支援事業

結婚新生活支援事業を行っている自治体のなかでも、規定や条件はそれぞれ違います。いくつかの例をご紹介します。

兵庫県神戸市の場合

兵庫県神戸市の場合、最低居住面積が指定されています。これは、神戸市で出している計算式に当てはめて決められます。

計算式:(10×世帯人数+10)㎡
世帯人数:0歳から2歳は0.25人、3歳から5歳は0.5人とする。

この計算式に当てはめると、たとえば、夫婦二人の場合30㎡以上の部屋。また、夫婦二人と0歳の子ども3人世帯の場合、32.5㎡の部屋であることが補助金支給の条件となります。

このように、自治体ごとに異なった条件が設定されているので、引越し前には確認が必要です。

今は、対象の市町村は少ないですが、結婚新生活支援事業開始から、参入する市町村の数は着実に増えています。それゆえ、今後も新たにこの支援事業の補助金申請ができる市町村が増えてくる可能性は十分に期待でき、それに伴って対象者も増えると考えられます。

結婚新生活支援事業を積極的に活用しよう

年齢・年収・居住地の3つの条件をクリアする方は少ないかもしれませんが、幸運にも現時点で3つの条件に適合する人は、申請の機会を逃さないようにしてくださいね。

内閣府が補助金申請時 2018年度の事業実施分について行ったアンケートでは、“結婚新生活支援事業による補助を受けた世帯の97%が「結婚新生活のスタートアップに伴う経済的不安の軽減に役立った」と回答し、また、89%の世帯が「地域から結婚を応援されていると感じる」と回答している”と発表しています。

出典:内閣府「令和2年版 少子化社会対策白書 全体版(PDF版)」

結婚新生活支援事業をうまく活用し、経済的な負担が軽減することで、これから始まる夫婦生活もすっきりとした気持ちでスタートできそうですね。

今後も対象範囲が広がることに期待しつつ、対象の方は積極的に利用を

この記事では、結婚新生活支援事業について解説をしました。主に少子化対策として行われているものの、実施する自治体はまだ少なく、実際に対象となる夫婦も限られてしまうのが現状です。

しかし、これからも制度の見直しが期待され、結婚新生活支援事業に参入する市町村も増えてくると予想されます。定期的に情報を確認してご自身が対象となる場合には、ぜひ補助金の申請をして、有効活用してくださいね。

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